インターネット広告
インターネットと、その経済原則
インターネットの商業利用が本格的にはじまったのは1995年である。それから現在までの短い間に、電子商取引(EC)とインターネット広告を中心とするネットビジネスは急速な進歩を遂げた。インターネット広告の今後を考えていく前に、ネットビジネスの急成長の背景にある経済原則を整理しておくことにする。
メトカーフの法則
まず、インターネットの急速な普及はメトカーフの法則で説明される。この法則はファクシミリを例にとって考えると分かりやすい。最初に購入した人にとっては、送る相手がいなかったり、長いあいだ何も届かなかったりするため、ファクシミリの価値はあまりない。しかし、友人がファクシミリを購入すると、最初に購入した人の価値が上がる。2人の間でやり取りできるようになるからだ。ファクシミリの所有者が4人になると、送受信を別々に数えて、通信できる組み合わせは12通りになる。さらに一人増えて5人になれば20通り、そしてn人になれば、n×(n−1)通りになる。
要点は、人数が増えるほどその価値があがることだ。たとえば10人がファクシミリを使ってやりとりしたとする。通信できる組み合わせをファクシミリの価値とすると10×(10−1)=90だが、ファクシミリの利用者が10倍の100人になると、価値は100×(100−1)=9900と100倍以上になる。このように、ネットワークの価値は利用者数の二乗に近い形で爆発的に増える。
これを発見したのは、ネットワークの基礎技術であるイーサーネットを開発したボブ・メトカーフであり、彼にちなんで「メトカーフの法則」と名付けられた。
インターネットにもこの法則が当てはまる。一部の人にしか使わなれなかった時にはホームページや電子メールの価値は小さかったが、利用者が増えてインターネットの価値が拡大すると、そのことがさらに多くの利用者を引き付け、利用者数の増加は加速する。
収穫逓増の法則
さらに、生産規模が2倍になると生産がさらに効率的になり、算出量が2倍以上になるという収穫逓増の法則がある。この法則はサンタフェ研究所のブライアン・アーサー教授が提唱したもので、「ネットワーク社会では成功しているものはいっそう興隆し優位性を失ったものはますます弱体化する傾向がある」と説明されている。
パソコンのOSやオークションサイトなどのネットビジネスは、初期投資の負担は重いが、ひとたび競争力のある仕組みを作れば急速に市場が広がり、単位コストの低下に伴い収益が逓増していく。
ひとり勝ち現象
メトカーフの法則や収穫逓増の法則といったネットワーク経済の法則が注目されている理由は、その成長の速度だけでなく、ひとり勝ち現象を起きしうるからである。あるジャンルで成功のポジティブ・フィードバックに入った企業は市場を独占する。インターネットの勝者であるシスコやオラクル、マイクロソフトといった企業はひとり勝ちで巨額の利益を叩き出しているのに対し、2番手、3番手企業はほとんど利益を上げられないことが多い。
消費者を対象としたネットビジネスの企業が巨額の広告費を投資してきた理由の一部は、他社に先駆けてより多くのユーザーを獲得し、ジャンルのひとり勝ち状態を作ろうとしたためである。

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