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地域金融機関におけるドキュメント起点業務改革の取り組み

電子取引と税法

シニアコンサルタント 喜多川 学

2008年10 月22日(水曜日)

地域金融機関の営業店では、顧客との取引の証として膨大な書類が発生します。このため、営業店の現場において書類を扱う事務処理の生産性をいかに向上させるかが、重要な経営課題となっています。また、これらの書類には個人情報が記載されていることが多く、さらに日本版SOX法や本人確認法など新たな法令順守の要請を受け、より厳格な文書管理態勢が求められています。

富士通総研では、ドキュメント(書類)を起点としたアプローチによる業務改革のコンサルティングを実施しています。同コンサルティングは、(1)書類保存状況の整理・体系化、(2)リスクとコストによる重要書類の特定という一連の手順で進めていきます。以下に、A信用金庫における営業店の文書管理コンサルティングの事例を通じて、同手順の内容をご紹介いたします。

(1)書類保存状況の整理・体系化

営業店の事務スペース、金庫室、書庫に保存されている書類の棚卸調査を実施し、書類の種類・量を整理・体系化します。また、文書管理の業務マニュアルと現場における書類保存状況との差異を確認し、証憑書類原本の台帳管理が実施されていない、保存年限が到来した書類が廃棄されていない、等の運用上の重要課題を明らかにします。

(2)リスクとコストによる重要書類の特定

書類全体の種類・量を整理・体系化した上で、リスクとコストのそれぞれの観点から書類特性を分析し、評価基準を策定し、重要書類を特定します。

リスクの観点からは、個人情報リスクの高い書類を情報の機微度と本人確定容易度から評価・識別します。また、法的保存義務がある書類、顧客取引証跡として重要な書類を特定します。

コストの観点からは、保存コストと業務コストを算出して重要書類を評価・識別します。保存コストは、文書量と保管スペースから算出し、業務コストは、書類の閲覧頻度と1回の閲覧に関わる検索時間から算出します。

これまでの文書管理に関する業務改善の多くは、業務プロセスを分析して課題を抽出するという業務プロセスを起点としたアプローチで取り組まれてきました。しかし、こうしたアプローチだけでは、抜本的な業務改革に結びつきにくくなる場合があります。何故なら、書類の全体体系把握と業務プロセスが取り扱う情報である「書類」自体の特性分析が欠けた場合、業務改革のターゲットとすべき重要書類が絞り込めず、どこから手をつけてよいか分からず、総花的な分析となりがちとなり、その結果、組織横断的な重要課題を浮き彫りにするのが困難となるためです。

A信用金庫の場合、ドキュメントを起点としたアプローチにより、閲覧頻度が高い預金申込書を重要書類と特定しました。預金申込書の業務コストを分析した結果、全営業店ベースで、年間1億円以上と突出して高いことが判明しました。これは、営業店で顧客から電話問い合わせが多く、その都度、顧客の契約内容を確認するため預金申込書を保管棚から検索・抽出し、顧客に折り返し電話するという非効率な業務運用となっていたためです。A信用金庫ではコンサルティングの結果を受け、業務コストを抜本的に削減するため、預金申込書を電子化した上で、営業店で受け付けていた電話問い合わせを事務センターに集約化するという全社的な業務改革を実施し、着実に効果を上げています。

今回ご紹介したドキュメントを起点とした分析手法は、従来のCOMPAM/BT(*)等の業務分析手法にデータ中心の観点を加えたものとして位置付けられると考えます。今後、本手法の汎用化・標準化を進め、金融機関だけでなく、文書が多い公共やサービス業等の他業態にも横展開を図っていく予定です。

注釈

*1 COMPAM/BT : The FUJITSU CONsulting Knowledge Procedure And Methodology / Business Transformation

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