富士通総研

インターネット人口




インターネットはオープンネットワークで構成されているため、携帯電話の契約者数のように、正確な人数を把握しているところはない。このため、一般に「インターネット人口」として発表されている数字は推計値となる。

インターネット人口の推計方法

インターネットが普及し始めた当初は、サーバー数を基準にした推計方法もあったが、現在では、プロバイダーの契約者数を積み上げる方法と、一般消費者をアンケート調査(サンプル調査)して推計する方法が考えられる。

プロバイダーの契約者数は、同一人物が複数のプロバイダーと契約していたり、逆に、一つのIDで家族全員が使っている場合もある。また、契約しているのに全く使っていない人もいるので、ユーザー数の増加トレンド把握には使えるが、インターネット人口推計のベースには向いていない。そこで、現在定期的に発表されているインターネット人口は、一般消費者へのアンケート調査に基づいたものとなっている。

日本のインターネット人口は複数の調査会社から発表されているが、代表的なものとしては、総務省(旧郵政省)の「通信白書」(毎年6月・年1回発表)、「インターネット白書」に掲載されているアクセスメディア・インターナショナル(毎年6月・年1回発表)、ネット視聴率で有名なネットレイティングス(月1回)がある。

ただ、各社発表の数字を比較すると大きな違いがあるようだ。例えば、「通信白書」は1999年末で2,706万人と発表しているのに対し、ネットレイティングスは2000年12月の段階でも2,526万人に留まっており、この両者では、インターネットの普及に1年以上の差があることになる。



定義と調査方法の差

推計値が異なる理由は、アンケート方法とインターネットユーザーの定義の違いだ。
一般に、全国を対象とした大規模アンケート調査は郵送で行うことが多い。郵送調査では、質問内容を見てから回答するかどうかを決めることができるので、その内容に関心のない人の回答率は落ちると言われている。インターネットや携帯電話に関する調査を行うと、使ったことがない人の回答率が落ち、結果としてインターネットの利用率が高めに出る可能性がある。このため、インターネット人口調査では、電話番号をランダムに発生させて調査協力を依頼するRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法による電話調査が主流になりつつある。

つぎは定義の問題だ。「インターネットユーザーの定義は?」と聞かれたら、どう答えるだろうか。「インターネットを使ったことのある人」と答える人もいるだろうが、これでは、5年前に一度だけインターネットを使った人も含まれることになる。この定義は、インターネット経験者と呼んだ方がいいだろう。ネットビジネスを考える上では、今インターネットを使っている人数が必要になる。そこで、「1ヶ月以内にインターネットにアクセスした人」、という定義が一般的になりつつある。当然、この二つの定義では推計値が異なることになる。

代表的なインターネット人口推計の調査方法と定義
調査名 インターネット人口
(万人)
調査
時期
定義1
(インターネット利用)
定義2(年齢) 定義3
(PC以外のアクセス)
調査手法
通信白書 2,706 1999年末 指定なし 15歳~69歳 対象 郵送調査
AMI
(インターネット白書)
1,937.7 2000年2月 その時点で使っている人 16歳以上 対象 電話調査(RDD)
Nielsen//NetRatings 2,526 2000年12月 1ヶ月以内利用 2歳以上 非対象 電話調査(RDD)

定義には新たな課題もある。iモードに代表される携帯電話やゲーム機といったパソコン以外の端末からインターネットにアクセスする利用者を含めるかどうかだ。数年前なら無視できる人数だったが、携帯電話のインターネットサービス契約者数が3,000万人を超えるような現状では、これを含めるかどうかで推計値が大きく変わってくる。

ちなみに、ネットレイティングスでは携帯電話のWebアクセス利用者を含めたインターネット人口も推計しており、2000年12月の段階では2,942万人となっている。
インターネット人口といっても、現状では調査方法やインターネット利用者の定義といった点で違いがあるため、それぞれのデータの定義と調査方法を確認して使う必要がある。



世界のインターネット人口

世界のインターネット人口を知るにはNUAが発表している推計値が便利だ。これは、複数の推計値をベースに作成されている。2000年の11月現在では、世界のインターネット人口は4億人を超えている。地域別に見ると、米国・カナダの1億6712万人。ヨーロッパの1億1314万人、そして日本を含んだアジア・パシフィックの1億488万人で全体の70%を占めている。以前は北米が半数を占めていたが、アジア・パシフィックを中心としたその他地域のインターネット人口増加で、北米の比率は41%に減っている。



【参考】インターネットに接続するホスト数

Network Wizardsでは、DNS(Domain Name Systems)にもとづき、インターネットに接続する世界のホスト・コンピュータの台数を定期的に公表している。昔は、インターネット・ホスト1台につきユーザー数人といわれており、ホスト台数を数倍(8~10倍)することでインターネット人口が推定していたが、現在では、大規模アンケートによるインターネット人口推計が主流となっている。ただし、利用者人口と同様、ホスト数の伸びもインターネットの普及状況を見る上で参考となる

【2001年2月更新】

参考資料一覧

  • 通信白書
    • 発表機関:総務省(旧郵政省)
    • http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/papers/h12/html/C1040000.html
  • インターネット白書
    • 発表機関:アクセスメディアインターナショナル
    • http://www.ami.co.jp/pdf/Release20000612J.pdf
  • インターネット人口基礎調査
    • 発表機関:ネットレイティングス
    • http://www.netratings.co.jp/
  • NUA Internet How Many Online
    • 発表機関:NUA Ltd.
    • http://www.nua.ie/surveys/how_many_online/
  • Internet Domain Survey
    • 発表機関:Network Wizards
    • http://www.isc.org/ds/
  • 「インターネット人口」をどのように読んだらいいか
    • http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0728/popu.htm

ネットビジネスの最新動向やアンケート調査結果は、「サイバービジネスの法則集お知らせメール(登録無料)」でお届けしています。受託調査、コンサルティング、講演も行っていますのでお問い合わせください。