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中国における日本製品の「品質問題」とその影響

発行日 2006年11月2日

主席研究員 朱 炎


10月23日、中国品質管理局と衛生省は日本製SK-II化粧品の品質問題に関して、混入された微量の有害物質が検出されたが、健康に損害を与えるリスクが小さいという調査結果を発表し、一時中止していたSK-II化粧品販売の再開を容認した。これで、1ヶ月以上も続いた日本製品の品質問題の騒動がようやく終結に向かい始めた。

問題の発生

  • 問題の発端は、9月14日に中国品質管理局が、日本から輸入した9種類のSK-II化粧品から中国で使用禁止の金属クロムとネオジムが検出されたという調査結果を公表したことであった。SK-IIブランドを保有し、販売している米国企業のP&Gはこれを認めず、製品の払い戻しに厳しい条件を付けた。P&Gの対応が中国の消費者とマスコミの反感を買い、厳しく批判された。SK-II化粧品のイメージが悪化し、販売の一時中止にも追い込まれた。
  • 在中国日本大使館も異例の記者会見を開き、日本製品の品質問題について釈明した。
  • この問題は、日本企業と日本製品にイメージダウンなどの悪影響をもたらした。・ 本来ならば、中国が市場経済を導入する以上、労働者の権利を維持する労働組合の設立は当然のことである。その役割として、労働者が経営側に不当な扱いをされたとき、労働組合は労働者を代表して経営側と交渉し、自らの権利を守ることである。しかし、外国企業がもっとも恐れているのは労働組合が過激な行動に出るのではないかということである。

問題発生の背景

  • このような日本企業と日本製品のイメージダウンにつながる事件がなぜ発生するのか。
  • 背景の1つに、経済発展に伴って、消費者が自らの権利を守る意識が高まり、健康に対する関心も高まってきた。
  • また、外国企業や、外国ブランドが中国市場を独占する状況を憂慮する傾向もある。
  • 日中関係の悪化も大きな影を落としている。日中関係悪化のもとで、日本企業と日本製品の問題がマスコミで大きく喧伝されがちである。日本企業と日本製品は他の外国企業と外国製品に比べ、事件が発生した際により厳しい批判が浴びられる。
  • さらに、貿易摩擦の背景もある。今年から日本が輸入農産品に対して、「ポジティブリスト」という制度を実施し、残留農薬の基準を厳しくした。これで中国の対日農産品輸出が大幅に減少した。同時に、軍事転用可能なハイテク製品の対中輸出への規制も強化された。こうした措置に対して中国の不満が高まり、報復措置を取り始めたとの見方もある。
  • 同じ時期に、日本から輸入した食品に対しても品質検査が強化され、日本製品の「品質問題」が数多く報道された。

「品質問題」の教訓

  • SK-II化粧品の問題は、最近中国における日本企業が遭遇したさまざまな事件の代表例である。化粧品と食品のみならず、家電、自動車などの分野でも品質問題や、販売方法などに関する不祥事が数多く報道された。こうした事件は、日本企業と日本製品のイメージにマイナス影響を与えているため、真剣に対応しなければならない。
  • 日本企業にとって、日中関係悪化のもとで、自らの努力で不祥事を発生させない、発生しても悪影響を広げないように備えなければならない。日本企業は普段から中国での企業イメージの構築と宣伝、社会貢献を進める必要がある。また、危機対策の体制を整え、問題が発生した場合、政府、消費者とマスコミとの交流などを通じて、誠意を持って対応し、問題の拡大化を防ぎ、解決に努める必要がある。
  • 品質問題などの事件は、日本企業にとってはマイナスであるが、別の角度で考えれば、中国での企業イメージを重視し、危機管理の体制を整えるきっかけにもなる。品質問題の教訓は、今後の日本企業の中国ビジネスに生かせるであろう。

問題の解決

  • 「品質問題」に関する背景の1つとしての日中関係は改善に向かっている。
  • 10月上旬、安倍首相が訪中し、日中首脳会談が行われ、日中関係を発展させ、戦略的互恵関係を構築していくと合意した。これによって、日中関係が修復され、中国における対日世論もかなり改善された。
  • 冒頭で述べたSK-II化粧品に関する政府機関の発表は、日中関係改善の動きを反映して、この日本製品の品質問題の騒動に終止符を打とうとする意向も受け取れる。今後、このような事件が少なくなるであろう。
  • こうした問題から得た教訓を今後の中国ビジネスに生かすため、日本企業は中国で企業イメージの向上、消費者とのコミュニケーション、危機対策を強化する必要があろう。