オフショアリングの成功に向けて
主席研究員 金堅敏
2008年7月14日(月曜日)
オフショアリング活動が世界中で拡大しています。当初は、自国の市場ニーズを満たすために自国内で行われた業務を海外で実施することによって、コスト削減や組織改革が目指されました。生産のグローバル化に続き、市場のグローバル化が進み、オフショアリング活動もある特定の市場のためからグローバル市場に向けて行われるようになりました。「優れたソリューションを、適した地域で調達し、かつ適した地域から顧客に届ける」といったビジネスモデルは、既に一部の欧米企業主導で確立さています。
日本企業は、1980年代後半からコスト削減の目的で主にソフト開発の分野で欧米企業に後れることなくオフショアリング活動を展開してきました。しかし、オフショアリング活動の深化(規模の拡大)、多様化(オフショアの対象の情報システムから総務、人事など企業サービス機能等への広がり)、そしてプロフィット化(オフショアリングのリソースを活かした収益活動化)は、あまり見られませんでした。現場主導で経営目標達成の一戦術としてしか認識されていなかった日本企業のオフショアリング活動は自ずと限界があるように思われます。
将来に向けての労働力不足や国内市場の拡大が見込めない状況の中で、グローバルな視野でオフショアリング戦略を練り直す必要に迫られています。まず、オフショアリングを現場主導ではなく、経営戦略に組み込む必要があります。現場の事情を無視してはいけませんが、担当者任せではオフショアリングは進みません。次に、自社拠点によるインハウスオフショアリングであれ、他社へのオフショアリングであれ、本社と現地拠点との間は、あくまで「サービス」を基にした取引関係にあるべきです。サービスの品質、コスト・パフォーマンスは担当者の「人的」判断ではなく、契約によって決められます。取引という緊張関係の中で「サービス機能」を「サービス事業」へと転換させていきます。さらに、富士通のようなソリューションサービスベンダーには、オフショア拠点をコストセンターからプロフィットセンターへ転身させるという中長期的な戦略も要求されます。そのためには、オフショアリング活動の多様化、そして自社オフショアリング拠点や活動をショーケースにするプロセスも欠かせません。
このような戦略活動の積み重ねにより、「優れたソリューションを、適した地域で調達し、かつ適した地域から顧客に届ける」ビジネスが実現されます。
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