富士通総研

ビジネス事例


プライスライン・コム
リバースオークションとプロモーション戦略


Win-Win-Win モデル

さらに、「 Buyaer-Driven Commerce」は、消費者、航空会社、そしてPriceLine.comの3者すべてがそれぞれメリットを享受できる(Win Win Winモデル)仕組みということもできる。
航空券販売を例にとると、航空会社は通常、平均30~40%の空席率で飛行機をフライトさせており、この「不良在庫」を何とか処理したいというニーズがある。一方、消費者は、自分の希望する条件でなるべく安く航空券を販売する業者を見つけるのに非常に手間がかかっていた。
PriceLine.comのビジネスモデルは、こうした売り手と買い手をうまくマッチングさせることで、双方のニーズを満たし、それぞれにメリットを与える仕掛けとなっている。



売上推移

Priceline.comの逆オークション方式での取扱商品は現在のところ、航空券から自動車、ホテルの宿泊予約、住宅ローン、さらに99年11月にスタートしたばかりの食品雑貨分野の5分野にまで拡大した。
また既に、2000年1~3月には、国際電話・長距離電話分野への進出も明らかにしており、今後もさらに保険など約60種類の分野に参入する予定という。
ネットによる逆オークション販売は、ホテルや航空券など利用当日までに売れなければ価値がなくなってしまう商品や、電化製品など供給過剰になっている分野に特に有望といわれている。まさに、不良在庫に悩んでいるメーカーや流通業者に新しい価値を提供するネットならではの流通チャネルとして各業界に革新をもたらす存在といえるだろう。

対象 サービス
開始年
経緯 コメント
航空券販売 1998年4月 1998年4月 サービス開始
1998年5月 最初の6週間で1万枚のチケット販売
1998年11月 国際線へ拡張
1999年5月 一日の売上枚数6千枚達成
1999年9月 一日の売上枚数1万枚達成
・当初は米国内のみ。現在は国際(米国発のみ)も対象。
・国内線なら1時間、国際線なら24時間以内にユーザーに連絡。
・キャンセル不可、マイレージ無し、再指し値不可などいろいろな制約条件がある。
自動車
(新車,トラック)
1998年6月 1998年6月 サービス開始
1998年9月 NY週限定でテストマーケティング実施
45日間で200万ドルの売上達成
1999年4月 1100万ドルの新車販売
1999年7月 AutoNation.Incと提携
自動車販売の全国展開スタート
・当初は、ニューヨーク州をテスト市場として順次、展開地区を拡大展開。現在はニュージャージー州、コネチカット州でも可能。
・取引が成立したら、ユーザーから25ドル、ディーラーからは75ドル。ユーザーキャンセルは200ドル。
ホテルの空室予約 1998年10月 1998年10月 サービス開始
1998年11月 電話からでも受付開始
1999年4月 サービス開始以来75,000室受け付け
1999年5月 一日1000室の売上達成
・2つ星のホテルを予約すると同じ価格で3つ星ホテルを予約することもできる
住宅ローン 1999年1月 1999年1月 サービス開始
1999年4月 最初の90日で1億2500万ドルの取扱
・住宅ローンの利率や契約内容を指定できる
・6時間で回答を出すサービス。
食品雑貨 1999年11月 1999年11月 サービス開始
ニューヨーク市近郊、フィラデルフィア限定開始1週間で1万5千人が利用。
・20万品目の食品雑貨の価格をウェブ上で指定し、近所の提携スーパーでピックアップする形態。
国際電話
・長距離電話
2000年1月~3月予定


Priceline.com利用者層

ところで、PriceLine.comがターゲットとするユーザー層は、CEMAのインターネットショッパーのタイプ分類*1によると、主に20~30歳代の節約家層といわれている。CEMAでは、この層のオンライン支出額は、来年にかけて倍増すると見込んでおり、 PriceLine.com の利用も、この動きに乗じて順調に増えていくとの推測がなされている。

<参考:CEMA*1のインターネットショッパーの4分類>
(1)便利さを追求:ベビーブーム世代。高所得者層、女性がこのカテゴリに多い。衝動買いの傾向が最も強い。
(2)節約家:X世代(20歳代~30歳代前半の世代)が多い。小売店で調べてインターネットで買うという傾向が強い。このタイプのオンライン支出額は来年にかけて倍増すると思われる。
(3)調査をして賢く買い物:インターネットを商品調査のツールとして利用するタイプ。ベビーブーム世代、中所得者層が多い。衝動買いはあまりしない。
(4)多くの商品から選択:低所得者層や近所に小売店が少なく選択の機会が少ない人が多い。ウェブサイトをブラウズするというよりも、買い物をするために決めたサイトに行くと言う傾向がある。
*1 コンシューマ・エレクトリック・マニュファクチャーズ・アソシエイション(CEMA)によるとインターネット・ショッパーのタイプ分類



プロモーション戦略

Priceline.comがわずか1年という短期間のうちにインターネットの主要ECサイトにまでのぼりつめた背景には、同社のプロモーション戦略がある。
Pricelineでは、サービス開始時に、Web以外のテレビ、ラジオ、新聞などの既存メディアに当初費用として2000万ドルを投じ、大々的なメディア・ミックスのプロモーションを展開した。中でもラジオに注力し、スタート月の98年4月時点ではラジオ広告主として米国トップとなっている。また、有名人(俳優のウィリアム・シャトナー)を起用したキャンペーンも実施。こうしたプロモーション戦略は、インターネット・サイトとしてのブランド認知にすぐに効果を発揮した。
なお、表は、1998年9月のオピニオン・リサーチ・インターナショナルが実施したインターネットブランド認知調査であるが、これによると、Pliceline.comが、インターネットユーザーで5位、非インターネットユーザーで2位というトップブランドの座を、サービス開始してわずか数ヶ月で獲得したことがわかる。

インターネットユーザーの知名度順位
順位 ブランド名 創業年度 知っている
人数(百万人)
全体比率
(%)
1 アメリカ・オンライン
(AOL)
1985 152.9 78.9
2 ヤフー 1994 99.7 51.2
3 ネットスケープ 1994 94.3 48.6
4 アマゾン・コム 1996 72.6 37.4
5 プライスライン 1998 62.5 32.2
6 インフォシーク 1994 53.0 27.3
7 エキサイト 1995 48.9 26.2
8 ホットメール 1995 46.8 25.2
9 MSN 1995 46.8 24.1
10 ライコス 1993 44.4 22.9
非インターネットユーザーの知名度順位
順位 ブランド名 創業年度 知っている
人数(百万人)
全体比率
(%)
1 アメリカ・オンライン
(AOL)
1985 57.5 65.3
2 プライスライン 1998 22.9 26.0
3 ヤフー 1994 18.9 21.5
4 ネットスケープ 1994 15.3 17.4
5 アマゾン・コム 1996 11.8 13.4
6 リール・コム 1997 10.7 12.2
7 CNET 1995 10.3 11.7
8 CDナウ 1995 9.1 10.3
9 ESPNスポーツゾーン 1995 8.3 9.4
10 MSN 1995 8.0 9.0

オピニオン・リサーチ・コーポレーション・インターナショナル社調査 1998年9月実施


ネットビジネスの最新動向は、「サイバービジネスの法則集お知らせメール(登録無料)」でお届けしています。受託調査、コンサルティング、講演も行っていますのでお問い合わせください。