ふるさと納税研究会の答申
2007年10月9日(水曜日)
ふるさと納税についてはこの欄でこれまで何回か書いたが、この10月5日にふるさと納税研究会は最後の会合を開き、答申を取りまとめ、増田寛也総務大臣に提出した。
答申の骨子は、「ふるさと納税」は国民にふるさとの大切さを考える機会を提供し、ふるさと納税を受けたいと思う地方自治体の情報開示や行政の改革などの進化を促す効果も期待されるが、とりわけ、納税者が自分の意志に基づいて納税先を選択できるという税制上画期的な意義を持つものであることを強調し、具体的には以下のような内容でふるさと納税の趣旨を実現することを提案した。
地方住民税における地方自治体への寄付控除の条件を大幅に緩和し、納税者が寄付の形でふるさとと考える地域に地方税の1割を限度として納入し、その額を税額控除する。ただし、税額控除を受けられるのは、5千円以上の寄付に限るというものである。
この最終提言は、いくつかの重要な意味がある。
(1) 寄付税制を使うことにしたのは、現在の居住地でない自治体に納税することは、地方税の受益者負担原則や課税権などの観点から理論的に無理がある。寄付税制を活用すれば、理論的、制度的難点を回避できるだけでなく、実質的には同じ効果を持ち、しかもわかりやすく使いやすいからである。
(2) ふるさとは、納税者本人がふるさとと考えるところでよいこととした。ふるさとは、生まれあるいは育った土地というのが狭義の考え方だが、ふるさとの大切さを思うという国民の心は、生まれ育った地域に限らず将来住んでみたいところ、自然を守り努力をしているところなど、より広い観点で理解したほうがよいと考えたこと、また、育った地域を何年もたって証明することは技術的にもかなり困難であることなどの理由である。
(3) 「ふるさと納税」の税額控除を受けられる限度を納税者の地方住民税の1割としたこと。これは現在の居住地において、ふるさとに寄付をする人としない人との不公平を最小にするため、また、現在の居住地からふるさとへの税の移転を過大にしないためであり、このことによって自治体間の利害の対立を大きくせずに寄付を受ける「ふるさと自治体」の要望もある程度満たすためである。
(4) 税額控除を受けられる寄付の下限を5千円としたこと。5千円の下限があることで、小額のふるさと納税(寄付)者にとっては、実際の税控除率は低くなるが、あまりに小額の寄付に対して税額控除を行うことは事務経費負担が過大となり、また、税源移転を穴埋めする地方交付税の措置を乱用する危険もあるなどの理由で最下限を定めた。
以上のようなさまざまな配慮を踏まえ、「ふるさと納税」制度の提言が行われた。提言内容は、多くの関係者から比較的好意的に受け止められたが、これから政府税制調査会や与野党との調整を通して、できれば来年度の税制に盛り込まれることが期待されている。
私は、ふるさと納税研究会の座長として、これまで約4ヶ月間集中的な作業に参加し、議論の流れを取りまとめてきたが、これは私の長い政策関与の経験の中でも大変意義深いユニークな経験であったと言える。この画期的な意義を有する提言が、日本の税制の進化に貢献することを期待したい。
