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対中投資は減少傾向

発行日 2005年7月29日

主席研究員 朱 炎


対中投資は3カ月連続減少

  • 中国商務省の発表によると、今年6月の対中外国直接投資(実行額)は62億ドル、前年同期比22.2%減少し、4月、5月に続いて、3カ月連続の減少となった。1~6月の合計は285.6億ドル、前年同期比3.2%減少した。昨年の対中投資の契約額が33.4%増えたことから考えると、今年の実行額の減少は、投資を決めた外国企業がなんらかの理由で投資案件の実行を延期もしくは中止したことを意味する。
  • 対中投資の減少は一時的な現象なのか、それとも中国経済の変貌によって、外国企業の中国を見る目が厳しくなり、対中投資を控え始めたのか。経済成長に外資の役割がとくに大きい中国にとって、これは極めて重大な問題である。

対中投資減少の原因

  • 対中投資が減少した背景については、以下のように考えられる。
  • 第1に、引き締め政策の実施により、投資全体が抑制され、銀行融資も困難となった。鉄鋼、セメント、アルミ精製など、一部の分野への投資が厳しく制限された。
  • 第2に、人民元引き上げへの準備として、元高を狙う投機資金の流入を防ぐため、金融当局は外為管理を厳しくした。投機資金はおもに不動産市場に流入するため、不動産市場の管理も厳しくなり、投機目当ての不動産投資が減少した。
  • 第3に、外為管理が厳しくなったため、外資への優遇政策を狙って、国内資本は一度海外に出て、外資として国内に投資することが難しくなった。すなわち、外資を装った国内資本の迂回投資も減少した。
  • 第4に、中国国内における製造業の多くの分野では、競争が激しくなり、供給過剰の状況が続いている。一方、サービス分野の外資への開放は、WTO加盟時のコミットメントに沿って徐々に実施され、なお時間がかかる。
  • 第5に、電力不足、労働者の募集難、経営コストの上昇などの問題も、外資の企業経営に悪影響を及ぼしている。

外資の減少はマクロ経済運営にプラス?

  • 外資は、中国の経済成長に生産拡大、雇用維持など、さまざまな面で大きく貢献してきた。中国にとって、外資の減少は経済成長を脅かす深刻な問題である。
  • しかし一方、引き締めの実施、人民元切り上げの準備の観点からみると、外資の一時的な減少は必ずしも悪いことではない。経済の過熱を抑えるためには、投資を抑制する必要があり、とくに生産過剰となっている分野への投資を抑制しなければならない。また、急増する外貨の流入はマクロ経済運営に不安定性をもたらす。外貨の流入によって、通貨当局は人民元のマネーサプライを拡大させなければならず、経済過熱の抑制に困難をもたらしているのみならず、人民元切り上げの圧力にもなっている。今年6月末、中国の外貨準備はすでに7,110億ドルに達し、年初に比べて1,011億ドルも増えた。したがって、対中投資を急増させないことは、中国のマクロ経済運営にとっては、プラス効果もある。
  • もちろん、中国は外資導入を国策とする政策を変える意思はない。外資への優遇政策は今後も継続し、とくにハイテク分野の外国投資にさらに手厚い優遇措置を与え続けていくであろう。

対中投資は今後も拡大

  • 外国企業にとっては、高成長が続く中国市場の魅力は依然として大きい。高成長が続くと、市場がさらに拡大していく。引き締めのなかで、ある程度の経済の混乱は避けられないが、効果を上げられれば、マクロ経済のバランスが回復し、経済秩序が整い、外資系企業の経営環境も改善される。さらに、サービス分野の対外開放は、今後徐々に拡大し、外資にとっても大きな可能性を秘めている。外国企業は、高成長の中国市場から簡単に撤退することは考えられない。
  • 実際、対中投資の実行額が減少しても、先行指標としての契約額は依然として増加し、今年1~6月に861.9億ドルに達し、前年同期比で19%増加した。
  • 日本からの対中投資は、中国の統計によると、今年1~3月、実行額は前年同期比で38.3%増加した。4月の反日デモ発生後、多くの日本企業は投資計画を再検討し、リスク対応の重視、投資の一極集中を避ける対策をとり始めた。4月以降の投資額統計の詳細はまだ発表されていないが、1~6月の対中投資実行額のうち、日本は香港、バージン諸島に次いで3位であり、昨年に比べると、順位はむしろ上昇した。日本企業の対中投資は、反日デモ、日中関係の緊張にさほど影響されていないといえよう。
  • したがって、対中投資の一時的な減少は、中国経済への影響は限定的であると思われる。