【連載】IT-BCP策定を通じたIT部門の企業内ステータス向上 第2回
~電力会社A社様における取り組み事例~
シニアコンサルタント 矢ノ根 俊之
2009年9月11日(金曜日)
今回は電力会社A社様におけるIT-BCP(*)への取り組みについて紹介します。
A社様は大地震の発生リスクが高いと言われる地域に電力供給を行っているため、兼ねてから全社的なBCP策定が経営課題の一つとなっていました。しかし、縦割り組織を横串で見ながらBCPを策定するのに適した部門が存在しないこともあり、全社BCP策定がなかなか進まない状況にありました。
一方、A社様のシステム企画部では、「被災時も重要な業務を継続するために、自社のITは最適化されているか?」という課題を認識しつつも、全社BCPの策定が進まない状況の中、IT部門としてどのように課題解決を行えばよいか分からずに悩んでいました。
富士通総研では、このようなA社様の課題に対し、「全社BCP策定の中でITへの要件が明確化されるのを待つのではなく、IT部門内で予めシステム重要度を想定し、重要度に応じた事業継続対策の仮説検討を行っておくことで、全社BCPが策定された際の業務部門との要件調整をIT部門主体でスムーズに行える」と提案し、その後、以下の作業を支援し、IT-BCPの策定を行いました。
- IT部門内で「業務の重要度」や「業務のシステムへの依存度」を想定しながら、利用システムの重要度の仮説を検討
- 上記システム重要度に応じた事業継続対策レベルの検討と、対策レベル毎の費用対効果の検討
今回のプロジェクト実施により、A社様はITの事業継続対策のFit & Gapを把握し、最適な対策計画の策定が行えたのはもちろんですが、本プロジェクトの成果はそれだけに止まりません。
我々は、本プロジェクトを通し、IT部門こそが全社業務を横串で見ることができる部門であると考え、プロジェクト結果を経営層に報告する際に、その点についてもアピールしました。その結果、長らく滞っていた全社BCP策定の取りまとめにシステム企画部が選出され、プロジェクトが走り始めたのです。
このように、IT部門にとってのIT-BCP策定は、単なるITの事業継続対策に止まらず、これまで比較的受動的な立場であったIT部門の企業内ステータス向上に向けた活動として積極的に取り組む企業が増えています。
次回は、ある大手製造業様の事例をご紹介したいと思います。
【連載】IT-BCP策定を通じたIT部門の企業内ステータス向上 第1回
【連載】IT-BCP策定を通じたIT部門の企業内ステータス向上 第3回
注釈
* BCP : Business Continuity Plan
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不測の事態においても事業を継続するための事業継続マネジメント(BCM:BusinessContinuityManagement)は、サプライチェーンを含めた取り組みとして、今や企業にとって重要な経営課題の一つとなっています。
