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インドで成長する日系製造業の活動事例

発行日 2008年2月1日

上席主任研究員 金 堅敏


2008年1月13日~16日に日本能率協会主催『「日本CTOフォーラム」訪印ミッション』に参加し、日系製造業3社、米系R&Dセンター2社(IBM、GE)及び地場医療サービス機関AHGを訪問した。ここでは、訪問メモに基づき、日系製造業3社の活動状況を纏めた。

A社

  • A社のインド事業は二つの二輪車生産拠点、一つの四輪車生産拠点、二つの自動車部品や関連機器の生産拠点及び二輪車研究開発センターの、法人格のある6つである。これらの拠点はほとんどデリー周辺に立地している。
  • 歴史的な経緯や種々の事情により、3社はJVで3社は100%ホンダ資本の拠点である。 二輪車事業では、(1)26%資本のJV拠点(年間生産台数390万台、従業員12,000人)と、(2)100%資本拠点(年間生産台数100万台、従業員4.600人)の2社である。2社は、生産ラインも販売チャンネルもブランドも別々で行っている。
  • 2007年インドの二輪車の生産販売台数は872万台であり、2010年は952万台になると見込まれる。JVの出荷台数は、2005年の60万台から2007年の88万台に急増し、インド二輪市場シェアの第4位に上り詰めている。
  • インドにおけるA社の四輪事業(従業員3,349名)もJVの形を取っているが、A社は97.4%所有で主導権を取っている。
  • 1997年に生産開始、当初の生産台数は3万台であったが、2005年11月には5万台、2007年12月には10万台の三車種を生産、2006-07年は6.1万台出荷)に拡大した。また、現在デリー・モンバイ幹線道路沿いのRajasthan州で、第2工場も建設中(小型車を中心に年間6万台生産予定)である。
  • 四輪車(商用車と乗用車を含む)の市場規模は、2007年の170万台から2010年には200万台と見込んでいる。中国ほど急速ではないが、着実に拡大していく。ただし、二輪車から四輪車への市場の切替はそう簡単ではなさそうである。
  • 2005年にA社の二輪車工場で大きなストライキが発生したが、今は平穏に戻った。また、インドでは、ブルーカラーの採用に問題(離職率約5%)はあまりないが、スタッフについては奪い合い状況にあり、採用(離職率20%以上)は難しい。給与水準も高い。5~10年経験のマネジャーの年収は70~100万ルピー(1.8万米ドル~2.5万米ドル)。

B社

  • 1997年10月にインドバンガロール近郊(カルナカタ州)にB社とインドの中堅財閥と四輪車生産のJV(従業員 3,500人)を設立した。B社が89%でマジョリティを所有。B社はかつてデリーにて 中堅財閥とJVを設立して小型トラックの生産販売を進めてきたが、両者の生産 や経営に対する考えが合わず、1997年に先方からJVを解消した苦い経緯があった。
  • 現在の生産能力は6万台で4車種を生産しており、2006年-07年の生産台数は5万台で、インドの乗用車の市場シェア3%を占める。将来的には10%の市場シェアを目指す。そのため、小型車を導入する計画の報道(当初10万台)もある。
  • しかし、現場では、急いで生産能力を拡大するよりも人材育成に力を入れているようである。2007年8月に「B社技術学校」を作った。3年コースで収容能力は200名。現在64名が入学している。全寮制で無料の教育を提供しているだけでなく、ある程度の手当ても支給している。2006年1月に15日間のストライキがあったので、CSRの一環として無料の「B社技術学校」を作った側面もある。

C社

  • C社のインド事業について、生産ラインでは1958年にインド国防省との技術提携事業にさかのぼるが、その後は1998年2月に50%・50%のインド国内市場向けのJV生産拠点を設立するまで40年の歳月をかかった。数年前の中国のようにインド建機市場の伸び率は40%を越えており、生産能力の拡大を急いでいる。また、2007年にはチェンナイで100%資本の第2生産拠点を立ち上げた。インド国内市場と輸出を両にらみにしている。
  • 販売ラインでは、早くからインドへの輸出販売を行ってきたが、2007年には自社100%資本のC社(インド)を設立して、輸入販売などを行っている。また、製造・販売に加え、JV生産拠点の中に約20名の設計部隊が配置されている。
  • JV拠点の従業員は最初の約1,100人名から660名にリストラし、労働生産性は大きくアップした。ただ、リストラの過程でストライキが発生したことがあった。
  • ワーカーの離職率は高くないが、スタッフの離職率は10%前後と高い。これまではIT業への流出が多かったが、これからは同業他社への流出が懸念される。