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総合防災情報システム整備計画策定業務委託

コンサルタント 湯川 喬介

2008年10 月27日(月曜日)

はじめに

A市では、平成17年度に策定した情報化基本計画の中で防災分野におけるIT の活用をうたい、平成18年度に地域防災計画を策定する等、ITを利活用した安全・安心な地域づくりに注力しています。そこで、本業務では、庁内の防災関連業務を整理し、本市における総合防災情報システム整備計画を取り纏めました。ポイントを以降に示します。

本市の背景

より具体的な総合防災情報システム整備計画を策定するにあたり検討が必要となった項目を以下に示します。

  1. 平成17年2月に市町村合併しており、庁舎は分庁式となっている。
  2. 当地域において近年大きな災害が発生しておらず、職員の防災意識が低い。
  3. 本システムの検討と並行して、防災行政無線デジタル化の検討が進められており、それを考慮する必要がある。

整備計画の全体的な基本方針を策定する上で、上述の背景を考慮しました。特に3.の結果については、本市として注視すべき業務の抽出の際に用いました。

災害発生時の課題点の抽出

災害発生時における業務の課題点を抽出することを目的として、「SWOT分析」(*1)「親和法」を用いて、職制毎(部長職・課長職・担当職)にブレインストーミングを行いました。主な結果は以下の通りです。

  • 部長職・課長職は、「システム強化」「人材育成」といった内容を課題として認識しており、担当職は「マニュアル整備」「防災エキスパートの育成」といった実務に直結した具体的な内容を課題として認識していました。
  • 部長職・課長職・担当職共に、防災分野については、市・地域住民・関連機関が協力し、地域全体で取り組むことが必要であると認識していました。

防災関連業務と情報の流れ

本市において、担当課毎に「災害時職員対応マニュアル」を取り纏めており、本調査では、それを用いてDMM(機能構成図)(*2)を作成し、防災業務を階層別に整理しました。なお、「災害時職員対応マニュアル」だけでは情報量が少なく、暗黙知となっている部分も多くあったため、情報を補うことを目的として、各課に対してインタビュー調査を行いました。このことにより、各担当課個別に取り纏めていた防災業務を庁内全体で紐付けすることができ、全体を俯瞰的に捉えることが可能となりました。以下に、整理結果を示します。なお、紙面の都合上、「1.災害対策本部設置運営」のみ、2階層まで提示します。

  1. 災害対策本部設置運営
    1-1庁舎安全確認 1-2災害対策本部設置 1-3職員安否・参集
    1-4職員配置 1-5通信設備・通信手段確保 1-6外部機関連携
  2. 情報収集・情報伝達・広報
  3. 救命・救助活動
  4. 避難・要援護者保護
  5. ライフライン復旧活動・廃棄物処理
  6. 自治体連携・ボランティア受入
  7. 市民生活支援
  8. 災害予防・国民保護(本市では防災業務としては取り扱っていない)

防災関連業務の整理結果を踏まえ、各業務間で流通する情報についてDFD(機能情報関連図)(*3)を用いて整理し、本市として注視すべき業務となるメインルートを抽出しました。「本市の背景」にも記載した通り、防災行政無線デジタル化を進めており、それを活用するための業務を抽出することに視点を置きました。

防災行政無線を用いて市民に対して情報発信する内容は、主に、メインルートとなっている業務を中心に流通していると解釈でき、システム的な観点からは、それら業務について注力すべきであると提言しました。抽出したメインルートは以下の通りです。

1-2災害対策本部設置⇒1-3職員安否・参集⇒2-1被害情報収集・伝達⇒2-2被害情報集計⇒2-4市民広報⇒「防災行政無線」

過去の災害事例からも発災直後より72時間までが人命救助の期限と言われる等、防災関連業務では時系列的な観点は重要です。そのため、本業務内においても、業務及び情報の時系列的な移り変わりについて整理しました。「1.災害対策本部設置運営」から「6.自治体連携・ボランティア受入」の業務が発災から72時間までに着手・遂行され、それ以降は比較的業務が安定していることが分かりました。

整備計画

上記調査・分析(「災害発生時の課題点の抽出」「防災関連業務と情報の流れ」を踏まえると共に、本市の予算も鑑みて、5年後を目標とした段階的な整備方針を立てました。各段階における目標を「庁内業務の効率化」と「情報公開充実」という2つに視点を置いた上で、整備範囲・整備システムを洗い出し、あるべき整備手順について提言しました。

おわりに

一般的に、自治体における災害時業務はマニュアル等で纏められているものの、庁内横断的に整合が取られておらず、暗黙知となっている部分が多い状況と言えます。本業務では、それら部分についてインタビュー等で情報を補いながら可視化し、各業務間の関係性を明らかにしました。このような状況におかれている自治体は多く、今後も同様の業務が多く発生することが考えられ、その際に、本業務で得られたノウハウ等を活用することが可能であると考えられます。

今後は、平常時と災害時の業務の切替え・引き継ぎ、リソースの配分といった業務継続性の観点からのコンサルティングも多く求められていくと考えます。

注釈

*1 SWOT分析 : 組織のビジョンや戦略を立案する際に利用する現状分析手法。
強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の全体的な評価

*2 DMM : Diamond Mandala Matrix

*3 DFD : Data Flow Diagram

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