シニアコンサルタント 志賀 真保子
本シリーズでは、お客様企業(上場企業)の経理部門やIT部門にとって重大かつ喫緊の関心事項であり、また、ITベンダーにとっても会計等のシステム刷新のビジネスチャンスとして注目されている「国際会計基準(IFRS(*))」について、その動向や内容・対応ポイントなどを紹介しています。今回は、その第2回になります(全3回)。
第2回では「国際会計基準(IFRS)」の動向や背景 について紹介致しました。要点を振り返ると下記になります。
今回は、上記(1)~(3)の基準変更の概要を紹介した後に、経理部門の視点に立ち、現在抱えている課題を考察します。
これまでは、海外子会社については現地各国の会計基準で決算書を作成することが認められており、海外子会社分はそのまま親会社の決算書に連結させていましたが、2008年4月からは海外子会社の決算書は、親会社、すなわち日本の会計基準に変更しなければならなくなりました。(特別措置あり)
海外子会社が日本の会計基準で決算書を作成するにあたって、本社に合わせた勘定科目の修正や会計システムの統一化などの動きが出てきました。
リースで借りた資産について、今まではリース期間終了時に所有権を自社に移さなければ資産計上しなくてもよかったのですが、今年度からはリース資産でも資産計上しなければならなくなりました。
機器類等を大量にリースしていた会社(例えば航空業界など)にとっては、管理すべき資産が大幅に増えることになり、資産管理システムの導入・改版が必要になるなどの動きが出てきました。
これまでの棚卸資産の決算時の価格を決める2つの方法=原価法(取得価格)と低価法(取得価格と時価のうち低い価格)のうち、原価法が認められなくなりました。
これによって、企業は時価評価をする必要があり、時価が取得価格を下回っていれば、差額を特別損失として計上しなければなりません。
高額商品を在庫に持つ企業は、その取得原価と時価との差額の損失が財務諸表の損益を大きく揺るがす要素となるため、出来るだけそのリスクを避けるべく、より一層の在庫管理の徹底が求められており、在庫管理システムの導入・改版が必要になるなどの動きが出てきました。
上記はほんの一例ですが、こうした会計基準の変更に合わせて経理部門は、決算時の会計処理方法を変更するだけでなく、会計基準の変更が自社・グループのビジネスにどのようなインパクトを及ぼすのか、それによって自社グループの財務諸表はどのように悪化し得るのか、を正確に見極め、的確な“提言”を経営に行うことが求められています。
特に本社経理部門は、グループ全体の司令塔として海外を含む子会社経理部門のマネジメントを強化し、会計基準の変更がグループ全体へ与える影響度合いを把握することが必要となってきています。
そのためには本社経理部門は上記のような分析などの高付加価値業務へシフトする必要があり、人員増などが望めない状況下では、入力など低付加価値業務のアウトソースやITの導入、複雑な経理業務への助言などのコンサルティングサービスの利用なども考えなければなりません。
上記の国際会計基準の受容に加えて、今年度からは財務報告に係る内部統制の評価(J-SOX法対応)や四半期開示への対応など、経理部門を取り巻く状況はかつて無い程、大きな変化(変革)を迎えようとしています。
また、ITベンダーにとっても、基準変更による処理方法の変更のための会計システムの追加修正だけではなく、上記のような経営視点での経理業務再構築に向けた改革提案によって、大きなビジネスのチャンスともなり得ます。
富士通総研では、こうした課題に対応すべく専門家を揃えており、「そもそも何をどう対応しなければならないのか」といった診断(Fit/Gap)から、グローバルを含めた経理体制(組織・業務・IT)の構築など、お客様の状況に合わせたコンサルティングサービスを提供しています。
もし、上記のような課題を抱えられているお客様がいらっしゃいましたら、是非ご相談下さい。
* IFRS : International Financial Reporting Standards
国際会計基準審議会(IASB)が設定する会計基準のこと。
米国および日本版SOX法対応のお客様支援により培ったノウハウ、また、自社内での日本版SOX法対応実践ノウハウを最大限に活用し、プロジェクト構築・文書化・有効性評価・不備改善などお客様のご要望に応じて内部統制強化をトータルに支援します。