富士通総研

ビジネス事例


eBay
CtoCのオークションサービス


eBayのビジネスモデル

オークションの仕組みは次のとおりである。まず、商品の売り手と買い手ともにeBayのサイトでユーザー登録する。次に、売り手は出品手数料を支払い、自分が売りたい商品をサイトに出品、最低落札価格を指定する。一方、買い手はサイト上で自分の欲しい商品を検索し、買いたい商品が見つかったら、落札価格を入力する。最も高値をつけ買い手には、メールで落札したことが通知され、売り手側の情報が伝えられる。同様に、売り手側にも売買成立と買い手の情報を記したメールが届き、売買契約が成立すると、売り手はeBayに対し、コミッション(仲介手数料)を支払う。あとは、当事者間で支払いや商品配送を行うこととなっており、原則としてeBayは売買成立後の取引にはタッチしない。
このように、eBayの収入源は、主に売り手側に課金される出品手数料(指定する「最低落札価格」に応じた額)と売買成立時のコミッション(落札価格の5%以下)である。出品手数料は、最低落札価格が、10ドル未満は25セント、25ドル未満は50セント、50ドル未満は1ドル、50ドル以上は2ドル。コミッションは、25ドルまでは5%、25ドルから1000ドルまでは2.5%。1000ドルを超えると1.25%となっている。
なお、通常のオークションとの違いとしては、出品物の事前確認や、落札後の取引や決済に一切タッチしない等、あくまで自由な個人間取引の場を提供するという運営ポリシーにある。このため、商品の鑑定リスクや代金回収リスクも負わないかわり、通常のオークションと比べ、コミッションが低く設定されているのが特徴だ。この低いコミッションと自由な個人売買の環境が、売り手買い手をともにリピーター化し、取引数を増大させることにつながっている。



オークションの種類

eBay.comでは、オークション形式として以下の4つのオークション・オプションが利用できるようになっている。
それぞれ、ユーザー(売り手・買い手)の希望に応じて選択できる。

【リザーブ・プライス】
リザーブ・プライスとは最低競売価格のことで、これを上回らない限り売買は成立しないオークション形式。バイヤーがオークションで落札するには、最高の付け値であるばかりでなく、セーラーが決めたリザーブ・プライスと同じか、それを上回る価格でなければない。最高の付け値がリザーブ・プライスに達しない場合は、セーラーおよび最高値を付けたバイヤーにも、売買義務は発生しない。

【プライベート・オークション】
バイヤーの電子メールアドレスがオークションの画面や履歴画面に表示されない形式のオークション。オークションが終了してから、セーラーと最高値を付けたバイヤーにのみ、電子メールで通知される。

【ダッチ・オークション】
同一品が複数売りに出される特別なオークション。このオークションでは、セーラーが最低価格(オークションの開始値)と個数を決める。バイヤーは、購入予定個数に対して最低価格かそれ以上の値を付け、オークションの終了時点で、最低個数の商品に対して最高額を付けた人が落札する。

【アクセス制限オークション】
「成人向け」カテゴリーにおいてクレジットカードの番号を登録してある人のみが参加できるオークション。アクセス制限オークションを閲覧したり入札するには、クレジットカードの番号を eBayに登録する必要がある。さらに、セーラーもクレジットカードの認証がなければ競売にかけられない。



事業拡大戦略

IPOによって得た資金を元に積極的な買収・拡大戦略を取っており、Bay.comのサイトで全てのオークションが可能になるワンストップのオークションサイトを目指している。
特に、ECサイトの頂点に立つAmazon.comが、99年4月に個人間オークションのサービスをスタートさせ、ネット・オークション分野へ参入してきたことから、eBayもこれに対抗すべく、新規顧客獲得やサービス拡充によるリピート化策に熱心に取り組んでいる。特に、AOLと共同ブランドのオークションサイトをオープンするなど、ユーザー・トラフィックでAmazon.comに対抗する戦略なども展開している。
一方で、99年4月に2億6000千万ドルで買収したオークションハウスButterfield & Butterfieldをベースに、中~高所得者層をターゲットとする高額商品分野への進出を進めている。
ちなみに、1999年11月には、米eBayの全額出資で日本法人イーベイ・ジャパンを設立、日本進出も果たした。



競合サービスとの比較

高成長を保っているeBayといえども安泰ではない。今までのOnsale等のような既存オークションサイトとの競合だけでなく、最近ではAmazon、Yahooといった異業種からの参入が増えており、競争がますます激化している。
特に99年4月にネット・オークションに参入したAmazonは、 eBayと同じ様なオークション形式を取っているだけではなく、6月にはオークション大手企業サザビーズへの出資と業務提携、LiveBid買収などを進め、急速に勢力を拡大。オークションサービス開始半年にして既に非常に強力なライバルとなっている。
ネット・オークション分野は、既存のオークション業界をも巻き込みながら、今後eBayとAmazonグループという2大勢力の競争もあいまってますます発展しそうな気配である。

ebay Amazon Onsale
立ち上げ時期 96年 99年3月 95年5月
概要 Web上で開かれるオークション方式のフリーマーケット。個人間だけでなく、業者も売れ残りのアイテムを複数販売するのにも利用。 個人間の売買と小規模な業者による入札売買。 製造業者や問屋から一括して安く商品を仕入れて、それをオンライン上でオークション形式で販売している。
商品 取扱アイテム1600種類以上と多岐に渡り網羅的。 取扱アイテムは800種類以上。 コンピュータ関連に特化。
会員数 560万人 800万人の既存顧客 1070万人。前年同期の330万人に比べて220%以上増えたことになる。第2四半期の受注の70%以上が,リピート客によって占められた。
出品数 360万 不明 不明
オークション形式 販売人と購買人の仲介をするオークションサイト 販売人と購買人の仲介をするオークションサイト 自ら在庫リスクを抱え、それをオークション形式にかける販売方式
収益性 オークション出品者からの出品手数料及び売買契約成立時のコミッション。 オークション出品者からの出品手数料及び売買契約成立時のコミッション。 大量に安く仕入れた商品をオークションで販売した販売益。
最近のトピック ・4月26日オークションハウスButterfield&Butterfieldを2億6000千万ドルで買収。
・5月18日Kruse InternationalとBillPointを2億7500万ドルで買収
・6月22日ドイツオのンライントレーディング会社Alando.deを買収。
・8月17日オークションを競り落とした際に通知するポケベル呼び出し機能「eBay-a-go-go」
・8月30日自動車オークションセクションを開始。
・8月31日AOLと共同ブランドのオークションサイトを開始
・自動車追加
・1999年3月オークションサイトオープン
・4月13日LiveBIDの買収
・6月16日オークションハウスSotheby'sに4500万ドルを投資すると発表
・1999年7月OnSaleとEggheadが合併計画発表。合併による規模拡大によって競争力を強化したい考え。
コメント オークションでは既にトップブランドを築いており、総合オークションサイトを目指し、積極的にジャンル、商品層を拡大しつつある。 99年3月という既にオークション市場への参入が他と比較して遅かったにもかからず、既存の顧客層を中心に急速に会員数を伸ばしている。基本的には、ebayと同じようなオークション形式のフリーマーケットである。特徴として、販売側の詐欺行為に対し,Amazonが言うところの“保証”がなされる。 在庫リスクを抱えるにも関わらずAtCostという販売益が非常に少ないビジネスモデルが最近、不評を呼んでいる。



問題/課題

eBayでは、「自由な個人間取引の場」として高い人気を獲得し、急成長を遂げたが、その高い人気ゆえに詐欺行為の発生増やシステムクラッシュなどの問題もおきている。目下、eBayでは取引の信頼性・確実性の確保が重要課題となっており、その対応に力を入れている。
特に、個人間オークションでの詐欺行為の発生件数は増えており、eBayとしても「自由な個人間取引の場」という運営ポリシーを守りつつも、より取引の信頼性を高めるために、様々な工夫をしている。例えば、悪徳ユーザーを追放することを目的として、ユーザー同士で売り手・買い手を格付けできる「フィードバック・フォーラム」を設けた。これは、実際にオークションに参加したユーザーが取引相手を5段階で評価し、その情報を他のユーザーに公開する仕組みだ。また、「入金したのに商品が届かない」といったトラブルに対しては無償で200ドルまで保証する制度も整えた。詐欺発生を追及する専任要員まで設置し、警察や司法機関への積極的な協力も行うことにした。
また、eBayでは、ユーザー集中による断続的なシステムクラッシュも発生。実際に、時間の限られたオークションを阻害し、結果として多くのユーザーがオークションに参加出来なくなったり、誰が競り落としたのか混乱が起きたりもした。対応如何によってはユーザー離れを起こす可能性もあるため、eBayとしても非常に重要な問題として、システム強化にあたっているようだ。
特に、ECの有力分野であるネット・オークションの最大手ということもあり、eBayは、政府の規制当局や商標権者から「標的」とされやすい状況にあるが、Amazon.com同様、ネットのリーディング・カンパニーとして、ユーザー第一の適切な対応が求められており、同社もそれに応じるべく努力していることがうかがえる。


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