第3回 デジタル&ネットワークマーケティングセミナー
第3回 デジタル&ネットワークマーケティングセミナー
第3回 デジタル&ネットワークマーケティングセミナー講演録
メディア事業から本格Webマーケティングサイトへ
株式会社リクルート ISIZE編集長 大庭 広巳氏
ISIZEのビジネス展開
ISIZE がどういうものかというのは後ほど触れさせていただくとして、実際、カットオーバーをしてみました。1月11日1時11分という、この世界では自殺行為のようなプロモーションをかけまして、案の定、サーバーはパンクいたしまして、きょう、会場にいらっしゃる方にもご迷惑を当日おかけした方もたくさんいらっしゃると。この場を借りてお詫び申し上げたいと思いますが。今は安定しておりますので、ぜひ、お使いいただきたいと思いますけれども。
トラフィックベースではありますけれども、ページビューで、そこにありますように、就職活動のピーク時には、リクナビというところの巨大サイトがございますので、デイリーで1,000万ページビューを超える時期もございました。現在はだいたい、デイリーで 700万から
800万ページビューを推移しております。ページビューが成功か云々というと、それだけではもちろんないとは思いますが、そういう状況になっております。申し訳ございません。調査の日付が黒べた丸になっておりますが、3月の12日から10日ほど調査をいたしました。

ISIZE のユーザー属性でありますけれども、先ほど稲垣さんのお話にもございましたが、もともとMixJuice時代も、だいたい7対3ぐらいの男女比ではありました。去年、昨年の女性の増加も手伝って、ISIZEにカットオーバーいたしましたところを、蓋を開けてみたら、やはり半々のユーザープロフィールになっておりました。たぶんこうなるだろうという想像通りの数字ではありますが、やはり女性の増加というのは非常に顕著だということでございます。年齢帯でいいますと、20代で50%。30代を入れますと、もう、7割、8割という状況でございます。



職業属性ですけれども、会社員が6割。やはり、会社役員も入れますと70%前後が何らかのビジネスマン、ビジネスウーマンの方々という傾向でございます。
地域で見ますと、首都圏でだいたい40%から50%弱、関西圏で2割前後という分布図になっております。これも、ネットの分布にかなり近いのかなとは思っておりますが。


ISIZEの戦略、考え方というのはどういうことかというふうに、もう一回まとめてみますと、先ほど申し上げましたように、社会的役割と書いてありますが、ほとんど私どもの自前のコンセプトであり、ユーザーのニーズベースで出てきた言葉でありますけれども、情報を選ぶというところにとどまらないで、もっと多くのサービスを領域ごとにしてくれと。それに応えようと。

それから、個人間のやりとりも含めて、実際、MixJuice時代にとったアンケートで一番、特に女性でありますけれども、顕著だったのは、知らない人であっても、知恵や知識を交換したいという方が全体の50%以上いらっしゃいました。サイトのプロの情報が手に入るのはもちろんのこと、それ以上に個人間の知恵の共有というのが、知らない人であっても価値あるものであればしてみたいという方が非常にたくさんいらっしゃいました。個人の知恵の交換や、自分に合った情報やモノの選択が簡単にできて、自分らしさが広がっていく、あるいは仲間が最終的にはそこで発見できる場を、我々としては提供していけないかと。そういう場にアクセスいただいた消費者が自分らしい生活を、今までの企業から個人へのワンウエイのコミュニケーションではない形での場に参加することで、自分らしい生活というものがデザインできるような役割を持ったメディアができないだろうかと。メディアないしは場ができないだろうかと。
ビジネス的には、個人の欲求が当然集まってまいりますので、それをベースにしたビジネス機会の創出ができないかということで、漠然とはしていますが、そういった考え方で、ユーザーを我々はリクエスターと呼ぼうと。社内的には、ユーザーと呼ぶのはやめてリクエスターだと。リクエストしてくる人たちと我々が、場において何かしらのビジネスができないかというような考え方でスタートさせました。


ISIZEというのは造語でありますけれども、I とsizeをくっつけた、非常に簡単と言うか、あまりクリエイティビティを感じませんが、苦労惨たんした挙げ句、こういう形になりました。individualとかいう意味も持っていますし、我々としては、込めたかった思いは、本来はmy
sizeであります。
先ほどお話が出ましたISIZE Travelにちょっと触れたいと思います。インターネット上で私どもは、エイビーロード、じゃらんという国内、海外のサービスをずっとさせていただいておりましたけれども、昨年の末にRecruit ISIZE Travelという会社を設立いたしまして、5月31日にサービスインをいたしました。今のところ海外のパッケージツアー中心に、ホテルとレンタカー,あるいは航空券の買えるサイトになっております。

確かにこれは、メディア業というよりは、もう既に4種の販売代理店免許を取得しておりますので、形態的には旅行代理店業ではありますけれども、私どもとしては、位置づけ的には、これはあくまで販売支援のプラットホームという考え方をしております。
スタート時点で3万5,000から4万コースほどデータベースに入っておりまして、海外のホテルも 6,000軒ほどのホテルがダイレクトに予約ができる構造になっております。
今までは、旅行代理店さんというのは、私どものエイビーロードという媒体を使っていただいて、広告を載せさせていただいて、それで集客でお返しするという構造をとってまいりました。Recruit ISIZE Travelは、4種の代理店業を持っておりますが、位置づけとしては、それを販売マージンとしてトランズアクション・フィーという位置づけで、どちらも、紙のメディアもRecruit
ISIZE Travelも、我々にとっては、対クライアントの考え方としては、販売支援プラットホームとして使っていただくと。1つだったものが2つ用意できるというふうなスタンスで捉えております。
更に、先ほど言いましたように、行動プロセスのカバーを拡大する。予約ができる。その後のフォローも含めて、RITには旅行者からのたくさんのメール、コールセンターへのコールが参ります。カットオーバーして1週間経ちますが、だいたい我々が想定していた通りの、若干コールセンターよりもネットが多いのはちょっと驚いておりますけれども、ほぼ半々のコールセンターとネットのユーザーのリアクションが来ます。先程来お話が出ている、これが一番私どもにとっての財産であります。

今まで、エイビーロードは、顧客の情報をとろうとしても、アンケート方式であるとか、電話のリサーチですとか、そういったものでしかとれませんでした。リアルタイムで、本当にデイリーで、夜中でも、むしろ夜中のほうが深く濃いコミュニケーションのメールを、あるいは電話をいただけます。我々は、ここで、ユーザーが問い合わせてきたり、あるいはリクエストしてきたもののログ集計なりデータマイニングを行うことで、複数プレーヤーを抱えていますが、そこに対するフィードバック機能を更に強化することで、より効率のいい販売支援を我々は担うんだというスタンスで、このRITを立ち上げております。

これが、先程来申し上げている図式です。リクルートの旅行領域以外に、今、15シーン、ISIZEでは展開しておりますけれども、基本の考え方であります。情報誌との比較として、それぞれの行動のプロセスをどこまで我々がカバーしきれるのかというのを、各領域ごとに、こういったバリューチェーンの中で自分たちの提供できるサービスというのをつぶしていって、そこでの競争力あるいは利益の源泉がどこにあるのかというのを分析していきながら、それぞれの領域ごとのビジネスサービスを考えていこうと。こういう考え方で行っております。RITの場合は、客付けから予約受付、代金収納、販売報告というところでありますが、我々が次にRITが進化していくべきであろうと思っている考え方でいいますと、今、既存の旅行代理店さんの商品をマージン型で販売チャネルとして持っておりますけれども、一番願いとして、新しいプラットホームとして機能していくのは、製販分離だろうと思っております。

旅行業界では、今、非常にそれが課題として随分捉えられて議論されておりますけれども、たぶんこれから先、こういったプラットホームに対して販売の部分のコストを一切持たない、製造専門の新しい形態の旅行メーカーといいますか、プロダクトメーカーみたいなものが登場してきていただくことが、このRITのサービスの成功につながるし、新しいマーケットの展開になるんだろうと思っております。情報誌もまったく同じようなスキームでやってまいりました。今までの販売チャネルではない通販という形態を持つことで販売コストを激減していただいて、我々がマーケティングデータをフィードバックすることで新しい商品が生まれてくるというサイクルを情報誌はやってまいりましたが、このISIZE
Travelもまったく同じように、更にそこを劇的にコストダウンしてサイクルアップするという考え方でRITを展開しております。
というふうに、RITはひとつのモデルであります。ISIZE の中には、4つの軸を、今、ビジネスモデルとして持っておりまして、ご紹介しましたRITはニーズマッチングビジネス。トランズアクション型のニーズマッチングビジネスです。同様に、それはECの支援でもあるんですけれども、本やCD、ブック、コンピューターといったところの販売を支援する事業というのも我々は軸として持っております。
左下にありますMDSというのが、これはメンバーシップ・ディスカウント・サービス。後ほど、受付のほうに、この ISIZEのパンフレットがございますので、もしよろしければ、これをご覧いただければと思いますが。club-eというサービスをやっております。これは会員制の割引のディスカウント・サービスでありますが、顧客から会費をいただいて、会員になっていただいた方々は、今のところ、グルメと日本の宿が20%から50%の割引になるというclub-eサービスでございますが、こういったものも、顧客とのリレーションの中で、顧客からお金をいただくことで我々が提供できるスキームという形で、今までの情報誌にないリレーションシップ・マネジメントがとれないかということで実験を始めております。

EC支援、なぜなのかということでいいますと、先程来ずっとお話ししたことの繰り返しになります。やはり、私どもとしては、ユーザーの必然性に則ってOne Stop化を実現しなければいけないという必然性から、その先に出てくるインターネットビジネスにおけるOne
to One、あるいは、そこからのリレーションシップ・データベースマーケティングという形をどうやって構築するかというときに、それは、本であれ、CDであれ、旅行であれ、情報の流通というところから一歩踏み込んで、ユーザーのリクエストがきちっと把握できるような構造に
ISIZEを持ち込みたいということでEC支援ビジネスを展開しております。

我々のビジネスの展開上の優位点でいうと、ひとつは、リクルートというのは検索エンジンを持っておりませんので、アチャラというのをやっておりましたが、ISIZEにおいては、あえて中止をいたしました。検索エンジンではない、つまり、ポータルを狙うのではなくて、個人が個人として、その領域の興味、関心で訪れていただいた場合に、一番深いナンバーワンのサービスをすることで、我々、フォーカスドポータルとかハブとかいろんな言葉を使って説明していますけれども、要は、あるリクエスト、思いを持って訪れていただいた方のほうが、より、私どもとしてはコミュニケーションを深くとれるのではないかと。その中でナンバーワンになっていくことで場の展開をしていこうと。と同時に、15シーン展開しておりますので、それぞれの領域に訪れていただいた顧客との領域間のシナジーというものもこの場で作っていきたいということであります。

最大の入り口でありますリクルートナビ、現在、34万人程度、毎年、新卒がこのリクルートナビに登録をいたします。新卒のマーケットの半分以上を担っております。デイリーで、個人個人のホームページにおいて就職手帳というツールを使って、自分が申し込みたい、あるいは訪問したい企業の説明会のスケジュール管理であるとか、ダイレクトメールであるとかいったものがオートマティカルに、この手帳を見ることで自分の就職活動がマネジメントできます。そういう装置をリクルートナビは持っておりますけれども、ここでつかまえたユーザー34万人に対する他領域間のシナジーも生まれていくでしょうし、ここのノウハウ、あるいはキーマン'Sで使っているユーザーとのコミュニケーションのノウハウが旅行領域へも展開していくことで、同等レベルの、あるいは、それ以上のサービスを我々としては提供していけるのではないかというふうに考えております。

EC支援の例でいいますと、ひとつだけご紹介しておきますと、ISIZE BOOKというのがございます。これは、BOOK CLUB の本屋さんというところとパートナーシップを組ませていただいて、私どもとしてはゲートウエイ、フィルメントの部分を本屋さんがやっていただくという形でサービス業をしております。これ以外に、CD、コンピューターのECの実験もトライアルとしてさせていただいています。

ただ、我々としては、本なら本、コンピューターならコンピューターという領域で1社パートナー提携をしていくということが最終スキームだとは思っておりませんで、この中で生まれてくる、先程来ずっとお話ししていますユーザーとのリレーションの中で次への展開、例えば、今一番、本のサイトに来るユーザーのニーズとして高いのが、例えば、自分の書庫がいっぱいで、古本のリサイクルなりリセールなりを何とかしたいと。こういった場合に、例えば、我々がやっていますジャマールの掲示板機能を更にバージョンアップすることで何かお手伝いができないかと。その本のサイクルが流れることで、新刊本もまた新たに生まれてくるようなサイクルがつかめないかとか、ユーザーのリクエストを、こういうプラットホームをベースにして、今後更にどうやってアプロードさせて新しいビジネスにつなげいでいくか。今のところ、その場を作ったという段階だろうというふうに私どもは思っております。


ずいぶん端折ってしまいましたので、ISIZEとは何物かというのをご説明するのをカットしてしまいましたけれども、その辺は、このパンフレットをご覧いただければと思います。今申し上げました機能以外に、マイサイズというページも6つの領域で展開しています。これは、先ほどお話ししました、就職における、リクルートナビにおける個人ページと同じような考え方で、条件検索のスクラップであるとか、結果の配信であるとかといったものがカスタマイズされて届くようなページも、各領域ごとに持っております。
こういう形で、ISIZEの次世代、次への展開ということを最後にお話しして終わりたいと思います。
今ご紹介しましたように、1月にカットオーバーしました ISIZEは、お店を開いたという段階だろうと私どもは思っております。まずやるべきなのは、各領域におけるユーザーとのコミュニケーション、ユーザーのリクエストをどうアンテナに結び付けていくかという装置づくりが、まず第一でありますし、領域間のシナジーを次にセットアップどうできるかと。各領域ごとに、やはり次にやりたいことは、先ほど、久米さんのお話を伺っていても強烈に感じることでありますけれども、各領域ごとのイベントとしてのコミュニティないしはメーリングというユーザーとのリレーションが継続的につながっていくようなものを、どうこの中に組み込んでいくのかといったことをこれからの課題として、たぶんISIZEは展開していくことになるだろうと思っております。それを実現した上で初めて、きょうのような場で、もう少し大風呂敷を広げられるのかなというふうには思っております。
平成11年 6月 8日(火曜日)講演に基づく
禁無断複製/転載/引用
(C)大庭 広巳(株式会社リクルート)
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