第1回 経済研究フォーラム
FRI経済研究所の発足1周年を記念して、1997年4月2日、虎ノ門パストラルにおいてフォーラムを開催した。基本テーマとして「オープン・ネット経済のダイナミズムが未来を拓く」を掲げ、過去1年間の研究の成果を研究員から報告するとともに、東京工業大学教授渡辺利夫氏が「東アジアの経済ネットワーク」、(社)日本経済研究センター理事長香西泰氏が「日本産業の新秩序」と題して特別講演を行った。当日のプログラムと特別講演の要旨は以下に掲載のとおりである。
世界は、ポスト冷戦時代の中で、アジア諸国を中心とする途上国が急速に経済発展を遂げ、日米欧の先進国との間で激しい競争を展開する、いわゆる大競争時代を迎えた。他方では、技術進歩、特に情報技術の革新は、情報ネットワーク化を促進し、これまでのコミュニケーションの空間的・時間的制約を一気に取り除いた。
このような環境の中で、経済活動は新たな時代を迎えることとなった。今回のフォーラムは、基本テーマの下に「アジアの将来」および「日本経済の構造改革」のサブテーマを設け、低迷と閉塞感の強い日本経済を、クローズド・ネット型からオープン・ネット型へと改革することにより、成長へのダイナミズム復活の指針を示そうと意図したものである。主要論点は下記のとおりである。
午前のセッションでは、「アジアの将来」を取り上げた。中国へ返還される香港経済の中長期展望を視野に入れながら、東アジア経済の相互依存関係の深まりが、この地域の成長ダイナミズムに拍車をかけていることを示した。
午後のセッションでは、「日本経済の構造改革」を取り上げた。わが国は、日本型ネットワークを再構築し、高コスト構造を克服しなければならない。特に雇用については、「動く」(流動化)「高める」(自己啓発)「報われる」(能力主義賃金)の言葉で示されるような新しいシステムを導入すべきことを主張した。
企業経営の領域で新しい考え方が示された。競争力の維持には、独占力・寡占力を獲得できるような技術開発が鍵となるが、利益のあるところには常に戦争が生まれ、そうした力を獲得することは容易ではない。そこで、このような厳しい戦争を勝ち抜くために卓越した企業は独自の経営戦略を展開している。オープン・ネット時代に、企業経営のオープン化を実現して成長している中堅企業の事例研究を踏まえて、これを\"5S\"で代表されるフレームワークにまとめ、ネットワーク経営の重要性を強調した。
詳細
「オープン・ネット経済のダイナミズムが未来を拓く」
9時 受付開始
9時15分~9時35分 開会挨拶 副理事長 長瀬 要石
9時35分~12時午前のセッション 「アジアの将来」
9時35分~10時15分 香港返還と経済の行方 主任研究員 朱 炎
10時15分~11時 東アジアの貿易・投資と相互依存経済 研究員 荒井 崇
11時~12時 東アジアの経済ネットワーク 東京工業大学教授 渡辺 利夫氏
12時~13時15分 昼休み
13時15分~18時 午後のセッション 「日本経済の構造改革」
13時15分~13時55分 経済構造の日米比較 主任研究員 栗原 潤
13時55分~14時35分 高コスト構造とその克服への道 主任研究員 米山 秀隆
14時35分~15時15分 新しい雇用システムの展開 研究員 大石 邦弘
15時15分~15時30分 休憩
15時30分~16時10分 競争形態の変化 主任研究員 長澤 竜二
16時10分~16時50分 高度情報化社会の企業経営 研究員 浜屋 敏
16時50分~17時50分 日本産業の新秩序 本経済研究センター理事長 香西 泰氏
17時50分~18時 閉会挨拶 会長 村岡 茂生
*上記報告のうち、朱報告(「香港返還と経済の行方」)と米山報告(「高コスト構造とその克服への道」)の原論文は、『FRI Review』Vol.1 No.1(1997年4月)に掲載されている。また、荒井報告(「東アジアの貿易・投資と相互依存経済」)と浜屋報告(「高度情報化社会の企業経営」)の原論文は、本号に掲載されている。あわせて参照されたい。
