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景気のスローダウンと日本経済縮小の懸念

2008年1月21日(月曜日)

2008年になって景気のスローダウンの兆候が明白になってきた。サブプライム問題の影響でアメリカ経済がスローダウンしていることの影響、石油価格上昇の影響などの外的な要因に加えて、ねじれ国会の下で経済政策の法律策定が停滞し、また、建築基準法の改正が建築の着工を大きく削減させ、貸金業法の改正がノンバンクの活動を縮小させるなど、日本国内の政治不況ならびに政策不況ともいえる現象が重なったことの影響が大きい。

日本経済は、これまで6年という空前の長期間に亘って景気回復を続けてきた。このコラムでも以前述べたように、その要因は、企業の改革と革新、政府による経済構造改革、投資を促進した低金利、輸出を促進した円の低為替レート、世界経済の成長などであるが、ここにきてアメリカ経済をはじめとする外的要因が反転し、また、国内の構造改革が停滞し、景気拡大を支えてきたいくつかの要因が逆転したことが背景にある。

過去6年に亘る長期景気回復は、それ以前のバブル崩壊と深刻なデフレを脱却した成果であり、日本経済にとっては大きなアチーブメントであった。しかし、世界全体の動きの中ではその成長は極めて緩やかであったため、長期的に見ると、日本経済は最近20年間に世界経済の中での比重が14%から9%に縮小し、一人当たり実質国民所得も世界のトップから18位にまで低下した。このように日本経済の世界における縮小傾向は明白となっている。

日本経済が長期的に縮小することは、その根底に人口縮小という大きなメガトレンドがある以上仕方のないことではあるが、その縮小を加速していると思われるさまざまな動きの中には、看過できない深刻な問題が含まれているように思われる。それは一言で言えば、人々の目標と気概の喪失である。世界経済の活力源は、かつてのアメリカ、ヨーロッパ、日本などの先進地域からBRICsなどと言われるブラジル、ロシア、インド、中国、あるいはアジアなどの新興国群に移りつつある。これらの国々の人々、とりわけ若者たちは、経済成長と生活水準の向上を熱望し、未来に向けて強い熱意と野心を持っている。日本のように、一度は世界最高水準の所得を達成し成熟化しつつある国の国民が、そうした成長への飽くなき願望や生活水準の向上への憧れを持たなくなったとしても不思議ではない。

しかし、高齢化し成熟化し縮小しつつある国でも、多くの経験を蓄積した先進国の国民として自分自身を鼓舞する目標は十分持ちうることである。現在の日本で懸念されるのは、これからの未来に対しての国民が共有できるそうした目標が見当たらないことである。

日本の生産現場は、かつて世界で最も責任感の強い勤労者たちによって支えられてきたが、最近の相次ぐ現場の事故はそれを疑わせる。かつて日本人の留学生は強い向学心を持って世界で活躍したが、最近の若者たちはそうした熱意と興味を失っているように見える。日本の警察はかつて世界で最も高い検挙率を誇ったが、今や日本の社会は昔ほど安全ではなくなった。

そして何よりも落胆させられるのは、政治の衰えである。民主主義の選挙の結果、国会がねじれ現象に陥ることは世界各国の経験の中でも珍しくない。残念なことは、ねじれ現象の中で、与野党ともに国民のため、そして国益のために有効な政策を協力して実現しようという誠意と熱意が見られないことである。経済の縮小が問題なのではない。縮小する経済の中でも、各界の人々、そしてとりわけリーダーたる政治家が、確かな気概を持ってその本分を全うすることを忘れているとすれば、それこそが国家の真の危機であり、国家の衰退と言わねばならない。