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第12回 経済研究フォーラム

富士通総研経済研究所は、2002年10月17日(水曜日)、経団連会館において第12回フォーラム「変革、内外の始動」を開催した。聴衆は390を越え、極めて盛況のうちに幕を閉じた。今回のフォーラムでは、9つのテーマによる研究報告と、朝日新聞社編集局編集委員の船橋洋一氏による特別講演を実施した。

午前のセッションで、安部は、価格下落が進む中、企業レベルの対策で新商品開発や高付加価値製品開発が目指されており、これらは研究開発努力で達成されると言われているが、企業の研究開発活動は、中核のIT産業を中心に効率が低下していると主張した。そして、その原因が経営、市場開拓、技術開発面のそれぞれにある事を示し、シナジー効果のある製品群に特化した横並び経営からの脱却、従来市場にこだわらないソリューション型市場開拓、文科型手法も駆使した新たな研究開発手法などが重要であると提言した。

続いて峰滝は、情報サ-ビス産業において効率的なアウトソ-シングが行なわれているか否かについての実証分析はほとんどなされていない点に着目し、アウトソーシングは生産性をもたらすか、技術進歩に対してアウトソーシングがプラスの効果を上げているかについて実証分析を行なった。そして、プロジェクト・マネジャーのノウハウの蓄積が不十分なことが、アウトソ-シングの非効率性をもたらしていると指摘し、発注元・受注先双方のプロジェクト・マネジ-メント能力を高めることが求められると提言した。

長島・新堂は、消費性向が下がっている原因を、これまであまり研究例のない供給要因、期待要因の視点から分析をした。供給要因に関しては、新製品や選択的消費分野での消費は、他の分野の代替によって行われるわけでなく、消費全体を押し上げることを指摘し、また期待要因は、特に高所得者が期待インフレに敏感に反応することを立証、税制中立でも「所得税減税と消費税率引き上げ」のポリシーミックスによって消費浮揚が可能であると提言した。

午後のセッションにおいて田邉は、「資源エネルギー・環境で自立から産業立市町村へ」というテーマで、3万人・1万世帯地域における年間100億円のエネルギー消費を自給かつ半額化する「自立エネルギークラスター」を創ることを主張した。LNG球形タンクを消費地に持ち込み、LNGタンクコンテナによる輸送で、国際価格並みに低いLNG輸入価格を浸透させ得ることや、バイオマスなど再生可能エネルギーをも組み合わせた熱活用の農園芸用ハウス事業などがトータルな産業振興策となり、これを市町村合併の柱とすることで、特例債など必要資金も確保できると強調した。

瀧口は、「自治体の『市民協働型』まちづくりとIT活用」に関し、自治体活動の一環として「まちづくり」に焦点をあてたIT活用のあり方についての基本的な考え方を提言した。まちづくりにITを活用している事例を包括的に分析し、それらがすべて断片的であり、総合的な視点が欠けていると指摘し、まちづくりのプロセスや問題領域の体系化の重要性について指摘した。

金・朱・荒井は、「東アジアにおける自由貿易協定(FTA)のあり方」に関する協同研究を行い、まず金が、1980年代末ごろから活発化したFTAの流れに乗り遅れた東アジアが、不利益を被らないためにも東アジアにおけるFTAが必要であり、日本と中国はそのアンカーとしての役割が求められていると指摘した。

それを受けて、朱は、中国はASEAN及び香港とのFTA締結を積極的に推進しており、貿易自由化の早期実施は一部の分野において2003~04年から開始することに着目し、FTAは中国とASEAN、中国と香港の経済関係を大きく促進するのみならず、政治関係の改善と強化にも貢献でき、中国のFTA推進によりアジアにおける中国の経済と政治的影響力が大幅に強化され、アジアの経済統合も促進されると主張した。

荒井は、日本企業はアジア進出における経営戦略に関し、FTAの締結を求めているとし、締結を目指す目的は、ポジティブには市場の拡大だが、むしろ締結していないことにより不利益を被るというネガティブな影響を回避する目的が強いと指摘した。

最後に金は、ドイツ、NAFTAのケースを参考に、農業問題・産業空洞化問題は日本のFTA戦略の障害にはならないはずであるとし、FTAがなくてもグローバル化の下で日本農業の衰退や空洞化は免れず、むしろ、FTAで東アジアとの総合依存を高めることにより、日本の比較優位を活かして産業空洞化を回避し、高付加価値分野の雇用増の創出を図るべきであると提言した。

濱崎は、アジア、特に世界の工場と呼ばれる中国において、我が国はアジア諸国と共同で温室効果ガス削減プロジェクト(クリーン開発メカニズム:CDM)を実施することを提唱した。この提言の背景として、中国でCDMを実施すれば、世界で最もエネルギー効率の高い我が国にとって、京都議定書に定められた温室効果ガス削減目標達成する際の経済・社会的影響を最小化できるのみならず、今後拡大が期待できるアジアの温暖化関連ビジネスへの先行参入が可能となることを明らかにした。

また、特別講演において、船橋洋一氏は、「911後  アジアと日本??グローバリゼーションと地政学の間」と題し、911によって、それまで十分に見えなかったもうひとつのアジアが否応なしに浮上してきたとし、日本とアジアとの関わり方や、地政学的な分析から日本が成熟したプレーヤーとして世界的な役割を果たす事の重要性を説き、その輪郭はどのようになるのかの自説を展開した

(編集:吉田倫子)

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「変革、内外の始動」

「価格下落に向けた企業のR&D対応」

主席研究員 安部 忠彦

価格下落が進む中、企業レベルの対策で新商品開発や高付加価値製品開発が目指されており、これらは研究開発努力で達成されると言われているが、企業の研究開発活動は、中核のIT産業を中心に効率が低下していると主張した。そして、その原因が経営、市場開拓、技術開発面のそれぞれにある事を示し、シナジー効果のある製品群に特化した横並び経営からの脱却、従来市場にこだわらないソリューション型市場開拓、文科型手法も駆使した新たな研究開発手法などが重要であると提言した。

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「アウトソーシングは生産性上昇をもたらすか」

主任研究員 峰滝 和典

情報サ-ビス産業において効率的なアウトソ-シングが行なわれているか否かについての実証分析はほとんどなされていない点に着目し、アウトソーシングは生産性をもたらすか、技術進歩に対してアウトソーシングがプラスの効果を上げているかについて実証分析を行なった。そして、プロジェクト・マネジャーのノウハウの蓄積が不十分なことが、アウトソ-シングの非効率性をもたらしていると指摘し、発注元・受注先双方のプロジェクト・マネジ-メント能力を高めることが求められると提言した。

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「消費回復の条件を探る」

主任研究員 長島 直樹
上級研究員 新堂 精士

消費性向が下がっている原因を、これまであまり研究例のない供給要因、期待要因の視点から分析をした。供給要因に関しては、新製品や選択的消費分野での消費は、他の分野の代替によって行われるわけでなく、消費全体を押し上げることを指摘し、また期待要因は、特に高所得者が期待インフレに敏感に反応することを立証、税制中立でも「所得税減税と消費税率引き上げ」のポリシーミックスによって消費浮揚が可能であると提言した。

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「資源エネルギー・環境で自立から産業立市町村へ」

主席研究員 田邉 敏憲

「資源エネルギー・環境で自立から産業立市町村へ」というテーマで、3万人・1万世帯地域における年間100億円のエネルギー消費を自給かつ半額化する「自立エネルギークラスター」を創ることを主張した。LNG球形タンクを消費地に持ち込み、LNGタンクコンテナによる輸送で、国際価格並みに低いLNG輸入価格を浸透させ得ることや、バイオマスなど再生可能エネルギーをも組み合わせた熱活用の農園芸用ハウス事業などがトータルな産業振興策となり、これを市町村合併の柱とすることで、特例債など必要資金も確保できると強調した。

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「自治体の『市民協働型』まちづくりとIT活用」

研究員 瀧口 樹良

「自治体の『市民協働型』まちづくりとIT活用」に関し、自治体活動の一環として「まちづくり」に焦点をあてたIT活用のあり方についての基本的な考え方を提言した。まちづくりにITを活用している事例を包括的に分析し、それらがすべて断片的であり、総合的な視点が欠けていると指摘し、まちづくりのプロセスや問題領域の体系化の重要性について指摘した。

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東アジアにおける自由貿易協定(FTA)のあり方

「東アジアにおける自由貿易協定(FTA)のあり方」に関する協同研究を行い、まず金が、1980年代末ごろから活発化したFTAの流れに乗り遅れた東アジアが、不利益を被らないためにも東アジアにおけるFTAが必要であり、日本と中国はそのアンカーとしての役割が求められていると指摘した。

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「中国を中心とする東アジア諸国のアプローチ」

主任研究員 朱 炎

中国はASEAN及び香港とのFTA締結を積極的に推進しており、貿易自由化の早期実施は一部の分野において2003~04年から開始することに着目し、FTAは中国とASEAN、中国と香港の経済関係を大きく促進するのみならず、政治関係の改善と強化にも貢献でき、中国のFTA推進によりアジアにおける中国の経済と政治的影響力が大幅に強化され、アジアの経済統合も促進されると主張した。


「日本企業のアジア展開とFTA」

上級研究員 荒井 崇

日本企業はアジア進出における経営戦略に関し、FTAの締結を求めているとし、締結を目指す目的は、ポジティブには市場の拡大だが、むしろ締結していないことにより不利益を被るというネガティブな影響を回避する目的が強いと指摘した。


「日本のアジア戦略としてのFTA」

主任研究員 金 堅敏

ドイツ、NAFTAのケースを参考に、農業問題・産業空洞化問題は日本のFTA戦略の障害にはならないはずであるとし、FTAがなくてもグローバル化の下で日本農業の衰退や空洞化は免れず、むしろ、FTAで東アジアとの総合依存を高めることにより、日本の比較優位を活かして産業空洞化を回避し、高付加価値分野の雇用増の創出を図るべきであると提言した。


「911後  アジアと日本??グローバリゼーションと地政学の間」

朝日新聞社編集局 特別編集委員
船橋 洋一

ドイツ、NAFTAのケースを参考に、農業問題・産業空洞化問題は日本のFTA戦略の障害にはならないはずであるとし、FTAがなくてもグローバル化の下で日本農業の衰退や空洞化は免れず、むしろ、FTAで東アジアとの総合依存を高めることにより、日本の比較優位を活かして産業空洞化を回避し、高付加価値分野の雇用増の創出を図るべきであると提言した。