食品専門商社基幹システム再構築企画コンサルティング事例
マネジングコンサルタント 安室洋明
2008年4月15日(火曜日)
食品原料、加工食品を取り扱っている食品専門商社A社では、基幹システムの再構築に際して、「現行システム導入から長期間経過しビジネス環境も変化しているため、手作業による事務処理が定常化しており、現場事務員の負担が増している」「トップの思いはERP(*1)を導入することで、業務の標準化及び業務効率の向上を期待しているが、情報システム部門では今の業務にどこまで適用できるのか不安視している」「システム再構築の取組みを推進する上での社内要員が不足している」といった課題を抱えていました。
そこで、富士通総研では次期システムへの要求を明確化することを目的とした、要求機能定義コンサルティングを提供しました。
以下にポイントを示します。
(1) 情報化の目的/方針の明確化 (トップダウン)
企業の経営課題、事業の方向性、その際に各部門に何を期待するのか、次期システムへの要望等を経営トップ、部門長へのインタビューを通じて明らかにし、「次期システムビジョン」として整理しました。
(2) 現状業務課題認識 (ボトムアップ)
現状業務の流れ、現場の問題意識を現場担当者へのインタビューを通じて抽出しました。その際に、トップの思いである次期システムビジョンの内容、次期システムで実現可能なことを伝え、トップの思いを実現するのに無理がないか、現場での確認を並行して行いました。
(3) システム要求機能定義 (トップとボトムの融合)
(1)と(2)の結果を基に、経営/業務の観点から、次期システムに要求する機能を検討していきました。その際に重要なことは、トップ要求とボトム要求のバランスです。現場要求を優先してしまうと、単に個々の現行業務を改善する仕組みとなってしまい、トップの要求に応えられなくなる恐れがあります。
今回のプロジェクトにおいても、トップの要求事項として、取引管理の精度向上と予実管理の迅速化がありました。これらを実現するには、契約情報、予算情報がシステム内に登録され、取引発生毎に契約条件通りの取引データとなっているかチェックし、実績の差異を逐次分析できる仕組みが必要となります。
そのためには取引発生都度、システムへの計上入力が必要ですが、従来の運用では、システムへの仕入・売上計上といった入力処理は締め日直前にまとめて行うことが通常でした。都度入力に切り替えると、現場負荷が増加することも考えられます。新システムを導入することで、今まで実績管理を行う際に現行システムから転記し、管理資料を作成していた作業が自動化される等、メリットも訴求し、現場の理解を進めていくことが必要となります。
(4) 要求定義フェーズの進め方、成果物、留意点を共有
決められた期間内に要求定義フェーズをスムーズに進め、開発フェーズへの必要十分なアウトプットが整備できるよう、各会議体の進め方、成果物、及び作業上のポイント等を事務局と共有しながら進め、お客様の要員不足を支える働きを行いました。
今回のコンサルティングにより、お客様の情報システム部門へのサポートも行いながら、次期システムに対する要求機能を明確化したことで、お客様からも高評価を頂き、次工程である開発フェーズにおけるPM(*2)支援コンサルティングの要請も頂きました。今後は引き続きPM支援の他、内部統制対応等、派生するテーマの対応を行う予定です。
注釈
(*1)ERP : Enterprise Resource Planning
(*2)PM : Project Management
