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インドの外国直接投資政策の変化と外資進出状況

発行日 2005年3月11日

主任研究員 金 堅敏


インド外資政策の変化

  • 独立直後、輸入代替を目的とするインドの外資政策(FDI政策)は、機械製造分野の外資導入に重点を置いた。1960年代末ごろになると、地場製造業が育成されたこと、地場企業経営者が成長したこと、外国への送金(FDIのための配当金、利益金、ロイヤリティ・技術費など)が急増したことなどのために、FDIへの制限政策(技術移転の禁止、外資シェアを40%に制限、参入分野の制限等)が取られた。
  • 1980年代に入ると、産業近代化のため、外資企業に対し資本財や技術の輸入が許可されるようになった。輸出促進に対する外資企業への期待も高まったため、特に100%輸出の外資企業は、「外国為替規制法」によって規定された外資出資規制を免除された。
  • 1991年7月に貿易、投資、金融セクターを自由化する「新産業政策」が発表された。鉱業、銀行、保険、通信、港湾・道路・高速道路の建設と管理、航空輸送、国防設備製造などの新しい分野が出資比率規制を残して外資に開放された。また、1992年には外国機関投資家に資本市場が開放された。サービス分野のほとんどには外資出資規制が残っているが、大部分の製造業は、外資シェア26%までの国防設備や24%までの小規模産業を除き、次第に100%まで外資企業が許可されるようになった。例えば、銀行は49%、電気通信は49%、インターネットサービスは74%の外資規制が存在しているが、自動車製造については2002年3月から、外資出資規制が撤廃された。
  • これまでインドは、外資企業に現地部品調達等に対するローカルコンテンツ規制や、輸出要求、外貨バランス要求などのパフォーマンス規制を行った。WTOメンバー国であるインドは、2000年1月までにこれらの規制を撤廃し、WTO貿易関連投資措置(TRIMs)協定と整合したFDI政策体系を有するようになった。
  • 近年、流通分野の未開放や保険・銀行・民間航空・電気通信分野の出資規制について、海外からの批判が強まっていることに対して、インド政府は、民間航空・電気通信分野での出資規制緩和については検討しているが、保険・銀行セクターは未解決のままであり、特に小売市場の開放には応じない構えを見せている。
  • また、2002年10月に始まったWTOのTRIMs協定レビュー委員会で、インド政府はブラジルとともに、発展途上国における高付加価値産業の育成、技術移転と自主開発の促進、競争促進や制限的商慣習の是正を図るために、投資規制措置やパフォーマンス要求ができるようTRIMs協定の改正を要求している。その理由は、ローカルコンテンツ規制やパフォーマンス要求がFDI効果を高めるために必要であり、これらの投資規制を制限しているWTOのTRIMs協定は途上国の政策自由度を阻害しているというものである。

FDI流入状況

  • 1990年代の外資規制改革は、グローバルなFDI規模の拡大と相まって、インドへのFDI流入拡大をもたらした。フローベースでのFDI流入は、1991年の1.6億ドルから97年の36.1億ドルにまで拡大した。その後景気後退によりFDI流入は低下したが、01には再び34億ドルにまで回復し、2003年は43億ドルに達した。
  • 国連は、2004年中のインドのFDI流入は60億ドルまで急増すると見ているが、インド政府は、04年4月~05年3月には150億ドルになると見込んでいる。なぜなら、03年12月~04年1月の2ヵ月間で、インフラ投資を中心とする50億ドルのFDI投資が流入したという事実があるからである。中国の606億ドル(04年)と比べれば小さいが、外資企業による収益の再投資の奨励等を通じて、インドのFDI誘致目標は、明らかに中国を意識したものとなっている。
  • 分野別では、農業・鉱業・石油業の資源関連へのFDI流入(ストック、以下同)は、1980年の9%から97年の2%にまで低下した。これまで主要な外資投資分野である製造業は、1980年の87%から97年の48%に低下した。機械加工、化学、電気機器、輸送機器が外国投資の重点であった。
  • 他方、90年代を通じてサービス業やインフラ関係がFDI流入の重要な受入分野となった。その割合は、80年の4.1%から97年の49.8%まで急上昇した。サービス業への投資急増は90年代の自由化政策の結果でもあった。91年~2000年の間の認可ベースで見ると、電気通信が61%でトップ、次に金融と銀行サービスが14.1%、ホテル・観光が6.2%の順であった。
  • FDIを地域別で見ると、かつて重要な位置を占めていた欧州主要国のシェアは、1980年代の69%から90年の66%へ、さらに97年には37%へ低下した。他方、米国のシェアは、1992年の18.6%から97年の30%前後(tax have経由を含む)へと急増した。日本からの投資は、90年代一貫して5.5%で推移していた。
  • 1990年代のインドへのFDI流入のもう一つの特徴は、M&A方式による投資の増加であった。1997年~99年の間でM&A投資は全体の39%に上がった。