第17回 経済研究フォーラム
富士通総研経済研究所では、7月7日(火曜日)経団連会館において第17回フォーラム「京都議定書発効後のアジアと日本」を開催した。ほぼ300名の、エネルギー、環境問題、リスクについて感心を持つ聴衆が集い、質疑応答も内容が深いものとなった。今回のフォーラムでは、3つのテーマによる研究報告と、A.T.カーニー・グローバルビジネスポリシーカウンシル代表のポール・ラウディシナ氏による特別講演を実施した。
午前のセッションで、武石は、2005年2月16日の京都議定書の発効を受け、日本企業は温室効果ガスの削減に向けて、国内ばかりでなくアジア等国外各地で取り組む必要が生じており、日本国内の制度の組み換え、政府の役割に変更を迫る大きな課題が生じることを指摘した。
続いて濱﨑は、京都議定書が発効したが、現在の我が国排出量は基準年と比較して大幅に増加しており、自国内削減では目標達成が困難であることを明らかにした。発展途上国でのクリーン開発メカニズム(CDM)の活用が重要になっており、特に中国でのCDM実施は、削減目標達成と同時に、近い将来拡大が期待できる中国の省エネルギー市場参入への足がかりとなる。欧米は官民一体での中国への売込みを進めている一方、我が国は企業の自主性に任せているのが現状であり、大きく出遅れているため、官民一体での積極的な売込みが重要であると述べた。
田邉は、人口増加、グローバル市場化の進展により、国際資源価格高騰、賃金の中国やインドへの鞘寄せなど、世界経済のパラダイムが大きく変化していることから、このような状況の下で、京都議定書発効をむしろチャンスと捉え、日本の豊かな自然資源の活用やイノベーション、あるいは「コモンズ」などの経済社会システムの構築で、環境保全と経済成長の両立が可能となると分析した。3R(Reduce、Reuse、Recycle)推進戦略、エネルギー自給率引上げ戦略、「有機無農薬農法」等による食料自給率引上げ戦略、国土修復戦略など循環型産業への構造改革策は、21世紀のアジアにとっても目標・規範となり得ると主張した。
最後に、特別講演において、A.T.カーニー・グローバルビジネスポリシーカウンシル代表のポール・ラウディシナ氏は、均衡の崩れた世界の中で、リスクに対応でき、世界的に展開した企業が成功を得られるという観点から、企業がいかにして成功を勝ち取るかは、グローバル化、人口動態、消費者パターン、天然資源と環境、市民活動と規制、という5つの原動力にかかっていると講演した。
詳細
「京都議定書発効後のアジアと日本」

「京都議定書発効と京都議定書発効とみアジアにおける取り組み」
主席研究員 武石 礼司

「ポスト京都フレームワークのあり方 -我が国政府の対策・企業の対応-」
上級研究員 濱﨑 博

「東アジアモデルとなる日本の産業改革」
主席研究員 田邉 敏憲
