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日本CTOミッション訪中報告(2)

- 欧米系研究開発機関の実態 -

発行日 2005年10月14日

上席主任研究員 金 堅敏


欧米研究開発機関としては、化学、電機、バイオを含むR&Dセンター3ヵ所を訪問した。

(1)Dupont (China) R&Dセンター

  • 中国に5,000名のスタッフを抱えるDupont社は、21社の現地拠点を設けており、総投資額は7億ドルに達している。2005年上海に設置されたR&Dセンターは、米国以外では第3番目の大型コーポレートR&Dセンターである。現在は100名のR&D開発要員が在籍しているが、2007年には200名に増やす。
  • 上海に設置する理由は、(1)ユーザー企業が近いこと、(2)下流の製造業が集中していること、(3)大学や研究機関が数多く存在し人材リクルートしやすいことである。このR&Dセンターの役割は、(1)ユーザー企業への技術サポート、(2)中国/アジアパシフィック地域の応用技術製品開発をすること、(3)ユーザーやスタッフの研修拠点として機能すること、(4)R&Dセンターを通じて現地大学や研究所の研究リソースを活用すること、(5)技術サポートの側面から各事業部の拠点をOne Dupontに束ねていくことである。
  • Dupont中国R&Dセンター長(総経理)王林氏は、米国留学で博士号を取得した後、Dupont社の研究開発部門や人事部門で9年間在籍した。天津出身の中国人(39歳)である。当センターの人材流動率は10%以下で高くとは言えない。人材を引きつける方法は、(1)高いレベルのR&D能力を維持して尊敬される企業であること、(2)研修を多く行いキャリアアップが図れること、(3)研究業績に見合った奨励制度があることである。
  • また、当センターは昨年開業したばかりで、知的財産権部門はなく、研究マネジャーが直接管理している。本社知的財産権部門との連携によって知財保護を図っている。R&Dセンターでは技術流出や知財問題は発生していない。生産分野ではコピー問題がある。

(2)GE Healthcare (China)

  • GEグループは、中国で12,000名の従業員を有し、40ヵ所以上の現地拠点を設立している。これまでの対中総投資累計額28億ドルで、05年の売上高は50億ドルを計画している。2,600名のスタッフを抱えるGE Healthcare (China)は、中国市場で4億ドル、輸出市場4億ドル、あわせて8億ドルの事業規模を有する。
  • 03年に上海に設置されたGE (China) R&Dセンターは、米国、インド、ドイツに次ぎ、第4番目のグローバル研究開発拠点である。現在のR&D人員は1,000人を超えている。GE (China) R&Dセンターの研究内容は、(1)材料科学、(2)電子関連、(3)特別製造技術や加工方法に関する研究開発であり、(4)GE中国研修センターとして機能する。
  • また、メディカルだけは北京にあるGE Healthcare (China)に残している。そこでのR&D開発要員は400名である。技術吸収から技術改良、現在ではグローバル市場向けの低付加価値医療機器の開発まで行っている。
  • GE Healthcare (China)の総経理は中国出身の陳向立氏である。スタッフの離職率は5%~7%で低く抑えられている。人材を引きつける方法としては、(1)新しいチャレンジできる環境整備、(2)年2回の評価によるランキングを行い、優秀者に対しては研修の機会や海外での活動機会を付与、(3)業界で上位(75%前後)の給与水準を維持すること、(4)米国での人事仕組みと異なる階層を多くして高いポストに就く誘引を与えることなどである。
  • 知財保護については、専門弁護士を迎え入ること、スタッフのモラル教育を徹底すること、技術保護の制度を整備することでマネジする。R&D部門からの技術流出は起こっていない。

(3)Novozymes (China)

  • ノボ社は、米国、中国、デンマーク、ブラジルの4ヵ国に生産拠点があり、米国、中国、デンマーク、日本に研究開発拠点を設けている。中国での従業員数は650名超え、R&D要員は45名である。
  • R&Dセンターは北京にあるノボ社の統括会社の中にある。中国でR&Dセンターを設立した理由は、(1)バイオ資源の豊富さ、(2)酵素の応用分野が広いこと、(3)販売への技術サポートが必要であることなどである。1997年に設立されたR&Dセンターは、数少ない外資企業のバイオ関連R&Dセンターである。これまで15本の国際特許を取った。最近では、R&D機能が拡大され、米国から中型実験室を中国のR&Dセンターへ移転した。
  • ノボ社(中国)の総裁は北京出身者であるが、R&Dセンター長はデンマーク本社R&D部門のマネジャー(デンマーク人)である。これまで、R&D人員の離職率は5%前後でデンマークやEU地域とあまり変わらない。人材を引きつける環境としては(1)比較的高い給与水準、(2)個を重視する企業文化、などである。
  • IPRの重要性に鑑み、2004年にIPR保護部門を立ち上げた。生産部門でコピー品が出る可能性は高いが、R&D部門についてはIPR問題はなかった、その対策としては、(1)スタッフと秘密保持の契約をきちんと結ぶこと、(2)給与や福利厚生を引上げること、(3)キーパーソンに外部との接触を減らすなどが上げられる。