【連載】人材の育成・活用に関する調査研究
第1回 人材の国際化指標作成プロジェクトへの取り組み
マネジングコンサルタント 狩野 史子
2009年5月15日(金曜日)
富士通総研では、官公庁や関連団体で人材の育成・活用に関する調査・研究、政策提言を数多く実施し、高い評価を得てきました。こうした背景には、経済がグローバル化する中で、東アジアやインドなどの新興国の台頭によるグローバル競争が激化していること、急速な少子高齢化が進む中で持続的な成長を維持し、産業競争力を強化するためには、知的資産の源泉となる「人材の育成」を産学官が連携して実施しなければならないという強い危機意識が、国や産業界にありました。
とりわけ近年の人材の育成・活用で注目されているのが、「ダイバーシティ」です。ダイバーシティとは、性別、年齢、人種、国籍、宗教などに関わらず、その違いを認め、それぞれの多様な価値を尊重し、個性と能力をフルに活用できる組織を作ることにより、働きがいのある職場、変化に柔軟に対応できる強い組織を作ろうという考えです。IBMは、「グローバルに統一した企業」への推進に向けて、多様な価値を認め、多様な人材を育成することを、人材戦略の中での重要な課題と位置づけて取り組んでおり、IBMが再生した一因とも言われています。
これからコンサルNEWSの中で数回に分けて、多様な人材の育成・活用に関する調査研究と提言をご紹介していきます。まず、第1回目は、グローバル人材の育成を目指す、人材の国際化指標作成プロジェクトを紹介いたします。
人材の国際化指標作成プロジェクトへの取り組み
- 調査研究の背景・目的
日本企業は、その活路をグローバルな市場に求め、ビジネスのグローバル化を推進しています。しかし、欧米の企業に比べて人材の国際化が遅れ、多様な人材をうまく使えないという課題に直面しています。こうした日本企業の人材の国際化・マネジメントに対する課題への解決策を見出し、日本企業が、グローバル競争の中で真に人材の国際化を図る支援を行うことを目的として、人材国際化を評価する指標モデル作成プロジェクトを実施しました。 - 調査研究の方法
グローバル企業の人事マネジメント(採用、登用、育成、配置・異動、評価・報酬、企業文化等)において、必要な項目を網羅的に洗い出し、欧米の多国籍企業の人事部門の責任者へのインタビュー調査(計18社)により、指標項目の検証、精緻化を行いました。 - 調査研究の成果
企業の人材の国際化の状況を把握する指標モデルを作成しました。現在その指標を使って企業の評価作業が行われています。このプロジェクトの大きな成果は、欧米・韓国の多国籍企業が、世界中から優秀な人材をどのように集め、育成し、グローバルに活用して、競争力の源泉としているかという実態を把握することができた点です。キーポイントは、ダイバーシティの実践、異文化コンピテンシーの育成、そして、英語を公用語にすることで、言語の壁を乗り越え、コミュニケーションを円滑に進めていることでした。日本の企業のグローバル化の推進のために、是非、参考にして活用していただければと思います。
関連サービス
富士通総研の自治体国際化支援コンサルティングは、欧米主要国の法制度やIT関連調査、さまざまなテーマについての国際的な動向調査、特定国の制度や市場調査、開発途上国のインフラ整備事業などのODAや官民連携プロジェクトの案件発掘調査など、コンサルタントが直接現地に出向いて関係機関へのヒアリングなどを行う多くの調査実績があります。
