富士通総研

2007年年頭所感

2007年1月10日(水曜日)

2007年は日本にとって比較的平穏な正月で明けた。全国的に天候も穏やかだったが日本経済も順調に推移しており、年明けの株価は健全な上昇傾向を示し、国際関係も厄介な北朝鮮問題はあるもののアジア諸国との関係も改善して平穏な状況で始まったといえる。

年の初めにあたり、やや長期的な将来を展望して日本の課題と可能性についてコメントしてみたい。

長期的に日本の構造変化を規定する最大の要因は、人口の減少と高齢化である。また国際環境の変化、すなわちBRICsに代表される新しい新興勢力の拡大は日本の国際戦力に大きな影響を及ぼすだろう。また環境制約の強まり、食料・エネルギー資源問題はこれまで以上に日本にとって大きな制約条件になると考えられる。その中で情報化とグローバリゼーションがさらに加速度的に進んでいく。また安全保障環境はテロなどの新しいリスクがますます拡大し、新しい安全保障戦略が求められるようになるだろう。そうした大きな環境変化のもとで日本は少なくとも3つの基本的な方向に注力する必要がある。

第一は安全と安心との共存を確保することである。安全については、北朝鮮のような伝統的な脅威とさまざまな形で発現する恐れのあるテロなどの新しい脅威から国民をいかに守るか、また高齢化社会の中で人々の生活上の安心をどう確保するか、また複雑な国際関係の中で多くの国々や民族の共存をいかに確保するか、といった課題である。

第二は豊かさと効率性と多様性をいかに実現するかである。人口が減少し経済成長に多くを望めない新しい歴史的状況の中で、物的拡大ではなく質的な改善の豊かさをどう実現するか、また一方で世界最先端産業を擁しながら他方でサービス、建設、流通、農水産など膨大な低生産性部門を抱える日本の経済構造を全体としてどう効率化するか、また高齢化し家族構成やライフスタイルが著しく多様化する社会の中で、人々の求めに応じる多様なサービスをいかに提供するか、である。

第三に国際関係における信頼と信用の確立である。国際関係の変化に伴い、アジア諸国や新興国群の勢力図が変わり、資源やエネルギー制約が強まる中で日本が生き抜いていくためには、国際社会の中での信頼と信用を確保することが極めて重要である。そのためには日米同盟を基本としつつも多くの関係諸国と賢い連携関係を構築し、地球社会の困難な問題に積極的に貢献し、そして日本の良さや成果や主張を積極的に発信していく必要がある。そのためには、これまでよりはるかに総合的かつ強力な国際戦略を担う機能を政府や関係機関を中心に強化する必要があり、またそうした活動を担える人材を飛躍的に育成する必要がある。2007年が日本の長期的反映を実現するためにこれらの方向について大胆にふみだす年になることを期待したい。