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次世代知的情報アクセスへの期待(2)

2008年9月12日(金曜日)

情報アクセス受難の時代に!?

前稿(次世代知的情報アクセスへの期待(1))で、人類の創出する情報量が、2011年には1ゼッタバイト(10の21乗)にまで達するとの予測があることを述べた。それは、人類の産出・蓄積するデジタル情報が、対象とする情報や、その範囲を日々拡大しながら増大の一途を辿り、また、産出・蓄積した情報自身が相互に連携し、新たな情報を生み出してきている結果に他ならない。

一方、こうした情報量の急激な増大に対し、情報の利用者であり、発信者である私たちも、様々な変化と変容を余儀なくされている。例えば、一億、総インターネット時代とまで言われる今日において、インターネットを利用している時間の内、30%以上の時間を検索に費やしている人の割合は、4割を超える状況になっている。また、75%もの人々が、知りたいことは家族に尋ねるよりも、まずはWEBで調べるという行動様式をとっているとの報告がある中で、実は、複雑な質問の回答を見つけるとなると、答えに行きつけずにいる場合が5割もあるとの調査結果もある。さらに、日本では、85%の人々が、今後、必要な情報を取捨選択することが難しくなるのでは、と危惧しているとのアンケート結果もある。このままでは、私たちは情報を探すことに明け暮れ、探し出した情報の取捨選択さえもままならないという、情報アクセス受難の時代に、否応無しに突入し兼ねない状況に直面することになる。

不可欠かつ重要なパーソナライズド

人間・社会活動のありとあらゆる局面で、急激な膨張と急速な多様化を図る情報の渦、情報の利用者であり、発信者である私たちが、その渦に巻き込まれて溺れないためには、多くの課題を解決しなければならない。前述した検索に費やす時間という点に焦点をあてると、いかに素早く自分の欲しい情報を探し出すことが可能になるか、その方法を実現できるかが重要と言える。検索エンジン自体の機能として、検索時間そのものの高速化を図ることは勿論のことだが、現在の検索エンジンが持ち得ていない様々な機能の充足も必須要件となる。例えば、時間(歴史)的な経緯や経過が分かる検索とその結果の表示や、現状では検索の対象として扱われなかったり、扱われたとしてもその検索結果が表示対象にならなかったりする少数意見の抽出・検出、さらには、検索した情報とそれに関連する情報の相互関係性や連携性の検出や一覧表示、加えて、それらの情報間をインタラクティブにアクセスできる環境など、次世代サーチと呼ばれるこうした機能が少なからず重要になってくる。

また、実際に情報にアクセスする場合を想定してみていただくと合点がいくと思うが、検索する内容が明確な場合はともかく、私たちが情報にアクセスしようとした際に、意外に適切な検索行動を起こすことが難しいケースが少なくない。キーワード検索をする場合に、入力するキーワードをうまく選べないとか、こんな内容だったと思うのだけれど・・・とか、検索対象が不明確なものになればなるほど、適切な検索行動を起こすことができない状況が発生する。曖昧な疑問や質問、不確かなイメージについての情報アクセス方法が可能にならないと、検索に費やす時間を短縮することは難しいと言わざるを得ない。さらに加えるならば、今後は、こうした“曖昧さ”等への対応だけではなく、時間要因や場所要因などの環境要因も含めた、「今だけ」、「ここでだけ」、「私(あなた)だけ」のパーソナライズドされた情報アクセスが実現しないと、やはり膨大な情報の中から求める情報には容易にアクセスできず、結果、検索に費やす時間も短縮することができないということになる。

パーソナライズド技術は、次世代の知的情報アクセスに対する期待の1つの側面でしかないが、情報弱者への対応を図り、デジタルデバイドを解決する手段として、また、全ての人々が、より知的情報活動や知的創造活動に専心する上でも、必要不可欠、かつ、重要な要素なのである。

本稿に密接に関連するものとして映像情報の扱いがあるが、これは次回に述べる。

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佐々木取締役顔写真

佐々木 一人(ささき かずと)
(株)富士通総研 取締役 第一コンサルティング本部 エグゼクティブコンサルタント(主席研究員)
(株)長銀総合研究所を経て、1998年(株)富士通総研入社。2008年4月から現職。
著書に『新産業地図~激変する主要産業の現状と展望~(マルチメディア産業)』(共著;講談社)、『ケータイビジネス2001』(監修著作;ソフトバンク・パブリッシング)、『ブロードバンドビジネス2002』(著作;ソフトバンク・パブリッシング)など。その他、雑誌、新聞等に記事原稿を多数掲載するほか、通信・放送メディア産業、並びに、同関連事業に関する各種調査・研究、コンサルティング、アドバイザー等に従事。