商品の寿命と価格戦略
上級研究員 齊藤有希子
2008年9月4日(木曜日)
商品の寿命は企業の業績に深く関係し、企業戦略を考える上で非常に重要な問題です。例えば、PCの短寿命化は、富士通をはじめとするPCメーカーの業績悪化につながる一方、自動車などの長寿命商品のメーカーの業績は良いと言われています。また最近では、商品の短寿命化は多くの商品分類で共通して見られる性質であるとも言われています。それでは、商品寿命を決定する要因は何なのでしょうか。
本研究では、日本経済新聞デジタルメディア社の蓄積するスキャナーデータ(*)を用いて分析しました。 対象となる製品は食料品・日用品です。マーケティング分野では、個別商品に特化した研究をしますが、本研究では、商品分類を横断的に扱うことにより、商品分類による違いや共通する性質(例えば、程度の違いはありますが、短寿命化は多くの商品分類で観測されること、米国に比べて、商品の入れ替わりが激しいことなど)を捉えることが出来ます。そして、商品の価格設定と商品寿命の間には、以下のような傾向があることが確認されました。
商品寿命の長短は、販売開始後1ヶ月程度の初期段階において、既に価格設定の違いとして現れています。商品寿命が長い商品ほど、初期段階の価格改定の頻度が高く、改定時には、価格上昇傾向にあることが確認されました。長寿命の商品では、柔軟な価格改定が行われていると考えられます。また、このような商品寿命の違いは、医療関連品・雑貨、ステーショナリー、酒類などの商品分類で、大きいことも確認されました。
これらのことから、商品寿命を長期化するために、初期段階での価格戦略が重要であると考えられます。商品分類による違いを認識したうえで、メーカーや小売企業は、商品戦略に活かすことが可能であり、さらに、富士通総研においては、メーカーや小売企業へのコンサルティングに活かすことが出来ると考えられます。
注釈
* スキャナーデータ : スーパーのレジで記録される日次の価格データ
(期間1988-2005年、店舗数273、商品数約20万)
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