第2回 デジタル&ネットワークマーケティングセミナー
第2回 デジタル&ネットワークマーケティングセミナー講演録
ホンダの場合
− 1998年9月から11月までのバナー広告効果の検証 −
本田技研工業株式会社 広報部NCプロジェクト 渡辺 春樹 氏
バナー広告の効果の検証
こういった現在のホンダのホームページについての前提をまずご理解いただいた上で、今年の9月から、一応広告としては10月まで、バナーについていろんなことをやりましたと。どういう効果があったのかというのを数字でご理解いただきたいということで作ってみました。これは、うちのハウスエージェンシーでありますHondaCommtecというところと一緒にやっております。
これが、先ほどのトップページへのアクセスで、前段階で、アクセスに影響した要因というのを、バナー以外に何が今まであったのかというのを、一回見てもらいます。まず、この辺の山を作っているのは、上に書いてありますが、4輪のカタログにURLを掲載するようになったのがこの辺からです。それから、4輪関係の新製品の、新聞だとかそういったものにURLを入れるというのがこの辺ですね。
特に注目すべきは、ここに実は平らな山があるんですが、ここは日付も分かっていて97年の6月26日なんですけれど、上を見てもらうと分かるんですが、2輪の専門誌。この時まで2輪というのはアクセスが4輪の10分の1しかなかったんですが、4輪の専門誌数誌にURLを掲載するということをここで始めていまして、その日から2輪のアクセスが、ほぼ4輪と同じくらい、今は半分くらい入っています。これが結構長いこと続いて、1年くらい効果があったですかね。雑誌広告そのものはそんなに長いことやっていませんので、一回集中的にやると、新しいお客さんがこの辺でかなりまとまっていらっしゃったということで、あまりメジャーじゃない商品でも、そういう人たちが引っかかるようなメディアで、あると思っていない人にURLを例えばきちんと告知すると結構来るものだなと。千人単位で来ていますので、結構来るなというのが印象です。
さっきもご説明した通り、ロボットではテレビ番組の影響。あと、他のメディアからと。リクルート関係では、そういったよそのリンクからの流入。こういったものが見られましてなかなかおもしろいなと。
実は、原野さんには前からいろいろとお話をしているんですけれど、この時点まで、今年の9月までは、インターネット上のバナー広告とかを含めて一切やらないという方針でした。なぜやらないかというと、効果がないというよりも、何のためにやるのか、普通は、こういうふうにアクセスがありまして、これを増やして、より多くの人を自分のサイトに呼び込もうということですので、「別に困ってないよ。それ以上来られるとパンクするもんね」みたいなのがありまして、実際、例えばこの辺では5,000人くらいでパンクしてしまったという。その後、随分強化しているので、今はこの辺まで来ても大丈夫ですけれども。そういうことも事実としてはありまして、きちんとしたいいお客さんだけをきちんと呼び込んでおけばいいというふうに、この辺ぐらいまでは考えていました。
ただ、去年あたり、随分、競合メーカーも含めましてバナー広告をやって、やっている時には「やるまい」と思っていたんですけれど、最近もう、ちょっと皆さん疲れたのか、あまりやっていないものですから、プレゼンスを上げるにはちょうどいいかなと思っていまして、9月から新製品が、例えばこのHR-VとかS2000とかZとか、いろいろ出てきたということもありまして、そういった商品で、じゃあいろんなバナーの検証をしてみようじゃないかということでやっております。個別の商品についての結果は、この後のページでご説明いたします。
普通、アクセスの一般的な傾向としましては、これは、1日目、2日目、3日目、4日目と、発表してから10日間のアクセス、今年出た新商品のアクセスのパターンです。例えば、これがHR-Vという新商品なんですが、発表してから、ここはちょっと休みが入っているんですけれど、翌週の平日にピークが来まして、6,000人ぐらいですかね。それで、ずーっと下っていくと。あるいは、このZという軽の商品では、翌日が平日なのでいきなりピークが来て下がっていくと。一言でいうと、10日ぐらいのアクセスがかろうじてあって、正味1週間、新車効果は1週間ということになるかと思います。
じゃあ、落ちた後にバナーを打ったらどうなるかということで、きょうはYahooさんもいらっしゃっているので、Yahooさんのデータはいいよというのを見せようかなということで、次のページ。
今のところが、ここの10日目なんですが、11日目行こうにYahooさんを打ちますと、このようにアクセスがポンと跳ね上がります。例えばZという商品だと、この時点だと2,000人弱ですね。それが1万6,000人ですから8倍くらい引っ張ってきたということになります。これは、Yahooさんのパイロットシートといって、一番高いところなんですけれど、ここに出すと確かに効果はある、人を呼ぶ効果はあるということになるかと思います。だいたい5倍とか8倍ぐらいのお客さんを呼んでくることが可能だというふうに思います。こちらに機種がいろいろ書いていますけれども、もうちょっと詳しく個別に見ましょう。
まず、HR-V。皆さん、車は詳しい方もあればほとんど関心ない方もいらっしゃるので、一応写真を出しておきましたけれど、こういう車です。小型の、今、流行りのRVという形で、この車については、バナーはYahooさんのパイロットシートだけをやっています。黄色がアクセス量でありまして、ブルーで書いてある濃い線がカタログの請求の数です。さっき言った指標のひとつですね。
見ていただくと分かるんですが、何もしない時期で、アクセスは 6,000ぐらいをピークに10日間くらいで下がっています。その後、Yahooさんのバナー広告を5日間打っていまして、これは1万4,000ぐらいをピークにしていますね。カタログ請求量も、「うん、ちょっと引っ張られて上がっていますね」と。「効果あるんじゃないの」と。このうち1割買ってくれたらいいなと。こっちにカタログの部数があるので、「あ、なんだ、1日あたりにすると大したことないな」というのはあるんですけれど、これだと、例えばピークで350冊ぐらいですね。ですから、35人しか1日に引っ張ってこなかったということになるんですけれどもね。もし売れたとしたらということです。
あまり人気のないモデルはどうなのかというのが次のデータで、さっきのはまったくの新車なんですが、こいつはシビックといってマイナーモデルの商品でありまして、こいつはバリュークリックさんを2回使ってみました。どうなったかというと、こことここにバリュークリック、横に延びるんですけれど、これはクリック保証というやつをやっていまして、この黄色いのがアクセスですから、明らかに効果があったというふうに言えるかと思います。高さの違いはお金の違いというふうに見てください。これがカタログの請求数です。これを見ると、「あれっ、カタログは別に影響を受けてないな」というのが分かるかと思います。従って、かなりアクセスは増えているけれど、カタログ請求、多少下支えになったかなというくらいの感じで受け取れると思います。
もうひとつ、人気ないんですけれど、次の機種、プレリュードというやつを見ていただくともうちょっと顕著で、こいつは実はかなりのお金を投入しています。他のメディアの広告を一切やめて、インターネット広告だけで実はやっていて、マイナーモデルですので、あまりもともと関心を呼ばないだろうということなんですけれど。当初のアクセス、だいたい1,000前後ですね。それに対して、ここでバナーを打ち込んでいまして、例えば、バリュークリック、PointCast、マイクロソフトネットワーク、テレパーク、マグカフェ、J-Wave、Netscapeとか、結構主だったところを含めてバリバリ、トップページに打ち込んでいるんですが、アクセスはこのようにある一定の効果があるようです。でこぼこしているのは入れた時期がありますので。赤いのがカタログ請求ですが、「全然効きませんね」みたいなのですね。ここに書いてありますけれど、バナー広告はアクセスの増加、つまり来店数を増やすことは可能だけれど、実際に売りにつながる商売としてのカタログというレベルでは、この機種に関して言うと効果はなかったということが言えると思います。
じゃあ、もうちょっとコンビネーションでいろんなことをやったモデルはどうなるだろうかということで、これはZという軽なんですけれども、商品に関心ない方はいるかもしれませんけれども、軽のミッドシップのターボの4駆ということで、どっちかというと、ハイスペック志向のお父さんに向いていそうな商品なんです。この商品については、ティーザー広告を含めていろいろやってみましたということです。
まず、正規の発表は10月の8日なんですが、この前に1カ月ほどティーザー広告を打ちました。これは、ここに書いてありますけれど、日刊スポーツ、スコラ、ぴあ、諸々いわゆる雑誌系と言われているサイトを中心にやっていまして、一定の効果がありました。このページはティーザー広告ですので、車をきちんと出すということはできませんので、一部見えるという写真が4枚くらい実は付いているだけなんですね。この期間のページビューを分析しますと、1人当たりのページビューは16ページです。4ページしかないので、16ページ見ているということは、同じ写真を4回見ているという計算になりますね。すごくみんな熱心に見ているんだということになります。
一定の効果はあったなと。発表後、ここはバナーをやっていない時期ですけれど、やっぱり数千人単位で人が来ています。ここは Yahooさんの先ほどのパイロットシートでありまして、またやっぱり効いていますねと。その後、バリュークリックさんとかやっているんですが、ここはあまり効かないということで、見ていただくと分かるんですが、やっぱりここがきれいによく見えますね、という感じです。
じゃあ、同じ時期に出たもうひとつのモデル、同じ軽同士なんですが、兄弟車でライフという商品がありまして、これのアクセスはじゃあどうだったのと。何もしなかったらどうなのというのが、この緑の線ですね。何もしなくてもこの程度のアクセスは確保されているということになるかと思います。
では、Zという商品のカタログについてはどうだったの、ということになると思うんですが、このブルーのラインがカタログ請求の数で、このYahooさんをやっている時は確かに効果はありますねと。それから、あとは真っ直ぐ下がっているのかな。
このページでちょっと注意して見ていただきたいのは、まずカタログ請求の頂点の数というのは、Yahooさんをやった時よりもずっと高いですよね。それから、このアクセス量もこの辺ですから、1,000ぐらいの時にYahooさんでやるとだいたい14,000。だから10何倍になるんですね。非常にアクセス量が高くなっています。それに対してカタログ請求の数は、これで見ると大したことないかな。200弱と。200に対して400倍になったと。だから、アクセスが10倍来ても、カタログ請求は数倍にしかならない。来たほどの効果はない。これは、結構効果があったというくらいのレベルだと思いますけれど。ということで、いろんなデータが、まだこれから読み取れるかなと思います。
いろんな機種、10月にやった商品の1日から30日までのデータを重ねてみますとこんな感じで、この高くなっている山は、だいたい Yahooさんをやったやつですねと。ただ、よく解析してみますと、ここで確かに人を集めたという意味では効果はありますけれど、じゃあ、例えばカタログ請求というレベルで1人集めるのに幾らかかったのというと、だいたい5万円くらいかかっている計算になります。あまり効果がないだろうというプレリュードとかシビック、例えばシビックでバリュークリックさんだけでやった場合、1人のカタログ請求に対してかかったお金は1,000円程度です。ですから、それを高いと見るか安いと見るかというのは、よく考えなければいけないというふうに思います。
パッとまとめるとこういうことで、新車キャンペーンとしてやっていくと、そこそこの効果はあるんじゃないのと。ただ、商品の特性、お客さんの特性、実際にインターネット上でやっている人たちのことをよく考えながら組み立てたほうがいいというふうに思います。
数字だけを見ると、Yahooさんはすごいなということになって、きょうは大喜びで帰られると思うんですが、さっき申し上げた通り、費用対効果についてはまだこれからの検証が必要だし、プレゼントをトップページの場合は付けなきゃいけないものですから、プレゼント目当ての人がかなり多くなって、実際の例えば、さっきカタログ請求をしたうち10%の方が買ってくれると言っていましたけれど、たぶんYahooさんで集めたデータ、あるいは別の検索サイトから集めたデータもそうだと思いますけれど、かなり薄まるだろうと。1%くらいまで下がってしまうかもしれないと想定していまして、この辺は、もうちょっとデータをこれから集めていこうかなと思います。
銀座通りに看板を出したみたいなものですから、アクセス者の多いサイトに広告を出すということは、多くの人が押す押さないにかかわらず見ていただくという、認知を上げるという効果はありますので、テレビコマーシャルの超ミニ版みたいなレベルでいえば、そこそこバナーを出すということは効果があると思います。これについては検証はまったくできません。一言でいえば、新車発表時にうまく使うと結構いいんじゃないのと。この辺はあまり詳しくしゃべりませんですが、こういうことも考えているということになります。
じゃあ、バナー広告を全然しなくてもいけるというモデルもありますよねということで、これは来年の春に一応売る予定のS2000という車ですが、それのデータを見ていただこうと。これは、さっき、フォローマーケティングとか言っていましたけれど、一応メールサービスを受け付けていまして、この機種だけのメールみたいなのをサービスして毎月出すというのをやっています。
これのアクセス量なんですが、9月24日に広報的な簡単な発表をしまして、10月4日に一般に、茂木という場所で公開したんですけれど、そこからコンテンツがあるので、このブルーのラインがアクセスです。順当に数千単位でお客さんがいらっしゃっている。こいつは今でも、実はホンダのホームページの中のトップのページビューを誇っておりまして、スポーツカー関係は非常に長い間アクセスを確保するということになるかと思います。
ただ、ちょっとおもしろいなと思うのは、これは10月4日以降ですけれど、実は発表はここにあって、この間にコンテンツがなかったかというと、実はプレスリリースはここにあげているんですね。これは、味もそっけもないプレスリリースだけなんですけれども、それと重ねてみるとちょっとおもしろいなというので作ってみたのが次のページです。
ちょっと見にくいんですけれど、白いラインがプレスリリースのS2000の部分だけのアクセスです。ですから、ここに1つ山があるんですけれど、ずっと高い山が発表直後にありました。やっぱり旬ということが一番重要で、見てくれがきれいとかいろいろ仕掛けがあるとかいうよりも、より新しい情報を求めにたくさんの人が発表直後に集まるということが言えるかなというふうに思います。ですから、時間というのが結構重要なファクターだというふうに思います。
じゃあ、カタログ請求はといって、まだ売っていない商品なのでプロトタイプと言っていまして、それでももうカタログがあるというのは変なんですけれど、非常に簡単なカタログをお店でも配っていますけれど、これを何人くらい登録したのかというと実際に1日数百人単位ですかね。この辺で500部くらいですから。ですから、アクセスとだいたいリンクして結構なカタログ請求が行われています。さっき申し上げたメール登録というのが1週間で1万人くらい。現在、1万7,000人くらいだと思うんですけれども、この車のサイトだけのメール登録をされているという形になっています。何もしていないんですけれど、バナーも何もしてないんですけれども、結構いっぱい来ていて賑わっているサイトであります。
最後に、全部の商品を重ねて見てみまして、山の高さを見てもらおうということですね。アクセスの絶対量、2,000人、4,000人、6,000人というふうに言っちゃうとちょっと乱暴ですけれど、そういうふうにしましょうとしたときに、こういうお金をかけて上げたやつ。それから、今のS2000みたいに、お金を別にかけなくてもほぼ互角に戦っているやつもあるし、なかなか下がらないので、もっと向こうまでずっとありますから、商品の特性によって、あまりお金をかけてもしようがないよという商品もあるし、あるいは、いろいろ仕掛けをするとおもしろいという商品もあるし、この辺は、よく考えてやっていくとおもしろいんじゃないかなというふうに思います。
以上でございます。どうもありがとうございました。
平成10年12月7日(月曜日)講演に基づく
禁無断複製/転載/引用
(C)渡辺 春樹 (本田技研工業株式会社)
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