富士通総研

ケーススタディ


eメールプロモーションの効果分析


eメールを使ったプロモーションのメリットは、低コストで、しかも高効果が得られることである。しかし、高効果をあげるためには、オプトインのリストで、精緻なターゲット設定を行うことが前提条件となる。

オプトインとは、消費者が自発的、または同意のうえで参加する状態を指し、消費者が関心のある情報を得るために自発的に登録したり、企業が消費者個人の同意を得たうえで送るeメールのことをオプトインeメールという。つまり、オプトインeメールでは、受け手である消費者がそのメールの届く理由と、送り手である企業との関係を認識している。反対に、消費者はことわりもなく送りつけられるプロモーションeメールに対しては、迷惑感や不信感を抱くことが多く、これはかえって逆効果となる。

オプトインeメールは、企業が自社で保有する顧客リストで直接行うケースのほかに、eメールの受け入れに同意した消費者を会員として抱えるオプトインeメールの仲介サービスを利用することもできる。仲介サービスでは一般に、消費者の属性や興味ジャンルによるターゲット設定が可能であり、新規顧客の獲得に有効である。

オプトインでターゲットを設定したeメール・プロモーションの効果をスポーツニッポンの発行するメールマガジン「スポニチメール」の購読者募集プロモーションを例に分析してみる。

なお、このプロモーションには、オプトインeメールの仲介サービスとして、自分の関心のある話題を選んで登録し、企業からのマーケティング・メッセージを読んだり、アンケートに答えることに同意した24万人のメンバーを抱える富士通のiMiネットを利用した。

iMiネット全体図



プロモーションプラン

スポーツニッポンのメールマガジン「スポニチメール」は、スポーツ試合結果、芸能、ギャンブルの最新情報を、毎朝4時に配信する無料サービスだ。新規購読者獲得プロモーションにあたっては、数種類のターゲットと文面の組み合わせによるテストを行い、そのなかから最も効果の高いターゲットと文面を選んで、本格的なプロモーションを実施するというステップを踏んだ。

テストでは、それぞれのeメールの文面に、スポニチメールの購読申込みのできるWebページへのリンクを入れ、このリンクのクリック率で効果を測定する。

iMiネットのメンバーがあらかじめ登録した興味ジャンルと属性項目によりターゲットを絞り込み、クリック率の測定には、eメール内のURLをiMiセンター経由とすることで、クライアント企業のサーバーを変更せずに効果測定できる機能を利用した。

プロモーション全体図



テストプロモーション

eメールの文面は、いずれもスポニチメールのサービスを説明したものだが、スポーツ情報の提供をアピールし、文章の長さを変えた長短の2種類(スポーツ1、スポーツ2)と、芸能ニュースの提供をアピールした1種類(芸能)、そしてスポーツや芸能をとくに強調せず、普通にサービスを説明した1種類(サービス説明)の計4種類を用意した。

一方、ターゲットとしては、興味ジャンルの「通信・インターネット(メンバー全体の58%が選択)」、「スポーツ観戦(全体の32%)」、「TV・ラジオ・タレント(全体の45%)」を選び、4種類の文面と以下の表のように組み合わせ、7通り(各1000通発信)のテストプロモーションを行った。

テストプロモーションの種類
名称 ねらい 文面 興味ジャンル 発信数
A インターネットに興味を持っている人に
スポーツ情報(長)を案内
スポーツ1 通信・インターネット 1,000
B インターネットに興味を持っている人に
スポーツ情報(短)を案内
スポーツ2 通信・インターネット 1,000
C インターネットに興味を持っている人に
メールマガジンを案内
サービス説明 通信・インターネット 1,000
D インターネットに興味を持っている人に
芸能情報を案内
芸能 通信・インターネット 1,000
E スポーツに興味を持っている人に
スポーツ情報(長)を案内
スポーツ1 スポーツ観戦 1,000
F スポーツに興味を持っている人に
スポーツ情報(短)を案内
スポーツ2 スポーツ観戦 1,000
G タレントに興味を持っている人に
芸能情報を案内
芸能 TV・ラジオ・タレント 1,000
H スポーツに興味を持っている男性に
スポーツ情報(短)を案内
スポーツ2 スポーツ観戦 23,000
I タレントに興味を持っている女性に
芸能情報を案内
芸能 TV・ラジオ・タレント 10,000


テストプロモーション結果

プロモーションテストの結果、文面に入れたURLのクリック率が一番良かったのはF(文面=スポーツ,興味ジャンル=スポーツ観戦)の15.5%で、次いでE10.0%、C9.5%の順となった。この結果を分析すると次の3点が分かる。

文面は短い方がいい
同一興味ジャンルに送ったA(文章が長いスポーツ1)が5.3%なのに対し、B(文章が短いスポーツ2)は9.0%となっている。

コンテンツにあった絞り込みが有効
スポーツ情報をアピールした同一文面で興味ジャンルを変えたB(通信・インターネット)とF(スポーツ観戦)では、9.0%と15.5%と6.5ポイントの差がついており、ターゲット絞り込みの効果が見られる。

属性の絞り込みも大切
男女別にテストプロモーション結果を分析すると、F(スポーツ)の女性は8.7%にに対し、男性は17.4%にも達する。特に40代の会社員に人気があるようだ。また、G(芸能)は男性7.9%、女性11.6%となっている。

テストプロモーション結果(クリック率)


男女別テストプロモーションクリック率

F(スポーツ2)の原稿文面

F(スポーツ2)の原稿文面


Fのクリック数とクリック率の推移

Fのクリック数とクリック率の推移


Fの地域別クリック率

Fの地域別クリック率


Fの職業別クリック率

Fの職業別クリック率


Fの年代別クリック率

Fの年代別クリック率



本格プロモーション
テストプロモーションの結果を元に、本格的なプロモーションを実施した。スポーツニッポンでは、男性だけではなく女性の購読者も増やしたい、との希望があったため、F(スポーツ)をベースとして男性に絞り込んだHと、Gをベースに女性に絞り込んだIを発信した。

テストプロモーションの種類
名称 ねらい 文面 興味ジャンル 発信数
H スポーツに興味を持っている男性に
スポーツ情報(短)を案内
スポーツ2 スポーツ観戦 23,000
I タレントに興味を持っている女性に
芸能情報を案内
芸能 TV・ラジオ・タレント 10,000


本格プロモーション

  • 発信数 33,000通
  • クリック人数 4637人(14.1%)
  • 新規購読者数 約3500人(クリックの75%,発信の10.6%)


この結果、クリック率は14.1%となった。テストプロモーションの平均クリック率9.5%と比較し、さらに4.6ポイントも上げることができた。

テストと本格プロモーションのクリック率比較



最後に、購読者獲得費用の面から効果を比較してみると、テストプロモーションのみ4万通発信を想定した場合、スポニチメールの購読者1人を獲得するコストは約278円となる。これに対し、テストプロモーションを行ってから本格プロモーションを行うと購読者獲得費用は198円となり、約3割安く獲得出来たことがわかる。今回はプロモーション全体におけるテスト配信の比率は17.5%だったが、この比率を下げればさらにコストダウンできる可能性もある。

ちなみに、スポーツニッポンが以前行ったメールマガジン5行広告の購読者獲得費用は約546円である。関心を持っている人に関心に合った情報を届けるオプトインeメールの「高い効果」が証明された事例といえよう。

購読者獲得費用比較

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