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活気に溢れるマカオ経済

発行日 2008年7月10日

主席研究員 朱 炎


カジノと観光産業の発展

  • 2002年に行われたカジノ事業の入札により、約40年間続いたカジノの一社独占を改め、3つのライセンスを発行し、05年以降、さらに3つのサブライセンスを発行した。経営権を獲得したマカオ、香港、米国の企業は、マカオでカジノ、ホテルと観光施設の建設のため、大規模な投資を行った。とくに米国資本のマカオ進出によって、ラスベガススタイルのエンターテイメントを導入し、カジノを娯楽、観光に変え、カジノ事業の大発展をもたらし、より多くの顧客を呼び込んだ。
  • 2006年にマカオのカジノ収入は初めてラスベガスを上回り、07年は前年比45.8%増の105億ドルに達した。マカオを訪問した外国からの観光客は、2007年に前年比22.7%増の延べ2,699万人にのぼり、人口の50倍に相当する。観光客の55%は中国からである。ちなみに、日本からの観光客07年に延べ29.9万人、前年比36%も増えたが、全体に占める割合は僅か1.1%に過ぎない。
  • カジノの発展と観光客の急増により、マカオでは関連施設の投資ブームを引き起こした。2007年の外国投資は前年比2.5倍の161億ドルにのぼった。ホテルを例にすれば、世界中の高級ホテルチェーンのほとんどはマカオに投資している。現在建設中のホテルは合計4万室、既存のホテルの2.5倍にもなる。

ビジネス上の優位性

  • カジノ産業は観光産業を支え、マカオ経済の柱である。しかし、マカオ経済の優位性はカジノだけではない。ビジネスを展開する場合、マカオはほかにも独特な優位性がある。
  • 第一に、輸入関税が免除されるフリーポートと税負担が低いタックスヘイブンは、ビジネス上で有利な環境である。低い税負担に関しては、法人税と個人所得税の税率はいずれも12%と低い。
  • 第二に、マカオは2億人にもなるポルトガル語圏国家との経済的結びつきが強い。マカオはポルトガル語圏国家間の経済協力会議、中国とポルトガル語圏国家の経済協力会議も定期的に開催している。マカオは、この2億人市場へのアクセスの近道でもある。
  • 第三に、マカオは中国の特別行政区であり、経済面でも中国がマカオを全力でバックアップしている。マカオは中国との間に、香港と同様に、経済貿易緊密化協定(CEPA)関係を結んでいる。このFTA(EPAでもある)関係に基づき、マカオ・中国間には輸入関税の免除、投資の自由化などはすでに実施されている。すなわち、マカオ経由で中国ビジネスを展開すれば、さまざまなメリットを享受できる。
  • 第四に、マカオは地理的に、中国の華南地域の珠江デルタ地域にあり、珠海市と陸続きであり、香港にも近い。広東省、香港、及び中国の華南地域を含む汎珠江デルタ地域において、経済協力の枠組みがすでに機能しており、マカオも重要な役割を果たしている。これによって、汎珠江デルタ地域はマカオの経済的ヒンターランドになっている。
  • 現段階に、マカオにおいて日本企業によるホテルなどへの投資がまだ少ない。今後、中国とくに珠江デルタでのビジネスもマカオを積極的に活用すべきである。

マカオ経済の問題点

  • 第1に、経済と社会はカジノに過度に依存している。経済の約9割はカジノと関連しており、財政収入に賭博税は76%も占めている。マカオ政府は、カジノ依存からの脱却を図ろうしている。コンベンション、物流など非カジノ事業を発展させることによって、カジノによる経済の貢献を現在の9割から5年後の70~80%、将来的には50%以下に引き下げたい。
  • 第2に、労働力不足である。マカオには労働力は30万人しかいない。カジノ、観光業の発展により、労働力の不足が厳しくなった。マカオ政府は8万人の外国人労働者を導入し、移民も受け入れているが、労働力不足が簡単に解消できない。
  • 第3に、高成長により、不動産価格、賃金、物価などはいずれも上昇し、企業のコストの上昇をもたらし、経営が圧迫されている。