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99ホリデイ・シーズン登場 オンライン・ギフト・レジストリーの仕組みと動向

米国のECサイトにとって、11月から年末にかけてのホリデイ・シーズンは年間を通じて一番の繁忙期だ。この時期の売上げの大部分は、家族や友人へのギフト需要から発生する。この需要を盛り上げるべく、今シーズンからインターネットにギフト・レジストリーのサービスが登場した。ユーザーとECサイトの双方に利点をもたらすオンライン・ギフト・レジストリーの仕組みと動向を紹介する。(富士通総研 倉持 真理 1999年11月17日)

オンライン・ギフト・レジストリーとは

ギフト・レジストリーは、以前からギフトを扱う大手専門店や百貨店が顧客に提供しているサービスで、主に結婚や出産祝いに利用されてきた。

たとえば、結婚を控えたカップルが、地元の百貨店であらかじめ自分たちのほしい商品をいくつか選んでレジストリーに登録する。友人や親戚は指定された店に行き、このカップルのレジストリーから予算に応じた品を選んで結婚祝いに贈る。これを利用すれば、もらう側は必ずほしい物をもらうことができ、贈る側は品物選びに悩まなくて済む。有名百貨店などでは、顧客が自由に操作できるギフト・レジストリー専用のキオスク型装置を店頭に置いているところもある。

これをインターネットに移したのが、オンライン・ギフト・レジストリーだ。これまでも結婚前のカップルを対象としたウェディング・サイト*1の一部に取り入れられていたが、今シーズンから、一年中のギフト機会に対応するサービスが一斉に登場した。クリスマス以降もヴァレンタイン・デイ、母の日、父の日、誕生日、結婚記念日など、さまざまな機会に利用されることを見込んだものだ。

オンライン・ギフト・レジストリーは、ギフトをもらう側、贈る側に合理的な利点をもたらすだけでなく、ECサイトにも貢献する。ユーザーに「あそこで売っているあれがほしい」と指定されれば、売上げにつながるうえ、返品を減らす効果も期待できる。米国の小売業では、クリスマス後にギフトの返品、交換処理に追われるというが、ギフト・レジストリーで本人が指定した物を贈るかぎり、返品が発生する心配はない。 オンライン・ギフト・レジストリーには、個別のECサイトに設けられたものと、ギフト・レジストリー専門サイトの二つのタイプがある。以下にそれぞれを見ていくことにする。

個別ECサイトのギフト・レジストリー

個別ECサイトに設けられたギフト・レジストリーは、登録できるギフトがそのサイトの扱う商品に限られる。ユーザーがレジストリーに登録すれば、家族や友人がそのサイトで購入し、直接売上げに結びつく確率は高い。同時に、登録ユーザーの友人や家族を新規顧客として取り込むことになるため、ECサイトにとっては非常に旨味のあるプロモーション手段だ。しかし、単独のECサイトでは、ユーザーのほしい物すべてに対応できないことが多いので、効果以前に登録者を獲得することが難しい。

従って、独自のギフト・レジストリーを導入しているのはアマゾン・コム、CDナウ、eトイズなど、ロイヤルティの高い顧客を持つオンライン有名店だ。これらのサイトでは、抽選でレジストリー登録商品を本人にプレゼントしたり、レジストリーを通じて購入される商品を1割引きにするといった登録者獲得キャンペーンを行っている。 アマゾンを例にとって、個別ECサイトでの典型的なギフト・レジストリーの機能と利用方法を説明しよう。
(1)ユーザーAはアマゾンでいつもどおりに商品を探し、各商品の紹介ページに付けられた「ウィッシュ・リスト(ほしい物リスト)に加える」というボタンをクリックする。
(2)登録画面が現れ、名前や配達先、eメール・アドレスなどの入力を求められる。すでに同社に顧客登録済みの場合は、既存の登録情報が反映される。
(3)ウィッシュ・リストの公開・非公開を決める。公開を選ぶと、サイトで他の人がユーザー名を検索し、ユーザーAのリストを見ることができる(同姓同名の間違いを避けるため、居住地域と簡単な人物紹介を付ける)。非公開の場合は、本人が選んだ相手にしかリストは見られない。
(4)ユーザーAのウィッシュ・リストがセットアップされ、選んだ商品がリストに載る。各商品についてのコメント入力も可能。
(5)家族や友人のeメール・アドレスを指定し、eメールでウィッシュ・リストがあることを通知する。
(6)eメールを受け取ったユーザーBは、eメールのリンクでユーザーAのウィッシュ・リストを見に行き、リストの商品を選んでギフト購入の手続きをする。配達先はユーザーAが登録済みなので、入力の必要はない。購入された商品には、リスト上に購入済みのマークが付く。


アマゾンによると、昨年のホリデイ・シーズンに顧客から寄せられた要望のなかで、最も多かったのがギフト・レジストリーだったという。同社は今年、玩具、家電、zショップス*2の導入で取扱い商品を拡大しており、レジストリーを通じて既存顧客のギフト需要を幅広くカバーすることを狙っている。

レジストリー・ポータル

一方、ギフト・レジストリー専門サイト(レジストリー・ポータルともいう)は、ユーザーを集め、売上げ増加を狙ってレジストリーに参加するECサイトとの間を取り持つ役割を果たす。ユーザーは、参加するさまざまなECサイトから商品を選ぶことが可能だ。

ユーザー登録、リスト公開・非公開の選択、eメールでの通知、リストからのギフト購入など、基本的なレジストリー機能は前述のアマゾンのものとほとんど変わりないが、商品の選択方法やビジネスモデルの細部はそれぞれのサービスによって異なる。一般に、レジストリーに参加するECサイトは、レジストリー・ポータルに初期設定料と売上げコミッションを支払う。以下に特徴的なレジストリー・ポータルをいくつか紹介する。

[eウィッシュ http://www.ewish.com ]
120あまりの中小ECサイトが参加するこのサービスでは、参加ECサイトの商品紹介ページにeウィッシュのボタンが置かれ、ユーザーがボタンをクリックすると、別ウィンドウが開いてユーザーのリストに商品が加わる。ユーザーは参加ECサイトからも、自分のリストを見ることができる。
クリスマス以降のギフトに対応するため、サイトには登録した誕生日や記念日を事前にeメールで通知するアラートや、ギフト・カレンダーなどの機能が備えられている。eウィッシュはレジストリー・ポータルのなかで最もスタンダードなタイプといえる。

[アイヴビーングッド・コム http://www.ivebeengood.com ]
専用アプレットをダウンロードし、ブラウザーにプラグインすると、このサービスに参加しているかどうかにかかわらず、どんなECサイトにある商品でもリストに加えられる。ただし、同社と契約したECサイトでは、ギフト購入時の操作などがより簡単になるという。参加ECサイトは、レジストリー・ポータル内で商品のプロモーションも行える。
同社はインターネットを利用していない人向けに、登録ユーザーのリストをハガキで送り(たとえば孫から祖父母に)、ハガキを受け取った人が同社に電話でリスト商品の購入・発送を依頼できるようにする有料のショッピング代行サービスもはじめる予定。

[デラ&ジェームズ http://www.della.com ]
レジストリー・ポータルの競争力は、消費者にとって魅力のある有名店が参加しているかどうかで決まる。その点で有望視されているのがデラ&ジェームズだ。WWWと店頭キオスク装置の両方に対応するブライダル・ギフト・レジストリーとして今年7月にスタートした同社は、この11月からギフト全般に対応するレジストリー・ポータルとしてリニューアルした。
同社は最近、アマゾン・コム、ニーマン・マーカス(百貨店)、クレート&バレル、ウィリアムズ・ソノマ(どちらも高級生活雑貨専門店)から出資を受けており、これらの出資企業とギャップ、ガンプスなど、数は少ないがオンライン、オフラインの有名店がレジストリーに参加している。同社のサイト自体にギフト紹介ページを備えているため、ECサイトを持たない小売店でも参加可能だ。ユーザーは、このサイトと参加ECサイトの両方から商品を選べる。

ここに挙げた三つを含めて、今シーズン登場のレジストリー・ポータルは10ヶ所あまり存在し、そのほとんどが新たに発足した専業ベンチャーによるものだ。インターネット・ビジネスの法則に照らせば、同時期に似たようなサービスが多数現れても、事業として成立し、生き残れるのは少数に過ぎない。

オンライン・ギフト・レジストリーはまだ登場したばかりで、今シーズンすぐに多くのユーザーに利用されるようになるとはかぎらない。とくに現時点のレジストリー・ポータルは、有名ECサイトの参加や使い勝手の良さといったユーザー獲得の決め手となる要件への対応が不十分で、全体的に未熟だ。とはいえ、ユーザーにとってもECサイトにとっても、有益な仕組みであることは間違いない。一年中のギフトに対応するサービスとして定着していくかどうか、今後も注目していきたい。

*1 結婚するカップル向けに、ギフト・レジストリーや結婚準備チェックリスト、カップル専用ホームページでの結婚通知や寄せ書き、披露宴招待者リスト、フォト・アルバムなどのツールを提供するWebサイト。ザ・ノット(http://www.theknot.com)、ウェディング・チャンネル(http://www.weddingchannel.com) などが有名。

*2 個人や中小企業がアマゾンのサイトで商品を販売できるプログラム。本紙99年10月20日号(Vol.5, No.111) 11頁参照。


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