中国の電子商取引市場の最新動向
発行日 2005年12月2日
上席主任研究員 金 堅敏
拡大する市場規模
- 電子商取引(EC)市場に関する中国の公式統計はまだ存在しないが、各種の調査機関により実態が明らかにされている。IT市場の大手調査会社(CCID)によると、2004年に中国のEC規模は4,800億元(約580億ドル)で前年より73%伸びた。2005年に6,850億元、06年には9,925億元まで伸びると推定されている。
因みに、2004年の日本のEC市場規模は約10,100億ドルに達しており、中国の市場規模は日本の約8%である。 - EC市場の98%以上は、企業間取引(B to B)市場であり、企業対個人(B to C)や個人対個人(C to C)市場はわずか2%あまりである。ただし、2007年にはB to Bの割合は89%に低下し、B to C/C to Cは11%を占める。
因みに、2001~07年のB to Bの年平均成長率は52%で、同時期のB2C+C2Cの年平均成 長率は123%である。また、民間有力調査会社iResearch(2005)によると、同時期B to Bの成長率は77%で、B to C+C to Cの成長率は116%である。 - 電子商取引額の全国商品小売総額に占める比率は、2002年の4.3%から03年の6.0%を経て、04年には8.9%まで高まった。ECの盛んな上海は、12.0%で、北京は11.7%であったのに対して、所得の高い広州市は4.4%に止まった。
集積するEC産業
- CCIDの調査によると、2004年末現在に中国における各種の電子商取引サイトは4,486あり、内訳はB to Bサイト1,811、B to Cサイト2,219、C to Cサイト456dである。これは、2004年中国のビジネスサイト総数の5.9%に相当する。
- 電子総取引を行っている企業には三種類ある。第一は、アリババ、当当網、卓越網、易趣等のような電子商取引、つまりB to B,B to C,C to Cなどを主たる業務として行う純粋電子商取引企業である。第二は、サイトの中に販売プラットフォームを設けているポータルサイトである。例えば、新浪商城、捜狐商城、eNet商城がこれに相当する。第三は、製造/販売企業の電子商取引プラットフォーム、或いはその母体から分離して設立されたグループ企業のネット製品販売を主たる業務とする専門電子商取引企業である。例えば、レノボ電子商取引プラットフォーム、西単商城電子商務公司、東方鋼鉄電子商務公司、ハイアール電子商務公司がこれに当たる。
- 「垂直捜索」(www.sou365.cn)によると、B to Bサイトの半分以上は2004年以降に立ち上げたサイトである。サイト種類別のトップ3は、総合サイト(22%)、ビジネスサポート(19%)、機械/電機(13%)である。製造業のEC参加業種別トップ3は、冶金、電子、自動車である。地域別のトップ3は、北京(17.7%)、広東(16.8%)、浙江(15.8%)である。
- 一方、2004年にB to Cサイトは03年より12%減となった。これは、B to Cを行う企業間競争が激しく、市場参入者間の整理統合が進んでいるからである。B to Cサイトで取引されている商品のトップ5は、図書47.8%、音響製品25.5%、服装18.1%、ギフト17.9%、家電製品15.0%である。
EC推進の政策動向と外資動向
- 2005年1月に国務院は、「電子商取引の促進に関する意見」という文書を出して、政府としてECを積極的に推進していくこととなった。これに基づき、以下のような具体的なの動きが見られた。

- 現在、「電子署名法」、「電子認証サービス管理弁法」(情報産業部)、「ネット交易プラットフォームサービス規範」(中国電子商取引協会)、「電子支払手引」(中国人民銀行)などのような、電子商取引活動に関する法規が急ピッチで整備されている。
- 2005年2月に国家発展改革委員会は60億元の「EC発展基金」を設立した。05年9月に基金の対象となる91のECプロジェクトが認定された。
- 科学技術部の主導で開発が行われた「中小企業電子商取引インテグレーションプラットフォーム」は05年1月に応用段階に入った。
- EC推進を情報産業部の政策重点に、農村振興におけるECの推進、南方9省市によるEC共同枠組みの制定、上海市のEC産業パークの設置等、多くの地方政府による個人信与データベースの構築などが見られた。
- 2005年8月にアリババに対するYahooの10億ドルの投資(アリババの株式40%を所有)をはじめ、特に米系VCやネット企業(ebay、Paypal、Amazon、Google、Vesta、neweggなど)の対中投資が盛んになっている。これは、中国ネット企業の収益性が高まってきているうえ、中国におけるネットユーザーの急増がインタネットのビジネスチャンスを高めたからである。ただ、日系資本では、活発な投資活動を展開しているソフトバンク以外に目立ったものはない。
