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中国の家電企業の新しい動き

発行日 2006年4月7日

主席研究員 朱 炎


世界最大の家電生産・輸出国

  • 中国は世界最大の家電生産・輸出国である。カラーテレビの場合、2005年、生産量は前年比11.5%増の8283万台、販売量は同10.7%増の8045万台、輸出は43.4%増の3975万台に達した。そのうち、薄型テレビとしては、液晶テレビは前年比418.6%増の452万台、プラズマテレビは同215.9%増の77万台を生産した。
  • 3月、中国で数社の家電、情報通信製造企業を訪問しヒアリングした。ここでは、テレビ業界を中心に、家電業界の現状と問題、およびそれに対応する新しい動きをまとめる。

国内市場における激しい競争とその対策

  • テレビ業界は、他の家電、情報・通信産業と同様に、激しい競争が繰り広げられている。市場の主導権は大手量販店に握られ、テレビメーカーは激しい価格競争を強いられている。店頭の最低価格として、29インチのCRT(ブラウン管)テレビは1000元(約1.45万円)、32インチの液晶テレビは8000元(約11.7万円)を切るほど下落している。
  • 価格競争によって、生産企業の利幅が薄くなり、業界の生産集約が進んでいる。テレビメーカーは、薄型への高度化や輸出拡大で競争激化に対応しようとしている。
  • 各メーカーはいずれも薄型テレビの生産販売に力を入れている。05年、液晶テレビの生産台数がカラーテレビ全体の5.5%、プラズマテレビが0.9%しか占めていないが、薄型テレビの販売額はすでにCRTテレビを上回った。しかも、薄型テレビの国内市場における国内メーカーのシェアは80%を超えている。
  • しかし、薄型テレビのパネルは輸入に依存している。従来、テレビ用液晶パネルは主に韓国から調達していたが、05年には安い台湾製パネルの調達が急増している。それでも調達量と価格をコントロールできないため、国内テレビメーカーは資源の掌握の重要性を認識し、自らパネル生産に乗り出した。現在、北京と上海で2本の第5世代パネル生産ラインが操業に入った。現段階ではディスプレー向けがメインだが、テレビ向けパネル生産の拡大が今後の課題である。06年1月、TCL、創維、康佳、長虹の大手4社と投資会社1社が共同出資でパネル生産の合弁企業を設立し、今後投資が実施される。また、現在NECとの合弁でパネル生産ラインを保有する上海広電も、第6世代の第2工場の建設を計画している。
  • 液晶パネルの供給が国内で確保できれば、液晶テレビ生産がさらに拡大し、パネル資源を掌握する企業は競争上優位に立つであろう。

輸出から海外生産へ

  • 国内市場の激しい価格競争に比べると、輸出は相対的に魅力的であり、各メーカーは輸出拡大に積極的に取り込んでいる。
  • 最も重要な市場だった欧州と米国ではアンチダンピング制裁を受けているため、輸出が制限されている。EUは、中国からのCRTカラーテレビの輸入枠を大手7社年間40万台に限定しており、しかも21インチ以下、最低価格という条件付である。米国市場では、中国の大手6社に限って対米輸出が認められているが、会社ごとに4%~14%の関税がかけられている。CRTテレビの対欧米輸出がこれ以上拡大できない状況にあるため、各メーカーは薄型テレビの輸出を拡大させている一方、海外生産による欧米市場向け販売に転換した。一方、東南アジア、インド、ロシア、中南米などを新興市場と位置付け、輸出と現地生産を拡大している。
  • 中国テレビメーカーの海外生産には2つのトレンドがみられる。1つは、欧米のテレビメーカーを買収し、そのブランド、生産工場、研究開発センターを活用する。例えば中国のTCLはドイツのSchneider、フランスのThomsonを買収し、メキシコ、ポーランドの工場で生産し、Thomsonなどのブランドで対欧米輸出を行っている。もう1つは、海外の既存工場と契約してOEM生産に活用するである。海外でのOEM生産は自社ブランドの委託生産と他社ブランドでの受託生産が含まれ、経営幹部を契約の生産工場に派遣することも多い。現地でのOEM生産を通じて、中国のテレビメーカーは海外での販売拡大と国内からの部品輸出の拡大を図ることができる。
  • 海外販売を拡大することによって、多くのテレビメーカーは海外販売(輸出と海外生産)が国内販売を上回った。

テレビメーカーが目指す発展方向

  • 中国の大手テレビメーカーの多くは総合家電メーカーである。黒家電のテレビとDVD、白家電のエアコンと冷蔵庫のほか、情報家電のパソコン、ディスプレーと携帯電話も生産している。今後の発展の方向として、ほとんどが3C(Consumer, Computer, Communication)を目指している。川上産業への進出計画として、液晶のパネルとモジュール(LCM)の生産、半導体(テレビ制御用チップ)生産に進出しようと考えている企業が多い。
  • また、目指す企業としては、ほとんどが韓国のサムソン電子と答えている。日本企業ではなく、韓国企業をモデルにする理由は3つある。第1に、中国市場におけるサムソンのプレゼンスが大きい。第2に、韓国企業は政府のバックアップで発展してきたため、家電メーカーの多くが国有企業である中国の場合、政府の支援を生かすことでサムソンに学びたいと考えている。第3に、サムソンは僅か数年で高級ブランドイメージに転換させ、世界で大きな市場シェアを獲得した。中国家電メーカーにとっては憧れの的となっている。