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日本経済の高コスト構造とその克服への展望

主任研究員 米山 秀隆

1997年4月

目次


I. はじめに
II. 問題の所在 高コスト構造は問題となるのか
1. 高コスト経済論」と「高コスト無害論」
2. 高コスト無害論」への反論

III. 中間財
1. 中間財の内外価格差
2. 高コスト中間財と競争力の関係
3. 中間財に対する要素価格均等化の圧力

IV. 土 地
1. 地価の内外価格差
2. 地価形成の構造変化
3. 今後の地価の方向性

V. 労働力
1. 賃金の内外価格差
2. 高賃金と競争力の関係
3. 賃金に対する要素価格均等化の圧力

VI. 高コスト構造の克服に向けて

要旨

バブル崩壊後、 日本経済の構造改革を推し進めるべきだとする主張が一貫してなされてきたが、 構造改革の具体的な中味の一つとして、 中間財の高コスト構造を是正すべきであるとする意見が強くなっている。 海外からの調達や海外への生産移転などグローバルネットワークの形成が、 国内中間財の高コストを回避する形で現れており、 それが国内産業の空洞化を招いている点に、現在の高コスト問題の本質がある。

中間財のうち、運輸、通信、石油・石炭製品、電力などの 産業インフラについては、これまで生産性が向上しない分価格を 上昇させてきたため、高コスト構造が温存されてきた。 しかし、最近では、海外から割安な中間財を調達する動きが広がっており、 価格が国際的な水準に向かう大きな圧力となっている。 日本が今後とも国内において産業の集積を維持しようとするならば、 ビッグバン形式で様々な規制を一括して撤廃し、 産業インフラの国際競争力を確保していく必要がある。

土地については、ファンダメンタルズの違いによって、 諸外国との地価格差をある程度説明できる。 しかし、今後については、需給構造の変化、 海外への生産移転による国際水準への均等化圧力などによって、 格差は縮小に向かう可能性が高い。 政策的には、保有税の実効税率を相応の水準に維持することにより、 地価を国際的な水準に近づけていくことなどが必要となる。

労働力については、85年以降の円高の進展が高コスト構造をもたらしたが、 現在までのところ、東アジア諸国からの輸入増加が、 製造業の賃金引き下げ圧力になっているとまではいえない。 これは高賃金を生産性の上昇によって対応してきたためである。 しかし、今後については、生産性の上昇で対応できる保証はなく、 賃金が低下する可能性は否定できない。 これを避けるためには、高コスト労働力を吸収しうる産業構造に 転換を図ることが重要となる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 日本経済の高コスト構造とその克服への展望 [213 KB]