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成長する中国の電子情報企業

発行日 2006年6月16日

上席主任研究員 金 堅敏


中国の「電子情報百強企業」評価

  • 中国の「電子情報百強企業」(外資マジョリティ企業を除く)評価は、1986年に始まった。最初の評価基準は、電子製品販売額が全体の60%以上であることと黒字経営であることを条件に売上高に基づくランキングであった。1999年は利益額を、2000年には利益額1,000万元以上を条件とし、輸出額やR&D投資額の公表も要求されるようになった。2002年からは情報化投資額も公表された。2005年には、レノボやTCLのように大型買収や構造調整に伴う黒字確保が困難な有力企業が出たため、黒字という前提を3年連続赤字でなくかつ赤字額が純資産の1/3以内であることに改められた。

2005年中国電子情報企業トップ10の概況

順位 企業 売上高
(億ドル)
経常利益率(%) R&D額/売上高比
(%)
IT投資額/売上高
(%)
海外売上比率
(%)
1 聯想ホールディング 132 1.9 1.4 0.37 63
2 海爾(ハイアール) 127 1.3 4.4 0.10 18
3 京東方科技 67 -0.12 1.7 0.16
4 TCL集団 64 -2.3 3.7 0.65 53
5 華為技術 57 11.0 10.1 0 58
6 美的集団 52 1.8 3.1 0.3
7 海信集団 41 1.9 4.3 0.52
8 上海広電(集団) 36 -1.6 3.4 0.12
9 熊猫電子集団 34 2.2 1.2 0.1
10 北大方正集団 32 3.3 4.9 0.27
  • 2006年5月31日に第20回(2005年)中国「電子情報100強企業」が発表された。売上高順でトップ3は、PCメーカーの聯想、家電メーカーのハイアール、電子部品メーカーの京東方である。
  • 中国の「電子情報百強企業」の総売上高は、1986年の116億元から2005年の9,643億元にまで拡大した。また、トップ企業の売上高は、86年の5.76億元から2005年の1,082億元にまで拡大し86年トップの187倍となった。トップ企業の売上高(約132億ドル)は、「フォーチュン500」(2004年実績)のボトムライン124.3億ドルを超えており、中国電子情報製造企業のフォーチュン500仲間入りが実現すると見込まれる。
  • 中国の「電子情報百強企業」は評価により毎年15%前後の企業が入替わっている。1986年から2005年まで20年間一貫してランキングインを果たした企業は僅か7社で、ランキングから落ちた後再びランキングインを果たした企業は6社あった。

低下する収益力

  • 「電子情報百強企業」の売上高の急拡大とは裏腹に、利益額は足踏み状態にある。因みに、「電子情報百強企業」全体の経常利益率は2000年の6%から2005年の2.6%に低下した。
  • 表が示すように、華為技術を除いてトップ10企業の収益性は非常に低いことがわかる。さらに、トップ10のうち、京東方、TCL、上海広電の三社は赤字を計上している。ベンチマークとしているグローバル企業(例:サムソン電子13.2%、ノキア10.6%、シスコ21.6%、デル6.4%など)に遥かに及ばない。

高まる研究開発意欲

  • 2005年「電子情報百強企業」全体の研究開発投入対売上高比は3.7%で、2004年の3.8%より若干低下したが、研究開発額は前年同期比14.6%増加した。R&D投資対売上高比率で5%を超えた企業は23社、10%を超える企業は4社あった。特許申請をした企業は、2000年では44社であったが、2005年は90社に達した。
  • 技術志向企業の華為科技R&D投資対売上高比は一貫して10%以上を維持しており、近年の特許申請数は中国企業のトップに維持し、グローバルベンチマーク企業とも互角の実績を挙げている。例えば、2005年の華為科技のPCT特許申請数は、世界の37番目にランクされ、シスコの212件を越えている。

加速される国際M&A戦略

  • 表が示すように、聯想、華為、TCL三社の海外売上高比率は50%を超えており、経営の国際化が進んでいる。今後企業買収(M&A)、研究開発や生産拠点の設立が加速されるであろう。実際、ハイアールによる韓国PCメーカーTrigemの買収や華為によるシーメンス通信部門の買収、京東方の英国でのR&Dセンターの設立などが伝えられている。
  • ただし、聯想によるIBMPC部門の買収やTCLによるアルカテール携帯部門とトムソンカラーテレビ部門の買収は実現したが、成功するかどうかは不明である。ハイアールによる米第2家電メーカーMaytag社や華為による英国Marconi社は実現しなかった。中国電子情報企業の国際化の道のりは平坦ではない。