ふるさと納税研究会フォローアップ
2007年8月7日(火曜日)
このコラムで「ふるさと納税」については、その趣旨や研究会の検討状況について既に2回ほどコメントを書いたが、最近ふるさと納税制度の具体化について私が座長をしている研究会で、ある程度明確な方向性を打ち出したので、その形や理由について紹介しておきたいと思う。
7月31日と8月7日の研究会で、ふるさと納税制度の中味について一定の方向性を打ち出し、また、具体的な課題について検討を行った。方向性としては、大きく分けて、ふるさと納税を通常の税として行うのか、あるいは寄付税制として行うのかが大きな選択肢であるが、私たちの研究会では、寄付税制として行う方向を打ち出した。
通常の税として設計しようとすると、理論的にも実施上もかなりな困難があるのに対して、寄付税制として実施すれば、理論的にも現実的にも問題は少なく、国民にとって使いやすい制度が構築できる可能性があるからである。
税としてふるさと納税制度を構築するためには、地方税の大原則である「応益原則」もしくは、「受益者負担」原則についてこれまでにない拡大解釈が必要になる。なぜなら、現在、自治体等のサービスを受けていない地域に納税することを正当化しなくてはならないからである。また、徴税当局の課税権を、公共サービスを提供していない人々に対して認めることができるかという問題もある。さらに、同じ公共サービスを受けているのに、ふるさと納税をする人としない人との間で納税額に違いが出るという不公平問題もある。また、実施体制上も、多くの地域間で最終的な徴税額や税収を算定するのに膨大な事務コストがかかるといった問題もある。
これに対して、寄付税制であれば、ふるさとに寄付をする行為を税制上で受け止めることになるが、そうした制度は既に国税でも地方税でも存在しており、その範囲を拡大する、あるいは現行の所得控除だけでなく税額控除を取り入れるといった現状の制度の拡大もしくは発展で、ふるさと納税の趣旨を実現できるというメリットがあり、研究会としてはわかりやすく使いやすく現実性があるという観点から、寄付税制としてふるさと納税を位置づけるという方向性を採択したのである。
寄付税制として実施する場合、研究会では現状の所得控除ではなく、納税者にとってメリットが大きくかつわかりやすい税額控除にすべきだという意見が多数を占めた。
その方向で税制を構築するとしても、現実に使いやすい制度にするためにはさらにいくつかの課題を克服しなくてはならない。例えば、ふるさと納税希望者には全員、確定申告を義務付けることができるという問題がある。多くの給与所得者は、勤め先の企業が源泉徴収の処理をしており確定申告をしていないが、全員に確定申告を義務付けられない場合には、ふるさと納税という地方税の処理を企業に負担させることができるか、など現実的に大きな課題がいくつも残されている。
研究会はそれらの問題をよく整理し、わかりやすく使いやすい税制構築のための選択肢を9月上旬までにまとめる方向で作業を続けていくことにしている。
