「計画の見える化+数理計画法」による素早い意思決定の仕組み
上級研究員 茂木 美恵子
2009年2月10日(火曜日)
近年、企業を取り巻く環境は急激に変化しています。例えば為替変動、価格変動といった外部環境の変化により、企業は計画修正が必要かどうか、リアルタイムに判断していかなければなりません。しかし複雑性が増すと、瞬時に意思決定を行うのは容易ではありません。では、どのような場合に複雑性が増すのでしょうか。
- 時間や資源といった制約が多く存在し、それらが複雑なトレードオフ関係にある場合
- SCM(*)計画や全社計画といった大規模な計画を行う場合
- 営業と製造、経営と現場のように、個々の目的が異なり合意形成が必要な場合
そこで求められるのは、損益視点で素早く検討することが可能であり、かつ合意形成が容易に行える意思決定の方法論です。
私たちが提案する方法論は「計画の見える化+数理計画法」であり、共有された素早い意思決定を行える環境を構築するものです。
【SCM分野におけるシミュレーショナル・アプローチ型コンサルティングご紹介】
企業の複雑な問題を損益の視点で解決する手法として数理計画法があります。数理計画法は「モノ」と「人・装置」、「時間」、「金」のトレードオフを一度に定量的に判断します。例えば、限られた経営資源の中で、どの原料、どの装置で、何をいくつ生産すると利益が最大になるか?その時の利益額はいくらか?ということを、最適性の保証を持って高速に算出することが可能です。しかし、数理計画法の最大のデメリットは数式を扱う必要があることです。それは専門家ではないユーザーにとって敷居が高く、また複数の人間の合意形成にも適していません。そこで、数理計画法を被う、「見える化」された表現が必要となります。
この方法論における「見える化」とは、具体的にツールを用いて、計画対象となる「モノの流れ」と「人・装置・工場」、「時間(在庫)の流れ」を生産プロセスフローまたは物流ネットワークで表現することです。ツールはExcelのアドオン機能となっており、シート上に専用メニューを使ってフローを描きます。このフロー(+データ)によってユーザーは数式を一切意識することなく、業務と親和性のある生産プロセスや物流ネットワークによる表現だけで数理計画法を利用することができます。この「見える化」は、計画の立案を容易にするだけでなく、関わる全ての人による意思決定環境の共有を実現します。
経済情勢の不透明さや、環境等の社会問題への対応など、企業の抱える問題はさらに複雑になることが予想されます。今後さらに、素早い意思決定の仕組みは重要になってくるでしょう。
注釈
* SCM : Supply Chain Management
供給連鎖管理。物流システムをある1つの企業の内部に限定することなく、複数の企業間で統合的な物流システムを構築し、経営の成果を高めるためのマネジメントのこと。
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