第4回 経済研究フォーラム
富士通総研経済研究所では、1998年10月12日(月曜日)経団連会館経団連ホールにおいて「激動の日本とアジア--再生へのシナリオ」と題し、第4回フォーラムを開催した。聴衆は310名を数え、盛況のうちに幕を閉じた。
午前の部では、日本経済がすでにデフレ・スパイラルに突入したと捉え(米山主任研究員)、あらゆる政策を総動員するパッケージを提示した。まず、中小企業向けの貸し渋り対策(大石研究員)では、信用保証特別枠20兆円分の設定、私募債流通市場の整備、貸出債権の流動化・証券化とリスク管理システムの構築。金融システムの健全化(勝客員研究員)では、一刻も早い巨額の公的資金投入と金融行政の根本的な変革、銀行経営の戦略的転換(ユーザー本位のサービス提供、リスクテイク機能への回帰)に言及した。金融政策(絹川研究員)では、日銀がマネー・サプライの目標伸び率を宣言することで、金融システムの健全化にむけたより明確なメッセージを市場に伝えること。財政政策(長島主任研究員)では、需給ギャップを埋めるため、恒久減税を17兆円に拡大するとともに、公共事業のコスト縮減や公務員の削減、消費税率の段階的引き上げを提示した。
午後の部では、アジア経済危機を主要テーマにした。韓国経済復活のカギを握る財閥改革(荒井研究員)は、借金経営からの脱却、コア・コンピタンス中心の事業再編および周辺産業育成を提言した。インドネシア(杉浦主任研究員)では、ハビビ政権がともかくも安定し、マクロ政策も国際金融筋から高く評価されている。しかし、改革のしわ寄せが財政赤字、ひいては公的対外債務に集中しており、今後長期にわたって足かせになると予想した。日本政府としては(中山主席研究員)、金融市場の混乱を通じてアジア経済危機を世界同時デフレに深化させないために、円高誘導によるアジア製品の輸入促進と財政出動による消費刺激、限定アンタイ援助などを考えなければならないと提言した。
最後に、地方自治について提言を行った。地方財源を増やしただけでは、住民のニーズを踏まえた行政サービスが効率的に提供される保障にはならない。結果志向の行財政管理システムという制度的枠組みの中で、個々のサービスに民間委託やFRIといった手法を導入すべきという(岸研究員)。特別講演では、松下電工株式会社会長三好俊夫氏(当社顧問)が、国の誤った政策や経営者の無策のために日本経済が閉塞状況に陥ったと指摘。しかし、今なら「愛郷心に基づく地域コミュニティの建て直し」や「愛社精神に基づく知的生産性の向上」によって、経済再生の道はあると述べた。
詳細
「激動の日本とアジア-再生へのシナリオ」
10時~10時5分 開会挨拶 社長 佐藤 至弘
10時5分~12時30分 午前のセッション 「日本経済:危機からの脱却」
10時5分~10時30分 「危機に直面する日本経済」 主任研究員 米山 秀隆
10時30分~10時50分 「貸し渋りの影響はどうか」 研究員 大石 邦弘
10時50分~11時10分 「金融システムの再構築」 客員研究員 勝 悦子
11時10分~11時20分 休憩
11時20分~11時35分 「金融政策はどのような役割を果たせるのか」 研究員 絹川 真哉
11時35分~12時 「大型恒久減税の選択肢」 主任研究員 長島 直樹
12時~12時30分 質疑応答
12時30分~13時30分 昼休み
13時30分~17時 午後のセッション
13時30分~14時5分 「韓国財閥の再生に向けて」 研究員 荒井 崇
14時5分~14時40分 「インドネシア経済は長いトンネルに」 主任研究員 杉浦 恵志
14時40分~15時15分 「アジア経済危機のインプリケーション」 主席研究員 中山 真一
15時15分~15時25分 休憩
15時25分~16時 「結果志向の自治体改革」 研究員 岸 道雄
16時~17時 特別講演
「日本経済の再生-産業界の視点から見て」 顧問 三好 俊夫
17時~17時10分 閉会挨拶 会長 村岡 茂生
