【連載】来たる「国際会計基準(IFRS)」“全面適用”への対応
第1回 損益計算書から当期純利益がなくなる!?
シニアコンサルタント 志賀 真保子
2008年10 月23日(木曜日)
本シリーズでは、上場企業の経理部門やIT部門にとって重大かつ喫緊の関心事項であり、また、ITベンダーにとっても会計等のシステム刷新のビジネスチャンスとして注目されている「国際会計基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)」について、その動向や内容・対応ポイント等を紹介していきます。
上場企業が貸借対照表や損益計算書等を作成する際の基準(会計基準)を巡る国際的な動きが活発化しています。今年度に入り、新聞でも大きく取り上げられることが増えたので、目にされた方も少なくないと思います。
「国際会計基準(IFRS)」は、現在自国基準を設けている主要国の米国と日本を除き、欧州を中心に既に100ヶ国以上で採用されています。今年に入り米国がついに「国際会計基準(IFRS)」を全面適用(アドプション)する方針を表明したことによって、日本も同じく全面適用の方向へと追随せざるを得ない状況となったのです。
この会計基準の世界的統一の背景には、企業活動が年々国際化している一方で財務諸表は各国で異なる会計基準により作成しているのでは、世界中の投資家が企業の業績を適切に理解・比較できないという問題があったためです。
「国際会計基準(IFRS)」が日本の会計基準と大きく異なる点は「時価評価」の徹底です。その例として、現在、損益計算書にある「当期純利益」は本業の収益力に加え、資産の健全性を加味した「包括利益」に変わります。
「包括利益」は、資産と負債を時価評価して、その損益を当期純利益に加えて算出します。
(包括利益=当期純利益+為替差損益+株式等の含み損益+デリバティブなどの金融商品の再評価損益+不動産の含み損益など)
一部関係者によると「国際会計基準(IFRS)」の全面適用(アドプション)は2014年が有力視されていますが、既に今年度からその第1ステップが始まっています。今年度から日本の会計基準と「国際会計基準(IFRS)」との差異を解消(コンバージェンス)すべく、2011年まで段階的に毎年大きく会計基準が変更になります。
今年は特に
「海外子会社の会計基準の統一」
「新リース会計」
「棚卸資産の低価法適用」
などが、変更のインパクトが大きい項目として上げられています。
また上記に加えて金融商品取引法で規定された内部統制報告書の提出(いわゆるJ-SOX法対応)や決算書の四半期開示制度などが今年から施行されています。来期には「工事進行基準の適用」などがあります。
これらは、単なる会計処理や財務諸表変更の話には留まりません。経営・事業方針や業務・組織の見直しが必要になるなど、会計基準の変更は企業経営に直結するテーマなのです。【詳細は次回以降】
対応の推進主体は企業の経理部門の方々であることが多いのですが、専門化・複雑化した会計基準への対応を経理部門の方々のみで推進することは難しいのが現状です。加えて、今までは助言してくれていた企業“お抱え”の公認会計士(外部監査人)が、独立性の問題によって踏み込んだ助言をすることが出来なくなることも、経理部門の負荷や悩みを深くしており、内部でもなく会計士でもない第三の外部サポートを求めている企業も少なくありません。(お客様で経理部門の方がいらっしゃったら、ぜひ聞いてみて下さい)
富士通総研では、こうした課題に対応すべく専門家を揃えており、「そもそも何をどう対応しなければならないのか」といった診断(Fit/Gap)から、グローバルを含めた経理体制(組織・業務・IT)の構築など、お客様の状況に合わせたコンサルティングサービスを提供しています。
もし、上記のような課題を抱えられているお客様がいらっしゃいましたら、是非ご相談下さい。
次回以降では、各変更項目について、変更内容や対応のポイントを、より具体的にご紹介していきます。
関連サービス
米国および日本版SOX法対応のお客様支援により培ったノウハウ、また、自社内での日本版SOX法対応実践ノウハウを最大限に活用し、プロジェクト構築・文書化・有効性評価・不備改善などお客様のご要望に応じて内部統制強化をトータルに支援します。
