ネットマーケティング実践講座
第4回:メールマガジンを発行して売上げを伸ばす!
富士通総研 田中秀樹
Webサイトを訪れたユーザーに、再びアクセスしてもらったり、商品やサービスを購入してもらう手段としてメールマガジン(略称メルマガ)の発行が一般的になりつつある。企業が運営するWebサイトの担当者600人を対象としたアンケート調査によると、現在メールマガジンを発行している企業の割合は20.6%だが、「現在は発行していないが、今後は発行したい」との回答は40.0%に上った(富士通総研が2002年2月実施)。メルマガを発行する企業は今後ますます増えることになるだろう。

メルマガで1週間に売上が100万円以上増えることも
ネット書店のbk1は、書籍関連情報が欲しい人に向け、毎週水曜日に「週刊ビーケーワン」を発行している。bk1にアクセスしたことがある人なら知っているだろうが、bk1のWebサイトでは、書店で行われるフェアのように、テーマを決めた特集記事やコラムを掲載している。「週刊ビーケーワン」は、サイトの特集記事や書籍販売ランキングを紹介することで、Webサイトのアクセスを増やし、売上増を狙っている。メルマガを発行すると、1週間で売上が100万円以上増えることもあるという。
東急ハンズ新宿店は、チラシやパンフレットでは分からないお店の最新情報をメルマガで届け、来店を促している。東急ハンズの利用者は商品へのこだわりが強く、店舗で取り扱う商品アイテム数も13万点と多いので、一つのメルマガで全ての人を満足させるのは難しい。そこで商品カテゴリー別に16種類のメルマガを用意している。さらに、商品をビジュアルにイメージしてもらえるよう、写真が掲載できるHTMLメールを使っている。
このように効果的なメルマガを発行するどのようにすればいいのだろうか。
メルマガの独自コンテンツは欠かせない
ユーザーは既に多くのメルマガを受信している。このような状況では、「このメルマガを読みたい」とユーザーが思える明確な魅力がないとメルマガを読み続けてもらうのは難しい。魅力あるメルマガを発行するには、まずコンセプトを十分に考える必要がある。
コンセプトとは、何を目的として発行し、ターゲットはどんな人で、どんなテーマをどれくらいの頻度で送るのか、ということだ。コンセプトと同時に、半年で読者を1万人獲得するなど、読者数や売上などの目標値を決めておいた方がよい。これは、配信システムや読者獲得プロモーションなどを決める際のベースとなるだけでなく、メルマガ発行後の評価に必要な基準にもなる。メルマガは発行した後も、プラン、ドゥ、チェックのプロセスを繰り返すことが重要だ。
次に、コンテンツの作成体制だ。数回ならば、いきあたりばったりでコンテンツを作ることも可能だが、ユーザーが興味を持ってくれるメルマガを定期的に発行するのは予想外に難しい。実際、アンケート結果であげられたメルマガ発行者の課題は、「登録者数が伸び悩んでいる(44.0%)」、「効果が見えない(34.5%)」を抑えて、「コンテンツ作成が大変(50.0%)」がトップだった。メルマガの発行者なら、「毎週メルマガを発行しているので、内容があまり無く、お知らせメールになってしまうことが多い」(ショッピングサイト担当者)というコメントにうなずく人も多いだろう。
コンテンツとして、占いやTV番組ガイトといった世の中によくあるものを掲載してまかなう方法もあるが、これを多用するとメルマガの個性が薄れてしまう。せめて、テーマにあった占いを作ってもらうとか、関連するテーマのニュースに絞るといった最低限の努力は必要だろう。
欲を言えば、「このメルマガならでは」の独自コンテンツは欠かせない。注文住宅の三井ホームでは、外部のライターに一部制作を依頼して、発行の約1ヶ月前からメルマガ専用のコンテンツを準備している。また、商品を知り尽くしたフロアー担当者の推薦コメントが掲載されている東急ハンズのメルマガも他では読めない魅力あるものだ。もしリアルビジネスも行っているなら、店舗のトピックスや発行している紙媒体の内容を掲載素材として流用すれば効率的に制作できる。読者に感想や意見を求め、そのQ&Aをメルマガに掲載するのも一つの手だろう。

メルマガ配信では個人情報流出やウイルスなどのトラブルに注意
メルマガの配信は普段使っているメールソフトや配信専用のパッケージソフトでも可能だ。ただ、この方法では、メルマガ配信先の登録や解除は発行者自身が行う必要があり、スポットで小規模に行うにはよいが、大量のメルマガを定期的に送るには不向きだ。自社専用システムを構築してメルマガを配信する企業もあるが、運用メンテ作業負荷や費用を考えると、外部のメルマガ配信サービスを活用した方が効率的だろう。
「まぐまぐ」や「melma!」に代表されるメルマガ配信サービスの多くは無料だ。ユーザー用の登録・解除機能が提供されているだけでなく、新規発行のメルマガを紹介してくれるサービスもあり、登録者増も期待できる。個人向けのサービスだと思っている人もいるだろうが、人材斡旋のエン・ジャパンが発行する「[en]Career
News」が「まぐまぐ」で8万通以上を配信しているなど、企業の利用も多い。
トライコーンの「アウトバーン」のような、有料メルマガ配信サービスもある。DBを活用した対象者の絞込みや、クリック効果測定機能が提供されているので、特定商品の購入者だけに異なるメルマガを送りたい場合や、キャンペーンの効果測定を行いたいなら有料サービスを活用した方がいいだろう。
メルマガの発行では、ウイルスメールを配信したり、誤って個人情報を漏らしてしまうことにも注意が必要だ。昨年も航空会社や食品メーカーで、他の会員のメールアドレスを表示したままメルマガを送信するトラブルが続発した。いずれも人為的なミスが原因とされるが、トラブルによるリスクが十分認識されているとはいいがたい。トラブルを防ぐ方法として、チェック体制やシステム作りもあるが、メルマガ配信サービスを活用して自社では個人情報を持たない、というのも一つの考え方だ。
この文章は、雑誌「PC-Webzine」2002年8月掲載記事に、一部加筆したものです。
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