コーポレート・ガバナンス情報へのXBRL適用について
コンサルタント 大野文夫
2008年7月14日(月曜日)
コーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、経営者が正しい経営を行っているか、株主の利益に反することを行っていないかをチェック・監視することです。近年、企業経営者による不祥事が続発し市場の信頼性を根底から揺るがす恐れがあることから、コーポレート・ガバナンスの重要性が高まっています。企業のみならず市場全体にとって、経営の透明性を高め投資者への説明責任を果たすことが重要な課題となっています。
我が国においては、2003年4月の商法改正に伴い、「委員会設置会社」を選択できるようになりました。委員会設置会社とは、執行役が業務の執行を行ない、経営の監視機能として各種委員会(*1)を設置する形態で、経営者に意思決定権が集中することを阻止し、かつ迅速な経営判断を可能にするといわれています。
ただし、今のところ、従来からの「監査役制度」を利用している会社が大半です。コーポレート・ガバナンス制度についての議論は世界各国で現在も続けられています。
東京市場の自主規制機関である東京証券取引所は、2006年3月に上場会社に対しコーポレート・ガバナンス報告書の提出を義務付けました。更に、2008年7月からは、決算短信サマリーに加えて、コーポレート・ガバナンス報告書へのXBRL(*2)の適用が開始される予定です(*3)。
コーポレート・ガバナンス報告書にXBRLが適用されることにより、投資者は、企業の「コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方」、「経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織」、「内部統制システムに関する基本的な考え方」などを適時に正確かつ網羅的に取得できるようになります。現状は、PDFフォーマットにて開示されているため情報の再利用が難しく他社比較や統計をとることが困難ですが、XBRLを適用することにより、投資者がコーポレート・ガバナンス情報の加工・比較・分析を容易に行うことができるようになります。
つまり、企業の財務情報、さらには取締役人数に対する社外取締役の比率の推移などの定量的情報、買収防衛策の具体的内容などの定性的情報についても容易に比較・分析することができるようになるわけです。また、提出者側の企業にとっても、コーポレート・ガバナンス情報をより適切に開示することによって、企業価値を向上させることができるようになります。
富士通総研は、多くのXBRL適用支援プロジェクトを通じて、資本市場の透明性向上と投資者の利便性向上に貢献しています。東京証券取引所様のプロジェクトでは、財務情報を中心とした決算短信サマリーに合わせ上記のコーポレート・ガバナンス情報、つまり定性的情報の業務に最適化されたタクソノミ(*4)の開発を担当しました。
企業情報のXBRL適用については、国際的に議論のフェーズから実業務への適用のフェーズに移行しつつあります。富士通総研は、世界的にもXBRL適用先進国である我が国での経験と、多くの海外プロジェクトでの経験をもとに、XBRL適用に関する国際的ベストプラクティス作成にも携わっています。今後もXBRLの開発・利用に関する世界の最新動向を踏まえたXBRL適用の継続的な提案・実施を通じて、市場のさらなる透明性・信頼性の向上、市場参加者である全てのお客様の企業価値向上に寄与したいと考えています。
注釈
*1 各種委員会:指名委員会、監査委員会及び報酬委員会の3委員会のこと
*2 XBRL:eXtensible Business Reporting Language
*3 東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)により適用開始される
*4 タクソノミ:ビジネス報告で使用される科目・項目をXBRL形式にて定義した語彙辞書
関連サービス
規制監督当局から要請される規制のフレームワークに基づいて具体的なマネジメント・システムを構築するための業務要件の摘出、モデル構築の支援、マネジメント基盤の整備および管理会計制度の設計支援まで、体系的なコンサルティングをご提供します。
【富士通のXBRLソリューション Interstage XWand】
