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ベトナムにおける日系企業の経営活動の実態(1)

発行日 2006年10月6日

上席主任研究員 金 堅敏


2006年9月10日~14日にベトナムのホーチミンとハノイの両地域に活動している日系企業4社を訪問し、その経営活動状況を調査した。その概要を纏める。

拡大する投資

  • 今回訪問した輸出企業2社{A社(ハノイ)、B社(ホーチミン)}と内販企業2社{C社(ホーチミン)、D社(ハノイ)}のベトナムでの経営活動状況は図表が示しているとおりである。B社を除き、ほかの3社はいずれ拡張投資を行っている。A社は第1工場に続き、第2、第3工場の建設を行っている。D社では、06年7月に年産1万台の四輪組み立て工場を完成したばかりで、二輪車生産でも鋳造工場と塗装工場の拡張工事中である。C社では、デジカメ等の生産ラインを新設した。B社の経営者からも設備増設の期待が聞かれる。
  • 輸出企業2社はともに100%資本でEPE(輸出加工保税企業)として処理されているが、B社は、税関との間でEDIシステムが稼動しているが、A社は煩雑な手作業で通関手続きを行っている。また、B社ではすべての部品輸入と製品輸出は空輸であるが、A社は道路と船便を利用している。製品の付加価値が異なるからである。
  • 内販型の二社(C社、D社)はともに、ベトナム政府傘下の国有企業とのJVである。ただし、D社のように四輪車事業も日本側のマジョリティが許されていることは中国(外資系最高50%まで)とは異なる。
  • 中国では、技術流出や経営の主導権争いでJVの経営に支障をきたすケースが多かったが、訪問したC社とD社の2社は、ローカルパートナーとよく協力しあっているという。経営活動は基本的に日本人が掌握しており、ローカルパートナーは副社長を派遣してきているが、政府関係・メディア対策、総務・労務等に徹している。ただし、中国のようにWTO加盟で内外資企業の無差別化が実現されるとき、JVが解消されるかどうかが注目される。

日系大手4社のベトナム拠点の経営活動の現状

輸出型 内需型
A社 B社 C社 D社
設立時期 2001年 1995年9月 1994年11月 1996年3月
資本関係 100% 100% JV(70日/30現) JV(70日/30現地)
従業員数(人)
うち日本人
9,000(大卒15%)
73
3,526(大卒350)
15
315
3,500(四輪297)
19
製品 プリンター プリント基板等 CRTTV、デジカメ等 二輪車、四輪車
現地調達率(%) 60 6 20 71(2輪)、25(四輪)
高卒初任給
大卒初任給
マネジャー
50~70ドル
150~250ドル
65ドル
200ドル
600~700ドル
150ドル
300ドル
600ドル
60ドル
150ドル
600~1,000ドル
離職率(%) 高い 15 4.5
6-7(営業)
5
WTO加盟への期待 特になし 特になし (1)買い控えの懸念
(2)輸入権獲得に期待
(1)内外資無策別待遇に期待
課題 (1) 物流インフラ
(2) 通関手続き
労務問題
インフラ未整備
従業員との意思疎通 内外資企業の差別政策

品質・現地調達率

  • ベトナムを生産拠点として評価する場合、品質は他の国と比べても劣らないと4社とも評価している。それは部分的に機械作業よりも手作業の方がいい結果(例えば、B社のプリント基板の肉眼による概観検査)となるからである。
  • 各社の現地調達率はバラバラである。一番高いのは、D社の2輪車で71%(サプライヤー54社のうち、日系22社、地場系19社、その他13社)となっている。2006年は88%の現地調達率を目指している。ただし、4輪車では25%前後と低い。電機分野では、A社のプリンターは60%と高い(サプライヤーはほとんど日系部品メーカーである)。C社の家電製品は20%しかなく、現地調達率の向上に苦労している。B社では、電子部品は全量海外から調達しており、現地調達を高める計画はないという。全体として、電子部品やプラスチック部品の現地調達は機械部品よりも困難である。
  • 部品調達先は、電子部品ではマレーシア(C社)やタイ(A社)、或はシンガポールIPOによる域内調達(B社)であるが、二輪や四輪ではタイやフィリピンなどのアセアン域内からの調達(D社)が多い。全体的にアセアン域内の調達が多く、中国からの部品調達は少ない。中国・アセアンFTAの進展により中国からの調達が増えると見込まれる。