ネットマーケティング実践講座
第2回:インターネット調査で顧客ニーズを把握せよ!
富士通総研 田中秀樹
商品開発のために消費者ニーズを把握する必要があるとき、郵送や訪問で行うアンケート調査や、特定の場所に集まってもらうグループインタビューがよく行われるが、最近はインターネットを使ったアンケート調査を行う企業も増えてきた。消費者向け商品の開発担当者を対象として、富士通総研が3月に行ったアンケート調査では、インターネットでのアンケート調査の経験者は17.8%と、郵送など既存アンケート(43.3%)の半分以下だが、「実施してみたい」と答えた未経験者は5割を超え、かなり多かった。今回は、インターネット調査の活用ポイントを紹介していく。

消費者の声をダイレクトに反映した商品開発手法も
インターネットを使った商品開発手法として話題になっているのが、消費者参加型開発だ。婦人下着のトリンプ・インターナショナル・ジャパンは、インターネット上に消費者のコミュニティを作り、消費者が書き込んだ意見を集めて「理想の下着」を商品化した。第1弾の5500枚は48時間で完売し、現在は第3弾の準備をしている。トリンプ以外にも、雑貨チェーンの無印良品が開発した自動車「ムジ・カー」やカップ麺でこの手法は活用されている。
商品開発専用のコミュニティを作らなくても、アンケートならWebサイトや電子メールだけで可能だ。ソニーのECサイト「ソニースタイル」では、新商品を発売する直前に、Webサイトで購入意向や機能評価のアンケートを行っている。この結果は、どんな商品がどれくらい売れるかを見極めるのに役立ち、生産計画に反映させているという。
スピーディに低コストで実施できるインターネット調査
インターネットを使ったアンケートは、スピーディで低コストに実施できるというメリットを持つ。
電子メールを使ったアンケートのあるケースでは、午前0時に24問のアンケートを電子メールで送ると、当日中に64%の返信があった。メールチェックを日々の習慣としている人は多く、アンケートの内容によって差はあるが、数日もあればアンケートの回収は可能だ。また、回答はデジタルデータなので、すぐに集計や分析ができ、郵送アンケートのようにデータを入力する手間は不要だ。

スピードやコスト以外にも回答者に気楽に自由記述をしてもらえる特徴もある。手で記入する郵送のアンケートと異なり、インターネットのアンケートはパソコンを使って回答するので、文章の校正が容易で、分からない漢字を気にすることもなく、ユーザーは思う存分自分の意見を記入できる。また、インターネットの匿名性が本音を語りやすくする、という側面もあるようだ。
調査目的から結果集計までのポイント
ここからは、実際にWebサイトでアンケートを実施する時の注意点を説明していこう。アンケートを行う際は、まず調査目的を決め、その目的に応じて対象者を選ぶ。自社ユーザーの声を聞くなら、自社サイトにアクセスしてくれる人やメールマガジンの登録者だけを対象とすればよいが、ライバルを利用している人や自社を利用したことがない人も対象としたいなら、アンケート調査会社の調査パネル(アンケートメンバー)を使う必要がある。開発中の商品を評価してもらう場合など情報が外部に漏れては困る時も、回答者を限定できる調査パネルの方がいいだろう。
次に仮説構築と調査票作成を行う。仮説構築はアンケートの中で重要なものであり、本来はノウハウを持つ専門の調査会社に依頼した方がよいが、簡単な意見を聞くだけなら自分達だけでも問題ないだろう。ただ、作成した調査票は必ず他の人に回答してもらって質問項目をチェックするようにしたい。集計はクロス集計や統計解析が簡単にできるアンケート専用アプリケーションもあるが、量が少なければエクセルのピボットテーブルでも十分だ。
アンケートWeb作成は簡単だが、注意点も多い
Webページを作ったことがある人なら、アンケート用のWebページも簡単に作成できる。ラジオボタン、チェックボックス、自由記入用のフォームを組み合わせれば調査票が作成でき、プログラムで回答時の入力漏れチェックも可能だ。最近は、画像や動画を使ったアンケートWebも増えてきた。
ただ、アンケートWeb作成にあたっては注意すべき点がいくつかある。HTMLやプログラムのミスで、データが間違って登録されたり、せっかく入力されたアンケート結果が消えてしまうこともある。また、回答者が回答ボタンを何回も押してしまうと、同一人物が重複回答したことになるので、これを防ぐプログラムや、データのクリーニングが必要になる。
さらに、個人情報流出の危険性もある。アンケート回答者に謝礼を送るため、住所や氏名などの個人情報を入力してもらうことがあるが、プログラムのミスや不正アクセスで、このデータが外部に流出すると深刻なトラブルとなる。Webサーバーの暗号技術の採用や個人情報管理など、セキュリティには万全の対策が必要だ。
このようなトラブルを防ぐにも、スポットでアンケートを行うならASP型のアンケートWebサービスを活用した方が効率的かもしれない。インターネットを使ったアンケート調査会社のインフォプラントは、顧客が自分自身で簡単にアンケートページを作れるDTR
directというサービスを提供している。
商品開発においては消費者ニーズを把握することの重要性は増している。消費者の声を集めやすいインターネットを積極的に活用して欲しい。

この文章は、雑誌「PC-Webzine」2002年6月掲載記事に、一部加筆したものです。
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