サービスにおける変異性への対応
上席主任研究員 長島 直樹
2008年10 月16日(木曜日)
製造業でもサービスでの差別化を重視する企業が増えています。サービスは形が見えず、生産と消費が同時に起こるという特徴を持つため、企業が想定したサービスの流れから逸脱してしまうことがしばしば生じます。「良いサービス」は、こうした“変異性”をうまくコントロールしているサービスであるということができます。
変異性をコントロールする方法の1つに“サービス・ブループリント”と呼ばれる手法があります。企業側からコントロールすると言うと、とかく企業の考えるサービス・プロセスや提供システムを想像するかもしれません。しかし、サービス・ブループリントは、あくまでも利用者が考える顧客接点の連鎖として描かれます。この点では、徹底的に顧客視点に立ち、顧客経験を辿っていくことになります。各ステップで、顧客にとって何が問題になるのか、そしてエンカウンターの背後では何が起こっているのか、またITなどのシステムはどのように関連して動いているかを表現します。
このブループリントに基づいて、どの部分でどんな変異・逸脱が生じやすいのか、そのときの対応は、緊急時はどうするのか――といった具体策を検討することが可能になります。また、ブループリントの作成によって、逸脱についての知識と意識を提供メンバー全員で共有することは大きな意味を持っていると言えるでしょう。
例えば、コンサルティング・サービスでは、中間報告前ぐらいの段階で変異を認識するコンサルタントが多く、その原因として、「当初計画の曖昧性」、「顧客の関心変化」を指摘する割合が大きくなっています。計画が曖昧に過ぎたと反省するコンサルタントもいますし、仕事の性格上、曖昧なのは当たり前という考え方もあり得ます。顧客の関心変化については、顧客側で多くの部門が絡むとき、部門間の意思統一が取れておらず、方向感が定まらないという意見が散見されます。こうしたときは、説得だけではなく、トップアプローチが必要という指摘も頷けます。
このことは、顧客の言うことを聞くだけがサービス提供の成功につながるわけではないことを示しています。トラブルの原因が顧客側にあることも多いものです。こうしたとき、トップ自らが現場に出て、顧客の経営層と話すことは有効な解決策となり得るわけです。
関連サービス
コンサルティング活動を支える専門性の高いノウハウは情報収集力・論理的思考力が源泉です。社会・産業全般を対象に国内外などの地域を限定しない幅広い調査・分析を行います。
