富士通総研

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ドラッグストア・コム、アマゾンの支援でオープン。注目集めるオンライン薬局

ECの代表的企業であるアマゾン・コムは2月24日、翌日WWWで正式にオープンするドラッグストア・コムの株式46%を取得することを明らかにした。これをきっかけに、次なるECの成長カテゴリーとしてのオンライン薬局への期待がにわかに膨らんでいる。ドラッグストア・コムの概要とアマゾンのかかわり、市場の状況などをまとめてみる。(富士通総研 倉持 真理 1999年3月10日)

ドラッグストア・コムとは

ドラッグストア・コム(http://www.drugstore.com)はその名のとおり、現実世界のドラッグストアをオンラインに移したものだ。といっても、実際には現実の店舗とドラッグストア・コムとは、似て非なる存在と呼ぶのがふさわしい。

同サイトは、1万5000品目もの有名ブランドの大衆薬や健康・美容関連商品を一般小売店並みの値段で販売し、全米50州での営業許可を保有する薬局として、処方箋も取り扱う。オンラインとフリーダイヤルを通じた注文や処方箋受付け、顧客サービスは、24時間年中無休。大衆薬をはじめとするあらゆる商品のパッケージに記された効能書きをオンラインに掲載し、薬の飲み合わせや健康・美容に関する話題も提供。過去に買った商品をリスト化し、次回注文時のために保存できるショッピング・リストや、補充時期を電子メールで通知するリマインダーなど、パーソナライズ機能も完備のうえ、薬剤師や美容専門家に電子メールでプライベートな相談もできる。

こうしたオンラインならではの機能やサービスの数々は、むやみと時間を喰い、品ぞろえは限られ、的確なアドバイスを受けることなど望むべくもない現実の店舗より、はるかに質の高い買い物環境を提供するものといえる。送料もかかり、値段の安さでは大手のディスカウント・ドラッグストアに及ばないが、時間の節約や利便性、満足感などの面で、これまで習慣的に店に足を運んできた人々の行動を変え、オンラインに向かわせるだけの力を持ち得るはずだと同社は信じている。

アマゾンのノウハウを生かす

同社CEOのピーター・ニューパートは、マイクロソフトでMSNBCオンラインの開発を指揮した人物だ。昨年夏、自らの手で新たな事業を立ち上げるべく、マイクロソフトを去った。同氏のオンライン薬局のビジョンは、インターネット・ベンチャーへの投資で有名なクライナー・パーキンス・コウフィールド&バイヤーズなど数社を動かし、出資を獲得。しかし、何よりの支援は、アマゾン・コムCEOのジェフリー・ベゾスの協力を得たことだった。

ベゾスは過去数カ月にわたってドラッグストア・コムの開発に協力し、アマゾンで培ったECのノウハウをあまさず伝授したという。その功労は、膨大な製品情報と参考情報を検索可能なデータベースにまとめあげ、ユーザーの判断を補助し、手間を省くべく、さまざまな機能を備えたWWWサイトの緻密な構造にはっきりと見て取れる。役立つ情報源であり、使い勝手のよいショップでもあるテイストは、まさにアマゾンのそれと共通する。

マーケティング面でもぬかりなく定石を踏んで、すでにエキサイトとの独占EC提携契約を取り付け、非独占ながらもトップ・ポータルのAOL、ヤフーとの契約も押さえている。また、オンヘルス(http://www.onhealth.com)、メッドスケープ(http://www.medscape.com)、シニア向けのサードエイジ(http://www.thirdage.com)など、内容的に関連の深いWWWサイトとも、独占EC提携契約を結んでいる。

アマゾンとの連携

ドラッグストア・コムの筆頭株主であるアマゾンのサイトでは、2月25日より、アマゾンからドラッグストア・コムにリンクして買い物をすると、25ドル相当の救急セットをプレゼントするキャンペーンを実施中。アマゾンは以降も継続して、トップページにドラッグストア・コムへのリンクを置く方針のようだ。

ZDネット・ニュース(http://www.zdnet.com/zdnn/)の報道によると、ベゾスの当初の計画は、オンライン薬局を独立したWWWサイトではなく、書籍、CD、ビデオといったアマゾンの商品カテゴリーの一部に加えるというものだったらしい。結局、独立化させた理由は、ドラッグストアの営業には各種の規制があり、オペレーションにも異なる部分があったからだという。

たとえば、典型的なのが処方箋の取扱いだ。処方薬の代金の支払いは、顧客が加入している健康保険会社などの機関が行うことがある。このため、ドラッグストアは健康保険会社と密接な関係を築き、請求/支払い業務を円滑化する仕組みを持たなければならない。健康保険の種類によっては、顧客が利用できる薬局が限られている場合があるので、保険会社の指定薬局になれるよう売り込む必要もある。このような薬局固有のビジネス要件は、アマゾンの範疇にはないものであり、経験者を加えたマネジメント・チームや、独自のバックエンド体制が必要なことは明らかだった。

とはいっても、やはりオンラインでの成功の鍵は、顧客インターフェイスや集客、マーケティングといったアマゾンが本領を発揮する面に負う部分が大きい。

次々と商品カテゴリーを加え、強力なブランド・ロイヤルティを武器に拡大路線を突っ走るアマゾンの狙いは、ユーザーに「ショッピングならアマゾンへ」と思われるバーティカルなショッピング・ポータルになることだと推測される。結果的にドラッグストア・コムは別サイトになったが、アマゾン自身の顧客がドラッグストア・コムに流れるラインができるのは確実であり、アマゾンのクォリティに慣れた顧客が、ドラッグストア・コムでの買い物に快適性を見いだすだろうことも想像に難くない。

注目されるオンライン薬局市場

ドラッグストア・コムのオープンでにわかに脚光を浴びたオンライン薬局だが、実は同社がこの分野初の企業というわけではない。すでに1月25日に、ソーマ・コム(http://www.soma.com) がインターネット初のオンライン専業薬局としてオープンしている。ソーマ・コムは、ドラッグストア・コムと同様、処方箋の取扱いと大衆薬、健康・美容用品などを販売し、3種類の配達手段ごとに一律の安い送料を打ち出している*1。オンライン専業の薬局として、プラネットRx(http://www.planetrx.com) も間もなくオープンの予定だ。

一方、現実世界でドラッグストアを営む大手チェーンの中では、ドラッグエンポリアム(http://www.drugemporium.com)がすでにオンラインに本格進出し、処方箋も受付けている。ウォルグリーンズ(http://www.walgreens.com)やCVS(http://www.cvs.com)、ライトエイド(http://www.riteaid.com)といった大手チェーンは、現時点では、店舗に処方箋を提出済みの処方薬の補充注文をWWWで受付け、店頭で現物を引き渡すサービスを行っているのみだが、こうした動きを見て、オンライン事業に本腰を入れはじめることも予想される。

処方薬、大衆薬、健康・美容用品の小売市場は、合わせて1500億ドル以上にのぼるといわれる。この巨大市場がオンラインにシフトし、ECの次なる成長カテゴリーとなる可能性が出てきた。部分的に商品の重なる食品雑貨のオンライン宅配サービスが、あおりを受けて活気づくことも考えられる。アマゾン仕込みのドラッグストア・コムの実力がどれほどのものになるのか、市場全体の動きとともに注目していきたい。

*1 郵送2ドル、UPS陸送宅配便4.95ドル、翌日宅配9.95ドル。

ドラッグストア・コムの概要

[商品カテゴリー]

  • 健康
    (大衆薬、家庭用救急用品等)
  • 美容
    (化粧品、スキンケア用品、バス&ボディケア用品等)
  • ウェルネス
    (ビタミン剤、サプリメント、ハーブ、自然製品等)
  • パーソナル・ケア
    (歯磨き、シャンプー、衛生用品等)
  • 薬局
    (処方箋取扱い)

*1 郵送2ドル、UPS陸送宅配便4.95ドル、翌日宅配9.95ドル。

[サイトの主な機能]

  • 製品情報
    (製品パッケージの写真、原料、効能書き全文を掲載)
  • リソース・センター
    (健康や美容の参考となる情報を定期更新して提供)
  • ショッピング・アドバイザー
    (質問に答えていくと、症状やニーズに合った製品が見つかる双方向ツール)
  • ユア・リスト
    (毎回自動更新される買い物履歴)
  • ユア・ショッピングバッグ
    (購入手続きの前に選んだ商品を一時保存する場所)
  • 1クリック・ショッピング
    (クリック1回で購入手続きが済む。アマゾン・コムが開発)
  • アスク・ユア・ファーマシスト
    (薬剤師が電子メールで質問に回答。1営業日以内に返信)
  • ビューティ・エキスパート
    (美容専門家が電子メールで質問に回答。1営業日以内に返信)
  • リマインダーズ・トゥ・バイ
    (商品の補充時期を電子メールで定期的に通知。補充タイミングは自己設定のほか、希望者には、購買パターン解析による自動設定機能も提供)
[送料]
配達日 注文内容 送料
3−5営業日以内 処方薬以外を含む注文
購入総額75ドル未満
4.95ドル
処方薬以外を含む注文
購入総額75ドル以上
無料
処方薬のみ注文 無料
2営業日以内 処方薬以外を含む注文
購入総額75ドル未満
9.95ドル
処方薬以外を含む注文
購入総額75ドル以上
14.95ドル
処方薬のみの注文 5.95ドル
翌日(日曜日除く) 処方薬以外を含む注文
購入総額75ドル未満
17.95ドル
処方薬以外を含む注文
購入総額75ドル以上
29.95ドル
処方薬のみの注文 11.95ドル

[処方薬注文のしくみ]

ユーザー登録時に処方箋発行医師の連絡先をWWWサイトで指定し、ドラッグストア・コムから連絡するか、医師からドラッグストア・コムに送信する。すでにユーザーの手元に処方箋がある場合は、ユーザーが郵送やファックスで送信してもよい。処方箋到着後、薬剤師が処方薬を整え、ユーザーに電子メールで通知。ユーザーはサイトの個人アカウントを通じ、配達と支払いの手続きを済ます。


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