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流通システム標準化事業における『伝票レス』の取り組み

電子取引と税法

コンサルタント 富永 敬之

2008年10 月21日(火曜日)

現在、流通業界では製(メーカー)・配(卸)・販(小売)三層における業務・システムの全体最適化に向け、『経済産業省流通システム標準化事業』にて標準EDI(*1)流通BMS(*2))の策定に取り組んでいます。本プロジェクトは、流通業界約100社が参画し、企業間のEDIに係わる業務プロセスの標準化、EDIメッセージの標準化を行っており、富士通総研はプライムコントラクターとして流通業界全体の調整や検討の促進を担っています。

流通BMS

本プロジェクトの成果の1つに、『伝票レス』の検討成果が挙げられます。取引や業務処理のシステム利用が当たり前になり、それに合わせて電子帳簿保存法等、新たな処理方式への法制度の対応がなされています。しかし、税法では、取引の証跡である仕入伝票・請求書等は、紙で保存することが規定されており、EDI等の電子取引を行った場合の取り扱いについては明確に示されていませんでした。そのため、各社とも対応に苦慮しており、個別に所轄税務署に問い合わせる等の手続きが必要となっていました。結果、EDI等の電子取引を行っているにもかかわらず、紙媒体での保存や伝票取引を実施している企業も多く、業務の効率化や商取引の迅速化の阻害要因ともなっていました。

こうした現状の解決を図るため、EDIによる商取引に係わる税法(法人税法・ 所得税法、消費税法)の取り扱いについて国税当局へ照会する手続きを行い、国税当局の見解を引き出しました。

国税当局の見解は大きく、以下の2点です。

  • EDI取引は紙で取引を行わない為、取引情報を紙で保存することは、そもそもできない。したがって、条文に示すところの紙による保存が行えない『やむを得ない事情』に該当する。この場合、帳簿にやむを得ない理由及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載すること。
  • ただし、EDI取引においても取引情報をしかるべき方法によって保存しなければならない。すなわち、電子情報として適切な保存をしなければならない。

(参考:国税庁HP http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shohi/200321/01.htm

つまり、EDI取引においては、『やむを得ない事情』の場合に要求される処理を行い、規定の通りに取引情報を適切に保存すれば、当初の目的である『伝票レス』が実現できることになりました。

商取引の電子化、EDI化は今後ますます当たり前のものとして、各業界、様々な場面で利用されていくことが想定されます。その際、単なる業務のシステム化、取引の電子化のみならず、今回のケースのような税法等の法律対応、具体的な処理・保存の方法等でお悩みのユーザーも多くいらっしゃるかと思います。取引情報の具体的な処理・保存方法等については、各種税法や電子帳簿保存法等に則した業務の見直しが求められますので、ご不明な点等ございましたら是非、お気軽にご相談下さい。

また、業界全体で業務改革を推進していく際には、業界全体の課題を集約し、国などの関係機関に働きかける発言力や業界へのチャネル構築力、提案の影響力等が求められます。富士通総研には多数の実績がありますので、この点に関するお問い合わせについてもお待ちいたしております。

注釈

*1 EDI : Electronic Data Interchange

*2 BMS : Business Message Standards

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