富士通総研

ネットワーク社会の消費行動に関するアンケート


ネットワーク社会の消費行動に関するアンケート


調査結果(1)オンラインショッパーの特徴

(1)オンラインショッパーの特徴

a.基本属性と生活行動およびネットワーク利用度

インターネットやパソコン通信などの情報ネットワークは消費者の生活に浸透してきているが、ネットワークは消費者の消費行動に実際にどのような影響を与えているのだろうか。ここでは、そのような分析のための足がかりとして、本調査で得られた回答をもとに、オンライン・ショッピング(インターネットやパソコン通信で商品を注文すること)の経験の有無でサンプルを2つに分け、2つのグループを比較することによって、「オンライン・ショッパー」の特徴を明らかにすることを試みた。以下では、オンライン・ショッピングの経験があるグループをAグループ、ないグループをBグループと呼ぶ。ちなみに、Aグループの構成員は371人(47%)、Bグループは325人(53%)である。

オンライン・ショッパーは子どもがいる専門・技術職

まず、AグループとBグループの年齢や家族構成、職業などの基本属性を集計し、そのうち特にグループ間で違いが目立つものを図3-1に示した。大雑把に言えば、オンライン・ショッパー(Aグループ)は年齢が比較的高く、夫や子どもと同居しており、世帯年収も比較的高い。職業については、自営業の割合がAグループでは4.3%、Bグループでは1.6%という違いはあるが、主婦の割合が2つのグループともに約30%(Aグループで29.3%、Bグループで29.7%)などと、大きな違いはない。しかし、会社員の職種については、専門・技術職の割合がAグループの方で高くなっている。

図2



オンライン・ショッパーはデパートに行く回数が少ない

次に、テレビの視聴時間や読書時間などの生活行動について同じような集計を行い、その結果を図3-2に示した。ここでも大雑把な表現をすれば、オンライン・ショッパーをそうでない消費者と比較すると、テレビを見る時間が少ない、FAXを使う回数が多い、書籍や雑誌を読む量が多い、デパートや専門店に行く回数は少ない、カタログ通販の利用度が高い、海外の通販で個人輸入をすることが多い、といった特徴が指摘できる。次に述べるようにオンライン・ショッパーはインターネットなどに接続している時間も長いため、その代わりにテレビを見る時間が減っているとも考えられる。また、デパートや専門店に行く回数については、ここでは自宅の周辺にそのような店舗があるかどうかという要素を考慮していないので断言はできないが、オンライン・ショッピングは既存の店舗、特にデパートや専門店に取って代わる販売チャネルであるという可能性も指摘できる。

図3-2.生活行動の違い

図3



ネットワークを良く利用する人がオンライン・ショッピングも

さらに、インターネットの利用開始時期や通信時間など、ネットワーク利用度との関係を調べた。その結果が図3-3に示されている。この図からは、オンライン・ショッパーの特徴として、インターネットをブーム以前から使っていた人の割合が高い、ネットワークへアクセスしている時間が長い、受信メール数(発信メール数も)が多い、メーリング・リストやニューズ・グループ、さらにはチャットなど、各種のサービスを利用している人の比率が高い、という点が指摘できる。これらの結果は事前に予測されたとおりであり、ネットワークの利用度が高い人ほどオンライン・ショッピングにも積極的であるということが言える。

図3-3.ネットワーク利用度の違い

図4



b.買物と情報に関する意識や行動

実際の買物行動にはあまり差はない

次に、AグループとBグループを、買物や情報に関する意識や行動の面から比較してみた。まず、買物に関する意識や行動については、図3-4に示されているとおり、両グループのあいだには大きな違いは見つからない。違いが比較的大きなものをあえて選ぶとすれば、「レジの列に並ぶのはイライラする」という質問に対して、自分が「まったくそのとおりである」あるいは「どちらかと言えばあてはまる」と回答した人は、Aグループで71.4%、Bグループで65.8%と、Aグループの方が比率が高い。しかし、この差はそれほど大きな違いではない。また、オンライン・ショッピングの大きな利点のひとつが24時間どこでも注文できるという利便性であり、忙しい人ほどネットワークを利用すると考えられる。しかし、実際には、本調査で得られたデータを見るかぎり、「忙しくて買物の時間がない」という質問に肯定的に答えた人の比率は、Aグループで44.0%、Bグループで43.1%と、わずかながらAグループの方が高くなっているものの、この程度の差では決して明確な違いがあるとは言えない。これは、ネットワーク利用度の違いも考慮すると、いまのところ、消費者は忙しいからオンライン・ショッピングを行うのではなく、ネットワークを利用する機会の多い消費者がその延長でオンライン・ショッピングを行っていると解釈できるだろう。

図3-4.買物に関する行動や意識の違い

図5



忙しさとオンライン・ショッピングの関係についてもう少し詳しく分析するために、図3-5では、「忙しくて買物の時間がない」という質問に肯定的に回答した人の割合を、オンライン・ショッピングの回数別に示した。この図で目立つのは、オンライン・ショッピングの回数が20回以下の場合グラフの長さはほぼ同じであるが、21回以上のヘビー・ユーザーになると、「忙しくて買物の時間がない」と答えた人の割合が急激に高くなることである。21回以上オンライン・ショッピングをしたことがあると答えた人は11人で全体の1.6%にすぎないために一般的なことは言えないが、オンライン・ショッピングを頻繁に利用しているヘビー・ユーザーは、普段忙しいために買物をする余裕がなく、既存の店舗に足を運ぶ代わりにオンライン・ショッピングを行っているということが考えられる。

図3-5.「忙しくて買物の時間がない」と答えた人の比率(オンラインショッピングの回数別)

図6



オンライン・ショッパーは自らの情報源と判断基準を持つ

次に、生活における情報に対する意識や行動に関する設問への回答を、AグループとBグループで比較してみたのが図3-6である。この図では、「自分なりに情報収集の方法を持っている」という質問に対して肯定的に答えた人の割合がAグループでは明らかにBグループよりも高くなっていることがわかる。また、「雑誌に載っている店によく行く」や「広告していない商品は不安だ」といった設問に対しては、Aグループの方がBグループよりも肯定的に答えた人が少ない。これらのことから、オンラインショッパーは、日常生活においてマスコミに左右されない自分自身の情報源を持ち、自分自身の判断で行動している人たちであるということもできるだろう。

図3-6.情報に関する意識や行動の違い

図7



c.消費におけるネットワークの評価

本調査では、ネットワークが買物にどのような影響を与えるかということに関して、いくつかの点について直接質問してみた。その結果をAグループとBグループ別に集計したのが図3-7である。

ネットワークには好意的だが、情報過多の不安も

この図からは、全体的に言えば、オンライン・ショッピングを実際に経験したことのある人たちの方が、そうでない回答者よりもネットワークの効果を肯定的にとらえていることがわかる。たとえば、ネットワークを利用して買物をするようになると「売り手とのコミュニケーションがなくなる」と考える人は、「まったく同感」と「どちらかと言えば同感」を合計すると、Aグループで60.2%、Bグループで74.9%と、ともに50%を上回るものの、明らかにAグループの方が比率は低い。また、「悪質な売り手が増える」という設問に対しては、Aグループで81.8%、Bグループで87.3%の人が同感だと答えており、比率は高いが、やはりAグループの方が楽観的である。「買物が便利になる」という設問に対しては、Aグループで87.3%、Bグループで77.6%、「消費者がより積極的に発言できるようになる」という設問には、Aグループで60.6%、Bグループで50.6%と、いずれも過半数の人が同感と感じており、中でもAグループの方がネットワークに積極的な評価を与えている人が多い。

AグループとBグループで大きな差はないが、過半数の人が「ネットワークを利用できない人は不利になる」と答えている。一方で、「情報が多すぎて何を選べば良いのかわからなくなる」という設問に同感の人も過半数を超える。「ブランド意識が強くなる」と答えた人はともに20%未満で、「アフターサービスが重要になる」という人はともに80%を超えている。

このようなことから、一般的に言って、実際にオンライン・ショッピングを行ったことのある人の方がネットワークに対する評価は高いが、悪質な売り手の増加や情報の氾濫については、過半数の人が懸念を持っていることがわかる。そのことは、アフターサービスを重視する態度からも明らかである。ネットワークが消費者の買物行動の中に本格的に浸透していくためには、消費者間の情報交換や認定制度などによってネットワークの中で悪質な売り手が淘汰されるメカニズムができ、氾濫する情報を消費者のために加工して提供するようなサービスが登場することが必要だと思われる。

図3-7.ネットワークに対する評価の違い

図8