富士通総研

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. コンサルティングNEWS >
  4. 2008年6月 >
  5. 【連載】内閣官房「ITによる改革の達成度に関する調査」の概要 第2回

【連載】内閣官房「ITによる改革の達成度に関する調査」の概要

第2回 電子政府分野の調査

シニアマネジングコンサルタント 中山雅彦

2008年6月20日(金曜日)

本稿では、今回の「ITによる改革の達成度に関する調査」のテーマの一つである「電子政府分野」における調査の内容や調査結果について述べます。今回の調査では、利用者の期待度や満足度などの実感指標から課題の抽出や解決策の検討を行うことに特徴があります。

今回の調査は、IT新改革戦略評価専門調査会(以下、調査会)の配下に位置する「電子政府評価委員会」に参加して行ったものです。現状のITによる改革の達成度を把握すること、平成18年度の調査結果から抽出された論点、課題の解決状況を確認すること、さらに調査結果から解決策を抽出することが目的です。

調査は、各省庁に対するオンライン手続き(個別手続き)と、団塊世代の退職手続きや企業の年末調整等の一連の手続き(ライフイベント手続き)の2パターンに分けて実施しました。個別手続きは、前年度の調査からの継続性を考慮し、かつ利用面で特徴的(利用が低迷している、利用が伸びている等)な手続きである「不動産登記、商業・法人登記関係」「国税関係」「自動車関係」「社会保険・労働保険関係」を対象としました。

アンケート調査を依頼する利用者は、個人、企業に加え、より有効な回答を得るために実際に手続きを日々おこなっている士業(司法書士、税理士、社会保険労務士)を選定しました。一方、ライフイベント手続きは退職経験のある個人、退職事務の専門家である企業の人事総務部門の方を調査対象としました。

個別手続きの調査結果からは、以下のようなことが分かりました。

・今回の対象とした手続きは、総じて、オンライン手続きの認知度は高い結果 (64.4%~99.5%)となりましたが、その利用率が最も多い税理士を対象と した国税申告(e-Tax)で65.2%に止まりました。オンラインを利用しない理 由として、オンライン申請環境の設定が困難、設定方法の記載が分かりにく い、電子証明書の取得が煩わしい等の意見が多数挙がりました。

・オンライン利用前の期待度と利用後の満足度については、すべての手続きに おいて満足度が期待度を下回る結果となりました。これは、オンライン申請 をしても添付書類を郵送しなければならない、またはスキャナで電子化して 添付することが手間である、といった意見が大半でした。

・士業が代理申請する際に、代理認証をする方法が複雑であるため紙の申請の方が簡単である、という意見もありました。

・オンライン促進のためのインセティブ施策(国税申告における5000円の税額 控除等)については、認知度は高く効果的であるという結果が出ました。し かし、上述の阻害要因を上回る効果があるとは言えない状況です。

また、ライフイベント手続きの結果は以下のとおりです。

・個人の退職手続きにおいては、企業、自治体、職業安定所等の複数箇所へ申 請を行う必要があり、一度の手続きですべての申請を完了したい、という意 見が大半となりました。

・企業の年末調整手続きについても、所得税(国税)は税務署、住民税(地方 税)は従業員の居住地へ申告するという複数箇所への申請が煩わしいという ことが明確になりました。

・ライフイベント手続きに対して個人、企業共に、一度もしくは一カ所での申 請ですべてを完結するワンストップサービスを実現してほしいという要望が 多数あがりました。

これらの調査結果は各省庁へ報告され、オンライン申請方法の改善に向けて施策が講じられる予定です。

現在、内閣官房IT担当室では、「次世代電子行政プロジェクトチーム」を立ち上げ、オンライン申請の普及促進に向けた引越や退職のワンストップサービス実証実験(平成21年度実施予定)に向けて仕様の検討を行っています。また、総務省では「地域情報プラットフォーム推進事業」を主導しており、こちらもワンストップで地域課題の解決と活性化を目指しています。富士通総研では、今回の調査事業、次世代電子行政プロジェクトチーム、地域情報プラットフォーム事業に参画した実績を活かして、関係省庁や地方公共団体へ、オンライン申請への改善提案や効果的なワンストップサービスのあり方などを提案すると共に、富士通グループと情報を共有し、電子行政・手続きの電子化ビジネス推進に大いに寄与していきたいと考えます。

・第1回 調査実施の経緯と目的

・第3回 医療分野の調査

・第4回 テレワーク分野の調査の状況

・第5回 教育・人材分野の状況

・第6回 電子私書箱

関連サービス

【 公共】

少子高齢化対策や地域活性化など行政に対する住民の期待が高まる中、行政経営の健全化、効率化、透明化が求められています。民間手法導入や行政サービスの民営化など新たな発想・手法が求められています。