香港返還と香港経済の行方
主任研究員 朱 炎
1997年4月
目次
I. はじめに
II. 香港経済の現状と発展の原因
1. 香港経済の発展と世界経済における役割
2. 香港経済が発展できた原因
3. 中国との経済的相互依存関係
4. 香港経済の問題点と課題
III. 香港経済の変貌
1. 返還されなくても起きる変化
2. 国際経済環境の変化による変化
3. 返還自体がもたらす変化
IV. 返還後の香港経済のシナリオ
1. 香港経済の役割を維持しながら発展する
2. 香港経済は中国経済に組み込まれる
3. 中国の介入で香港経済の活力が失われる
V. 日本にとっての香港と返還の影響
1. 日本と香港の経済関係
2. 日本企業にとっての香港の価値
3. 日本が受ける返還の影響
要旨
香港経済は、近年、産業構造のサービス化が進み、国際金融センター、 貿易センターの機能が強化された。 自由な経済制度と自由競争の経済環境の存在は 経済繁栄の最も重要な原因である。 中国との経済関係の緊密化も成長に寄与している。 しかし、香港経済はさまざまな構造問題も抱えている。
返還後の香港経済には、抱えている構造問題に対処することによる変化、 外部環境の変動に対応することで生じる変化、返還自体がもたらす変化、 の3種類の変化が起こりうる。
返還後の香港経済に関しては、(1)経済的役割を維持しながら発展する、(2)中国経済に組み込まれる、(3)中国の介入で活力が失われる、 という3つのシナリオが考えられる。 短期では(1)、長期では(2)の可能性が大きいが、(3)の可能性は小さい。
日本は、香港との緊密な経済関係を持っている。 日本企業は、香港の国際金融センター、 貿易センターなどの機能を十分に活用している。 香港経済の安定と発展が維持されれば日本も利益を得ることができよう。
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