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原油価格高騰と省エネルギー社会

研究員 河野 敏鑑

2008年10 月24日(金曜日)

途上国の経済成長、人口増大に伴って、エネルギーに対する実需は増大することが予想されます。確かに、目先では、金融危機によって流動性が大きく減少し、さらに景気後退を読み込んで、原油をはじめとする商品価格も大きく下落し、ここ1年ほどの原油高は一時的なものに終わる可能性が高いものと思われます。しかし、資源を浪費する形で、持続的な経済成長を達成することは難しく、長期的にはむしろ、原材料価格の高騰に動じない、省エネルギー社会を作り上げることが求められるものと思われます。

仮に現在の産業構造を維持した中で、原油価格が高騰した場合、日本経済に どのような影響を与えるのか、産業連関表を用いて試算し、考察を加えました。

分析の結果、石油製品の値上がりによって、特に、「化学製品」、「運輸」に分類される部門が大きな影響を受けることが分かりました。更に、同じ「化学製品」、「運輸」に分類される部門間でも、受ける影響にかなり違いがあることも分かりました。特に自動車輸送・航空輸送など、石油依存度の高い運輸部門は大きな影響を受けるのに対し、電力を使うことでエネルギー源が多様な鉄道部門はほとんど影響を受けないことが分かりました。

以上より、原油依存度の低い社会を実現するには、

以上より、原油依存度の低い社会を実現するには、

  1. 電気自動車などのエコカーの導入、
  2. LRT(次世代型路面電車)(*)などの公共交通機関の整備、
  3. コンパクトシティ化、
  4. 物流のモーダルシフト

といった対応策が考えられると思います。

ただし、こうした対策を実行するには、個々の企業・個人の取り組みとは別に、社会全体として、インフラ整備のあり方を見直す必要があります。電気自動車などのエコカーは技術的には可能ですが、エネルギーを供給するインフラがなお不十分です。鉄道も一部の幹線では、貨物輸送の能力が限界に達しています。

次の景気循環で力強い成長を導くためには新たな産業構造が求められます。今こそ省エネルギーの社会的な取り組みを新たな経済成長、生活水準向上のエンジンに位置づける時であると考えます。私どもは、関連機関に対して政策提言を発信し、省エネルギー社会に向けた産業構造の更なる進歩に向けた取り組みをしていきます。

注釈

*LRT : Light Rail Transit
低床式車両の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性等の面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システム

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