日本CTOフォーラム中国訪問の概要(1)
発行日 2006年11月17日
上席主任研究員 金 堅敏
2006年11月1日~4日に日本CTOフォーラムメンバー10名が訪中し、複旦大学の関係者、日系企業責任者との交流を行い、現地に活動している外資系企業のR&D拠点を訪問し、産学連携やR&D活動状況を調査した。その概要を纏める。
上海市における外資系R&Dセンターの設置状況
- 現在、上海に設置している外資系R&D機構は200ヵ所以上あり、2001年以降毎年新たに設置される拠点は20~30ヵ所前後に達している。これらの外資系R&Dセンターのうち、米系、欧州系、日系の割合は、45%、25%、20%となっている。
- 投資分野は、IT、バイオ・医薬、化学、食品・飲料、設備製造、自動車等である。
- 外資系R&Dセンターの設置方法は、1)独立法人、2)地場大手企業とのJV、3)外資の生産拠点、統括会社或は合弁企業の中のR&D部門設置、4)地場大学或は研究所と共同で研究開発拠点を設置することの四つある。ただし、外資系独立法人のR&Dセンターが60%を占めている。
- 多国籍企業のR&D活動展開の目的として、1)コスト削減、2)製品・技術の現地化、3)中国の研究開発のリソースの利活用が挙げられる。
- 現在、大学は中国の研究開発活動のメーンプレイヤーになっている。例えば、中国全国の科学技術研究ラボの56.8%、科学技術研究プロジェクトの64%、科学技術研究費の58.1%は、大学にある。したがって、産学連携も盛んに行われている。
産学連携:複旦大学の事例
- 日本ではあまり注目されていない複旦大学(上海)は、社会科学、理学、医学の三領域を中心に、教育研究を行っている中国のトップレベルの大学である。在学学生総数は2万8千人前後で大学院生が学生総数の5割以上を占める研究型大学を目指している。
- 複旦大学は、特に1)電子・情報技術、2)バイオ・医学、3)新材料の三分野の研究開発に特化しており、研究開発に毎年4~5億元(約70億円)を投入している。研究開発費の大部分は産学連携に基づいて企業からの支出である。
- 現在は約500のプロジェクトについて研究開発を行っている。うち、約50プロジェクトは外資企業との産学連携関係である。産学連携の主要な方式は、1)プロジェクトベースの協力、2)共同でジョイントラボの設立、3)ジョイントベンチャーの事業体の設立である。
- 複旦大学は、研究成果を産業化するために大学キャンパスに隣接する科学技術パークを設置し、インキュベーターの機能を果たしている。すでに4社のベンチャー企業が上場を果たした。いくつかの外資研究機関の入居も交渉中である。
- 複旦大学には8つの付属病院を持っており、直接臨床試験ができる。現在、複旦大学では、天然薬剤を含む10種類の新薬を開発している。外資製薬会社も注目しはじめており、例えば、スイスの製薬会社ラスマン社は、複旦大学とフェーズI~フェーズIIの協力を経て、フェーズIIIに入っているという。
外資系企業のR&D拠点の概要
- 今回は、日系2社、米系2社、台湾系1社の合計5社の外資系R&D拠点を訪問した。各拠点の概要は図表が示すとおりである。
中国における外資企業R&D拠点の事例

