参議院選挙の結果について
2007年7月31日(火曜日)
7月29日に行われた参議院選挙の結果は、自民党(37議席)ならびに公明党(9議席)、与党側の大敗、民主党(60議席)の大躍進という結果になった。今回の選挙の結果、参議院の議席は与党側が105議席、野党側が137議席となり、与党が過半数を割り、野党が議会の主導権を取ることになった。この結果、衆議院では、与党側が圧倒的多数を保持しているものの、参議院では野党側が過半数を占めているため、国会運営は極めて複雑な難しさを抱えることになる。法案が衆議院で可決されても、参議院で否決されれば成立しえず、衆議院に差し戻して可決するには時間がかかり、また、成否の不確実性が高くなるからである。
自民党大敗、民主党大勝という結果は、自民党の安倍政権に対する有権者の批判票が多かったと理解されている。安倍政権は、前回のこのコラムでも述べたように、政権当初の公約を実現するために着実に努力をしてきていたが、しかしその一方、松岡農林水産大臣の金権疑惑にからむ自殺、その後任の赤城農林水産大臣の事務所費用の虚偽報告疑惑、また、久間防衛大臣の原爆被害容認ともとれる不適切な発言やさらには麻生外相の認知症患者の人権を無視するような失言など、無様(ぶざま)なスキャンダルや失言が相次ぎ、選挙民はそうした内閣の言動に対して厳しい評価を下したといえる。また、五千万人の年金記録が宙に浮いたという問題は、その原因は何年も前にさかのぼるので、安倍政権の責任ではないとはいえ、安倍政権のこの問題への対応が出遅れかつ不手際であったことは否めず、この問題に対するその後の安倍政権の真剣な取り組みも選挙民には評価されなかった。大敗の責任について与党内でも安倍首相への批判はくすぶっているが、力のある代替候補がいないことや、代替候補を盛り上げるだけのエネルギーが結集できないことなどから安倍総理は、早い段階で続投の意志を表明することになったと思われる。
民主党はじめ野党が参議院で多数を占めたことから、今後の政策決定には民主党の主張が反映される可能性が大きくなる。しかし国民にとっての問題は、民主党の政策は必ずしも整合的・現実的でもない面が否めないことである。しいて対立軸を挙げれば、低所得者層や農業への支援を強調していること、また年金については複数の年金制度を全て統合すること、などが挙げられるが、いずれも具体性、現実性が乏しい構想である。
国民にとって残念なことは、今回の民主党の躍進が、自民党に代わる新しい信頼できる政策に期待が寄せられた結果ではなく、主として安倍内閣の “敵失”によるものということである。言い換えれば国民は現内閣に強く失望し、他に頼るあてのない批判票を投ぜざるを得なかったということである。安倍内閣への支持率は様々な調査でも20%台の低水準に落ち込んでおり、政局は今後波乱含みで予断を許さないが、安倍総理が続投の意志を固めそれを国民に表明した以上、安倍総理は国民の内閣への批判を厳粛に受け止め、これまでのように内閣を親しい友人達で固めるようなことではなく、真に有能な人材を登用し、「大きな政治」にかけた初志を真剣に貫徹するため全力を傾注すべきであろう。
